頚髄の損傷|リハビリは患者の生活への不安を軽減する重要な手段!頸髄損傷の症状も解説
2024.02.03
頚髄の損傷は、損傷を受ける場所や程度によって機能状態が異なります。スポーツや事故が原因で一度損傷してしまうと、軽症であれば手足の痺れ程度で快方に向かうこともあります。
一方で、重症に繋がりやすい繊細な体の一部です。例え軽症であったり、一部体の感覚が残っていたとしても十分な期間をかけてリハビリを行う必要があります。今回は頚髄の損傷とリハビリへの流れ、継続の仕方について解説します。
ただ、リハビリが必要である、というだけでなく頚髄の損傷の症状からどのようなリハビリが必要なのか探りましょう。
目次
頚髄の損傷とは?リハビリに至るまでの主な原因から症状を解説
まずは頚髄損傷(けいついそんしょう)に関してリハビリに至るまでの原因や概要を整理します。ひとくちに頚髄の損傷と言っても症状はさまざまです。
頚髄損傷について
頚髄損傷は、頚椎(首の部分)の骨折、損傷、または圧迫によって生じる神経系の損傷とされています。具体的に言えば、頚椎部分には頸髄神経が通っており、外的要因から傷ついたり、切断などが起きた場合です。
主な原因は交通事故、高所からの落下、転倒や事故によって生じた首の怪我、運動中の事故・怪我、などが挙げられます。
脳から送られた指示は脊髄を通って神経をつたい、手足に送られます。したがって、体を動かしたり、生活するにおいてはとても重要な場所であるということです。
頚髄の損傷にはどのような症状が見られるのか
頚髄損傷の症状は、損傷の程度や場所によって異なりますが、一般的な症状には次のようなものがあります。
・麻痺や感覚の喪失(損傷がある部位によって異なる)
・呼吸困難や拡張性の肺疾患
・運動障害
・尿失禁や排尿困難
・立ちくらみ
・自律神経の損傷
・頭痛や頸部の圧迫感
・不規則な筋肉収縮や痙攣
など。
多くの症状があるため、手術が必要なケースにおいても術後の対応は慎重に検討しなければなりません。
頚髄の損傷のリハビリにおいて重症度が高いとされる症状について
頸髄損傷は複数の症状があり、生活に支障をきたすケースがほとんどです。軽症であればいいですが、重症度の高い状態になる場合は適切な処置とリハビリなど長期的なビジョンが必要になります。
完全麻痺・不全麻痺というケースも…
頚髄損傷による完全麻痺と不全麻痺は、損傷の程度によって異なる状態を表します。完全麻痺(完全性損傷)は損傷部位以下の体の感覚や運動機能が完全に失われる状態を指します。
特徴としては、
・損傷部位より下の体の感覚や運動が完全に失われる。
・完全麻痺の場合、神経の信号が損傷した箇所より下へ伝わらないため、その箇所よりも下の部分の感覚や運動能力が停止。
・損傷が頚椎の特定の部位で生じると、四肢の麻痺や感覚喪失が発生。
一方で、不全麻痺(不完全性損傷)の場合は神経系の一部が損傷し、損傷部位以下の体の感覚や運動機能が部分的に残存している状態です。
特徴としては、
・損傷部位以下の一部の感覚や運動機能が残っている場合も。これは、神経の信号が部分的に損傷箇所を越えて伝わるため。
・不全麻痺の場合、損傷した部位よりも下の一部の体の機能が部分的に保たれている。
・損傷が部分的であるため、一部の運動や感覚が残存することがある。
しかし、程度は患者ごとに異なるためリハビリの方法も変わってきます。
日常的な健康管理が難しくなる
低血糖や血圧の上昇、通常時よりも発汗する、痙性など、自律神経にも影響が出た場合は、日常の健康管理が難しくなることも想定されます。
その他にも頚髄の損傷における症状であげていた「尿失禁や排尿困難」などの行為。膀胱や直腸に影響が出ている影響で難しくなります。
総じて、今までの生活の倍以上に行動することが難しくなるでしょう。また、寝たきりが続いてしまうと褥瘡(じょくそう)が生じるケースもあります。
通称「床ずれ」と呼ばれるもので、通常、圧迫や摩擦によって皮膚およびその下の組織が損傷し、潰瘍が形成される状態です。主に体のある部分が長時間同じ位置に置かれることで、皮膚とその下の組織に圧力がかかり、血流が阻害されることが原因です。
このような状況を避けるためにも重症度によりますが、早期リハビリだけでなく、回復期後、維持期に入っても継続したリハビリは必要になってくるでしょう。
【頚髄損傷のリハビリ】リハビリのプロセスと支援する専門医について
頚髄損傷のリハビリは、患者の状態や損傷に合わせて流れが組まれます。どのような人が関わり、どんなプロセスで行われるのか学びましょう。
リハビリテーションプロセス
重症度によってリハビリの内容は変わってきますが、一般的には身体機能の回復を目指し「回復期」を過ごす流れになります。
頚髄の損傷におけるリハビリの場合、麻痺などの度合いによりますが、軽度の場合は急性期で機能の回復を目指し、回復期においては筋力強化、関節の可動域向上、日常生活動作の獲得などを行っていくことが可能でしょう。
しかし、感覚を喪失しているケースでは運動機能の低下に対する特別な訓練が行われ、感覚と運動の回復を促すこととなります。
特に、完全麻痺の場合、損傷された脊髄より下の運動機能や感覚機能が消失しているため、肛門周囲の感覚も消失しています。排泄・排尿の課題から生まれる合併症、その他褥創や拘縮などの併発もあるため急性期から予断を許さない状況が続くでしょう。
脊髄の損傷におけるリハビリは目標設定を大切に
脊髄損傷におけるリハビリではその重症度によって目指す部分は変わってきますが、第一に「日常生活」をより自立した形で行えるのが理想です。もちろん重症の場合は介助が必要になってきますが、理学療法や作業療法の訓練を受けることによって体力の向上や就労も視野に入ってきます。
大切なのは「目標設定」です。
脊髄の損傷においてリハビリは確かに長く、険しいものになりますが軽症だったからとあならどらず、再発防止やリハビリの中断による状態の後退などは避けましょう。正しく、継続するための知識と目標を持ちコツコツ進めることをお勧めします。
頚髄の損傷|症状別のリハビリ方法・まとめ
頚髄損傷は、頚椎(首の部分)の骨折、損傷、または圧迫によって生じる神経系の損傷と解説しました。頚椎部分には頸髄神経が通っており、外的要因から傷ついたり、切断などが起きてしまうとさまざま症状に見舞われ、麻痺や日常生活を今まで通りに送ることができないケースもあります。
特に頚髄損傷による完全麻痺と不全麻痺は、損傷の程度によって異なる状態を表します。完全麻痺、不全麻痺といった重症度の高いケースも存在します。
頚髄の損傷はリハビリを正しく行い、目標を設定することで未来も拓けてきますので、正しい知識を身につけて継続してリハビリを行いましょう。