その眠気は脳梗塞の前兆かも!睡眠障害は脳卒中のリスクを上昇させる?
2024.02.11
過度の眠気やあくびは脳梗塞の前兆として発生することがあります。脳梗塞は早い時期に治療をうけることが最大の治療法となる病気です。なるべくはやく脳梗塞の前兆に気づき、病院を受診することが望ましいです。
日中の眠気やあくびは誰もが日常で経験することなので心配になります。いつもと違う強い眠気や頻回するあくびは脳梗塞などの病気が隠れている場合があるので注意しましょう。
「なぜ眠気が脳梗塞の前兆症状として起こるのか」「睡眠障害は脳にどのように影響するのか」について解説していきます。
目次
日中の眠気やあくびが頻繁に起こるのは脳梗塞の前兆?
何気なく眠気を感じる程度だと脳梗塞の前兆かな?と心配する必要はありません。しかし、普段とは違う異常な眠気や頻繁にあくびが出る場合は注意が必要です。
眠気を含め、脳梗塞の前兆症状についてお伝えします。
脳梗塞による眠気の原因
脳梗塞は、何らかの原因で脳の血管が細くなったり詰まったりして血流に障害が起こり発症する病気です。脳への血流が途絶えることにより、酸素や栄養が十分にいきわたらなくなり、眠気を引き起こすと考えられています。
あくびの理由は解明されていませんが、脳の温度調節機能を目的としている仮説もあります。高温になった脳が機能障害をおこさないようにあくびによって冷やす効果があると言われています。
眠気以外にもある!脳梗塞の前兆症状
眠気が脳梗塞の前兆症状である可能性があることはわかりましたが、実際眠気やあくびだけで判断するのは難しいです。
脳梗塞は脳の障害が起きた部位で症状は変わってきますが、以下のような症状が起こりやすいです。
・手足の運動や感覚麻痺
・話にくさ
・注意機能の低下
・歩いている時にふらふらする
眠気以外にもこのような症状がある場合はすぐに病院を受診しましょう。
眠気やいびきなどの睡眠障害が脳梗塞のリスクを高める
睡眠が健康への影響が大きいことは知られていますが、睡眠障害があると脳梗塞の発症リスクが高くなることが明らかになってきました。
脳梗塞になる可能性が高い症状や、他の病気のリスクも高い睡眠時無呼吸症候群について詳しく解説します。
脳梗塞と睡眠障害の関係
睡眠に関して悩みをもつ人は多いのではないでしょうか?睡眠不足などの睡眠障害は普段の生活に影響するだけでなく、様々な病気を引き起こす原因になります。
寝不足になると体内の炎症反応が起きやすくなり、自律神経のバランスが乱れます。これらは脳血管の動脈硬化や血栓の形成促進、血圧上昇など脳のストレスを高めるのです。
睡眠不足が続くと脳梗塞や心臓病のリスクが高くなる以外にも糖尿病などの生活習慣病やうつや肥満症などの原因にもなります。
睡眠時無呼吸症候群はリスクが3倍
睡眠障害の中でも、脳梗塞を発症するリスクが高いといわれているのが「睡眠時無呼吸症候群」です。
睡眠時無呼吸症候群は寝ている間に無呼吸や低呼吸を繰り返すことで、頭痛や倦怠感・眠気などさまざまな不調を引き起こす病気です。
無呼吸や低呼吸を繰り返すと、体内に十分な酸素が取り込めなくなってしまい、血液中の酸素量が減ってしまいます。心臓が酸素を補うために強く働き血圧が高くなり血管に負荷がかかってしまうため、脳梗塞のリスクが高まるのです。
【眠気チェック】脳梗塞の可能性は?
いろいろな国の研究機関が共同で行った睡眠研究の結果によると、次のような症状があると脳梗塞を含む脳卒中のリスクが高くなると報告されています。症状に該当するものがないかチェックしてみましょう。
・5時間未満の睡眠時間
・9時間以上の睡眠時間
・睡眠の質の低下
・入眠困難
・睡眠維持の困難
・予定外の昼寝
・1時間以上の昼寝
・いびき
・荒い寝息
・無呼吸発作
この他にも睡眠障害の症状が5つ超えると、脳卒中の発症リスクが高くなることが明らかになりました。
参考:睡眠パターンと急性脳卒中リスクに関するINTERSTROKE国際症例対照研究の結果
眠気が脳梗塞の後遺症となることも…再発防止には睡眠習慣の見直しを
眠気は脳梗塞の前兆症状だけでなく、後遺症として残る場合もあります。眠気をはじめとする睡眠障害は脳梗塞の再発の危険もあるので早期解決が必要です。
脳梗塞の再発防止や回復を高めるためにも睡眠の改善を行いましょう。
睡眠障害による脳梗塞再発のリスク
脳梗塞後にも強い眠気が続く場合は睡眠障害を併発している可能性が高いです。脳梗塞後に起こる睡眠障害は以下のものがあります。
・不眠症…夜間に眠れず慢性的な睡眠不足に
・覚醒障害…睡眠リズムが乱れ4時間以上寝れない
・睡眠時無呼吸症候群…呼吸が止まり酸欠に、起床時に頭痛を伴う
睡眠障害を発症すると、脳梗塞の再発リスクも高まる上に、リハビリの遅れにも繋がるので予後を悪化させる原因になってしまいます。
脳梗塞予防のために質の良い睡眠を
脳梗塞の予防、また発症後の再発防止のためにも睡眠習慣の見直しをしましょう。毎日の睡眠を改善する事が大切です。
・生活習慣の見直し
肥満は睡眠時無呼吸のリスクを高めるため、適切な体重維持や減量を行いましょう。またアルコールや喫煙も無呼吸症候群を引き起こす原因となるので控えることをおすすめします。
・睡眠環境の整備
枕や寝具などを体に合ったものを準備する他に、温度や湿度・照明の明るさなどを整えることも快適な睡眠に繋がります。また、就寝前はテレビやスマホを控える、湯舟に浸かるなど身体のリズムも整えることで入眠しやすくなります。
早期治療・早期リハビリで症状を最小限に
脳梗塞の後遺症を最小限にすることに大切なのは早期治療・早期リハビリです。脳梗塞後は通常よりも脳が疲れやすくなっているので、しっかりと休息をとることも重要です。
日中の眠気が強いとリハビリに影響が出ますし、夜間に十分な睡眠をとれていないと回復も遅くなってしまいます。効率的に治療やリハビリを行うためにも睡眠障害を疑う症状があれば、医師に相談しましょう。
まとめ|眠気は脳梗塞の前兆なのか
日中の強い眠気や頻回するあくびは脳梗塞の前兆症状かもしれません。他の脳梗塞の前兆症状である、頭痛や手足のしびれ、話しにくさなどもあるようなら、すぐに病院を受診しましょう。
また、日中の眠気を引き起こす睡眠時無呼吸症候群などの睡眠障害は、脳梗塞以外にも様々な病気の原因となります。5時間以上眠れない、疲れがとれない、いびきをかくなどの症状がある場合は、生活習慣の改善や睡眠環境の整備を心がけましょう。
眠気やあくびは日常生活でもよくある症状なので、見逃しがちですが大きな病気が隠れていることもあります。日々の生活を見直すとともに異常を感じたら専門医に早めに相談しましょう。