脳梗塞の兆候はどのような症状がある?治療や予防についても解説!
2024.03.18
脳梗塞の兆候を知りたい方に向けて、前触れ症状であるTIA(一過性脳虚血発作)や脳梗塞の治療や予防法をお伝えします。TIAから脳梗塞に至る危険の評価方法や、脳梗塞の再発率についても解説しますよ。
脳梗塞は運動機能や言語機能に後遺症が出て、要介護の原因になる病気です。症状を改善させるためには、脳梗塞の兆候を早く発見して治療することが重要です。
脳梗塞の兆候や予防方法のポイントを押さえて、危険因子となる病気の管理や生活習慣を改善すれば、脳梗塞になるリスクを下げられます。
目次
脳梗塞の前兆はどのような症状がある?TIAについても解説
脳梗塞の兆候や前触れ発作といわれるTIA(一過性脳虚血発作)についてお伝えします。脳梗塞の症状は多様なことが分かります。
脳梗塞とは…脳の血管が詰まる病気
脳梗塞は脳の血管が詰まって血流が低下し、脳神経細胞の機能障害によって神経症状が起きる病気です。
脳卒中には、脳梗塞、脳内出血、くも膜下出血があります。脳梗塞は脳卒中のうち7割を占めます。
脳梗塞の種類は主に3つです。
➀心原性脳梗塞:不整脈(心房細動)で心臓内に血栓ができて、血流にのって脳梗塞が起きる。症状が重篤になりやすい。
②アテローム血栓性脳梗塞:動脈硬化が原因で脳の太い血管に血液の塊ができて脳梗塞が起きる。症状が進行しやすい。
③ラクナ梗塞:脳深部の微小血管変性による脳梗塞。長期の高血圧が原因で起きる。
脳梗塞の症状…半身の麻痺やろれつ不良
脳梗塞の症状は次のとおりです。
・運動障害:半身の麻痺、片方の手足に力が入らない、片足をひきずる、身体のバランスがとれない
・硬音障害、失語:ろれつが回らない、言葉がでない、人の話が理解できない
・感覚障害:半身のしびれ、感覚が鈍る
・目の症状:片目が見えない、視野が欠ける、物が二重に見える
・意識障害:眠りがち、会話や考えが混乱する
TIA|脳梗塞の兆候発作
TIA(一過性脳虚血発作)は脳卒中の兆候といわれ、発症後早期に脳梗塞を起こす可能性が高いです。
脳の血管内で一時的に小さな血栓が詰まって脳梗塞と同じ症状が出現しますが、画像診断で脳梗塞の病変は認めません。その後、再び血流が再開すると症状が回復します。
症状が回復すると放置する人も多いです。しかし、一過性脳虚血発作後3か月以内に15~20%もの患者さんが脳梗塞になります。そのうち半数は2日以内に脳梗塞を発症。
一過性脳虚血発作を早期発見・治療すれば、脳梗塞になるリスクを下げられます。
脳梗塞の前触れがでたら検査や治療が必要?早期に治療する重要性
脳梗塞の検査や治療方法についてお伝えします。早期に受診して治療すると症状の改善しやすさにつながります。
脳梗塞の検査…診察と画像検査
医師による診察で症状を認めたり、動脈硬化の危険因子(心房細動や糖尿病)がある場合は脳梗塞を疑います。
脳梗塞の検査は、頭部MRI、頭部CT、脳血管造影などです。
頭部MRIは頭部断面を画像にし、脳梗塞の有無や大きさを調べます。頭部CTは画像検査でMRIより短時間で行えるが、X線使用による被爆があります。脳血管造影はカテーテルを入れて血管内を映し出す検査です。
ABCD2スコア|脳梗塞の危険を予測
ABCD2スコアは、TIA(一過性脳虚血発作)後の脳梗塞発症リスクを予測します。7点満点で点数が高いほど脳梗塞になるリスクが高いです。3点以上は入院して治療すべきとされています。
A:年齢 | ・60歳以上…1点 |
