NEXTSTEPS リハビリお役立ちコラム 脊髄損傷後の痙性を改善する効果的なリハビリ方法 |バランス向上とQOL改善のコツ

脊髄損傷後の痙性を改善する効果的なリハビリ方法 |バランス向上とQOL改善のコツ

脊髄損傷後の痙性を改善する効果的なリハビリ方法 |バランス向上とQOL改善のコツ

脊髄を損傷すると、損傷の度合いにもよりますが様々な運動障害や感覚障害が起こってしまいます。脳と同じ中枢神経である脊髄は、手足の末梢に脳からの指令を伝え、末梢からの信号を脳に伝える大切な役割があるのです。

この反射神経が脳に届かないと、痙性という筋肉の痙縮が生じます。痙性にも軽度から重度がありますが、新たな怪我や病気に繋がってしまうことも。

痙縮には物理療法を中心としたリハビリが効果的です。脊髄の損傷における痙性では、生活をより良いものにするためにはどのようなリハビリが行われるのでしょうか。

脊髄の損傷と痙性について…リハビリはどのようなことを目的にするのか

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脊髄の損傷の原因となり得るのはどのようなことでしょうか。また、なぜ痙性が起こるのか、そのメカニズムを知っておきましょう。

脊髄損傷はなぜ起きる?定義と原因について

脊髄は、脳幹を通じて伝達された指令や情報を手や足などの末梢に伝える役割を持っています。顔面以外の感覚を脳に伝えるのも脊髄です。

脊髄を損傷すると、手や足の感覚が脳に伝わらないため麻痺が起こることに。脊椎に沿って脳幹直下からみぞおちの下あたりまでの脊髄は、上から「頚髄」「胸髄」「腰髄」「仙髄」に分かれており、その中でも「髄節」​​と呼ばれる細かい部位に分かれています。この脊髄のどの部位を損傷したかで、どこに麻痺がでるか、症状の重さが変わってきます。

脊髄の損傷と痙性の麻痺について

痙性とは、脳卒中や脊髄損傷など、脳や脊髄の障害によって生じる症状です。痙縮や痙直とも呼ばれています。事例としては「手足のつっぱり」「うまく手足を曲げられない」など、他にも関節がうまく動かせないなどのケースです。

痙性は、運動障害としての症状の見方が強いでしょう。

脊髄の損傷以外にも、痙性は起こり得ます。具体的に痙性の原因になる病気は以下の通りです。

・脳性麻痺

・脊髄損傷

・脳血管障害

・重症頭部外傷

重度な脊髄損傷を受けた場合には、痙性・麻痺が起こることになるため外科的手術の後、リハビリに取り組むことになります。

参考:脊髄損傷|一般社団法人日本脊髄外科学会

脊髄の損傷から痙性の麻痺まで…リハビリの重要性と目的を整理しよう

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脊髄の損傷では、痙性を始めとした麻痺が後遺症で多く見られます。さらに脊髄損傷は、誰にでも起こる可能性があるものです。

痙性を始めとした症状や後遺症には、どのようなリハビリが行われるのでしょうか。

脊髄の損傷|リハビリの重要性と目的

脊髄を損傷した場所が上になるほど、症状は重くなる傾向に。四肢の麻痺のみではなく横隔膜の麻痺を起こすと自発的な呼吸ができなくなり、人工呼吸器が必要になることもあります。

脊髄損傷の治療は、症状によって薬や手術があります。その中で最も重要なのが、早期に開始するリハビリです。

リハビリは急性期・回復期・生活期(維持期)の三段階で行われます。早期に開始するのは、安静にしすぎることで起こる深部静脈血栓症や肺塞栓といった​​二次的な合併症を防ぐ目的です。

状態が安定した後は、目的を決めたリハビリに積極的に取り組むことになるでしょう。脊髄の損傷におけるリハビリは、元の生活を取り戻すことよりも退院後の生活で自立度を上げることが目的となります。

痙性の特徴と影響

痙性には、長い間有効な治療法がなく、四肢運動療法、薬物療法、関節変形・拘縮に対する整形外科手術が主体でした。

しかし近年、痙性の治療として注目を浴びているのが「機能的脊髄後根切断術」です。この手術では、脊髄神経の一部を切除することで痙性の引き金となる感覚系の入力を下げることが可能になります。特に痙性を伴った重度の脳性麻痺の小児に有効な外科的治療法です。