B:血圧 | ・収縮期140mmHg以上かつ・または拡張期90mmHg以上…1点 |
C:症状 | ・片側脱力…2点 ・脱力伴わない発語障害…1点 ・その他…0点 |
D:持続時間 | ・60分以上…2点 ・10~59分…1点 ・10分未満…0点 |
Ⅾ:糖尿病 | ・糖尿病あり…1点 |
参考:聖マリアンナ医科大学東横病院脳卒中センター「一過性脳虚血発作(TIA)」
脳梗塞を早期に発見・治療する重要性
脳梗塞の急性期治療は発症から時間が短いほど適応になり改善もしやすいため、早期発見と治療が重要です。
「血栓溶解療法」はrt-PAという薬を使って、脳に詰まった血栓を溶かして脳への血流を再開させます。脳梗塞発症後4.5時間以内で、一定の条件を満たした患者さんが対象です。麻痺や死亡の抑制効果があります。rt-PAは出血しやすくなる副作用があり、脳出血のリスクがあります。
「カテーテル血栓除去療法」は、カテーテルと呼ばれる管を太ももの動脈から脳内に入れて、詰まった血栓を回収する方法です。rt-PAが使用できない時や、効果が見込めないときに実施します。
他には、抗血小板薬、抗凝固薬などによる薬剤治療をします。
脳梗塞の兆候がでる前に…予防は定期受診と生活習慣改善から!
脳梗塞の死亡率や再発率、予防方法についてお伝えします。脳梗塞を予防する必要性と方法のポイントが分かりますよ。
【脳梗塞】死亡率と再発率
脳卒中の後遺症は寝たきりの原因の第2位で予防が重要です。
国立循環器病研究センターの報告によると、2016~2019年に調査対象医療機関に入院した脳梗塞患者さんは30日以内の死亡率が4.4%でした。
脳梗塞は再発しやすく、発症後1年で10%、10年で50%が再発します。再発時は初回に比べて後遺症は重い可能性があります。
参考:国立循環器病研究センター「脳卒中の予後(死亡率)と脳卒中専門医師数の関係について」
脳梗塞の予防|定期受診と生活習慣改善
脳梗塞の予防は定期受診による危険因子の管理と生活習慣改善が重要です。
高血圧、脂質異常症、糖尿病は脳梗塞の危険因子であり、健康診断で早期発見しましょう。かかりつけ医の定期受診で危険因子の治療をします。自宅で血圧測定の習慣を身につけ、血圧手帳に記録して医師に見せます。
心房細動の症状はドキドキする、胸が苦しい、息が切れやすいなどです。脈の乱れに気が付いたら医師に相談しましょう。
処方された薬はお薬手帳や薬の添付文書に記載された飲み方どおりに継続して内服します。
3食バランスのよい食事をとり、塩分は控えめにします。減塩のコツは麺の汁は残す、だしを活用するなどです。
野菜や青魚、大豆をとるとよいでしょう。太りすぎ(BMI30以上)、痩せすぎ(BMI18.5未満)にならないよう、適度な運動をして体重管理します。
禁煙して飲酒は控えめにしましょう。タバコは動脈硬化や高血圧を悪化させて脳梗塞を引き起こす可能性があります。アルコールは、ビールならば350~500mlを1本、日本酒は1合程度までにしましょう。
まとめ
今回は脳梗塞の兆候、治療や予防方法についてお伝えしました。
TIA(一過性脳虚血発作)は脳卒中の兆候といわれ、発症後早期に脳梗塞を起こす可能性が高いです。半身の麻痺や片側の足に力が入らないなどの運動障害、ろれつ不良や言葉がでないなどの症状が出現します。
脳梗塞の急性期治療は発症から時間が短いほど適応になり改善もしやすいため、早期発見と治療が重要です。「血栓溶解療法」や「カテーテル血栓除去療法」などの治療があります。
脳梗塞の予防は定期受診による危険因子の管理と生活習慣改善が重要です。