また、2006年4月からは「バクロフェン髄注療法(ITB療法)」というバクロフェンという薬を髄液に注入する治療が保険適応に。外国ではすでに広く浸透している治療法のため、日本でも効果が期待されています。

参考:痙性麻痺|国立病院機構西新潟中央病院

脊髄の損傷と痙性へのリハビリに関する基本

脊髄の損傷における痙性へのリハビリでは、物理療法や乗馬療法、振動療法などが取り入れられます。特に物理療法においてストレッチは、筋伸張、各種の運動、運動管理療法​​として自宅でも行うことが可能です。

また、乗馬は脳性麻痺の小児に​​効果があるという研究結果があります。馬の動きによって痙性・筋肉が疲弊して弛緩することが症状改善に繋がるようです。

治療台の上に立った状態かダイナミックな動きをする振動療法は、大人から子供まで痙性に効果的とされています。振動と静止状態を繰り返すことで、痙性の減少が期待される治療法です。

脊髄損傷による痙性へのリハビリ方法とアプローチは?最終目標はQOL向上

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脊髄損傷による痙性のリハビリでは、身体にどのようにアプローチするのでしょうか。この分野のリハビリでは、筋肉をやわらげ、バランス能力を向上する運動療法が効果的です。

筋肉の緊張管理

1.ストレッチングと筋力トレーニング

痙性のリハビリでは、ストレッチや関節を動かす訓練により関節が動かなくなる拘縮の予防や、筋力を増強する訓練を取り入れます。​​ストレッチは痙性筋へ最も効果が得られる運動療法​​です。ストレッチは、筋力回復にも効果があるため痙性のリハビリに積極的に取り入れましょう。

2.筋弛緩剤の使用

ボツリヌス菌が作り出す天然のたんぱく質(ボツリヌトキシン)を有効成分とする薬を注射する方法も、筋肉のつっぱりには効果的です

ただし、ボツリヌトキシン注射は、神経筋接合部の神経伝達物質放出を阻害し、筋収縮自体を抑制することで痙性を改善するとされています。そのため、筋の随意収縮も抑制してしまい、運動麻痺を伴う痙性筋に対する随意収縮を促すリハビリが行えなくなるという難点も。

B.筋力トレーニングとバランス向上のための運動療法

痙性には、傾斜テーブルや立位保持フレームなどを使用したバランス向上の訓練も効果的です。自宅で傾斜テーブルやトレーニングチューブを使って、筋肉を使うリハビリを継続することも重要になります。

C.物理療法と補助具の活用

保護帯、装具、ギプスは、痙性した四肢を機能的な位置で維持する役割を担います。短下肢装具を使用すると、足首が曲がった状態に維持され、腓筋の拘縮が減少。固くなった四肢を徐々に伸ばす場合は、2個以上のギプスを並べて装着することもあります。

また、電気刺激(FES)は自宅でもできる上に全く足を動かせない状態の麻痺でも取り組めるでしょう。

参考:痙縮管理|クリストファー&デイナ・リーヴ財団

中長期的な目標を立ててリハビリをしよう

痙性は、時間の経過や老化によって変化することもあります。リハビリでは2種類以上の運動を組み合わせて、自分に合った方法を見つけてください。

脊髄は損傷を受けると元には戻らないため、損傷前の状態に戻すことは難しいといえます。痙性などの後遺症の予後も早期に決まるため、症状に対して具体的な対応を心がけましょう。

退院後にどれだけ自立度を上げられるか、中長期的な目標を立ててリハビリに取り組むようにしてください。

まとめ

脊髄の損傷では痙性を始めとした麻痺が残る場合が多くあります。急性期の時点で、今後どのような症状が残るのか知ることで、具体的な目標やリハビリ方法も分かるでしょう。

脊髄損傷患者の社会復帰はいまだ低い状況であり、全国規模で脊髄センターの建設も課題となっています。早期にリハビリを開始し、退院後も積極的にリハビリに取り組める環境を整えることが重要です。

自費訪問リハビリのネクストステップスでは、脊髄損傷の患者さんに質の高いリハビリプログラムを提供しています。社会復帰を目指した職業訓練や、心理的サポート面も安心してお任せください。QOL(生活の質)向上のために、残存機能を活かせるリハビリに意欲的に取り組みましょう。

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