手根管症候群|手術後のリハビリで一般的な方法やリハビリの仕方を解説
2023.12.12
指先がしびれたり、ペットボトルのキャップをあけられなくなる手根管症候群。症状が悪化すると、物を持つことやボタンのかけ外しがしずらくなったり、料理や掃除など家事に影響をおよぼすこともあります。
そこで、手根管症候群がどのようなものであるのか特徴を知ることで、日常生活でも症状を悪化させないように行動したり予防することも可能になります。
今回は、手根管症候群の手術後のリハビリ内容や特徴、生活における注意点についてご紹介します。
目次
手先のしびれや痛みなど違和感が…手根管症候群の症状と原因
手根管症候群は女性に多い病期ですが、手を酷使する職種であれば男性にも発症する可能性があります。そのため、原因や症状にはどんなものがあるのかを知って、手根管症候群が疑われる場合は早期に医療機関を受診することが重要です。
女性に圧倒的に多い|手根管症候群
手首の手のひら側にあり、トンネルの様な構造をしている神経の通り道のことを「手根管」といいます。周りには骨や靭帯があり、手根管の中には指を曲げるのに必要な9本の腱と「正中神経」という太い神経が通っています。
そして、その正中神経がなんらかの理由により圧迫されることでしびれや痛みが生じ、「手根管症候群」が発症します。
手首の使いすぎや同じ動作のくり返しだけでなく、妊娠によるむくみ、閉経にともなうホルモンの変化が原因となることがあり、特に40代以上の更年期の女性に多い疾患です。
また、手根管症候群は、工事現場で機械を扱うなど、男性でも手を酷使する職種に就いている人がなりやすく、手術後のリハビリが重要な疾患です。
細かい作業がしづらくなる|手根管症候群の症状
手根管症候群の症状が進むと、母指側の筋肉がやせていくので、親指と人差し指で丸の形にするOKサインを作ることが難しくなり、全体的な握力の低下が生じます。
それだけでなく、落とした小銭を拾う動作や文字を書く動作、針仕事など生活の中に存在する細かい動作が手のしびれや痛みによりしづらくなってしまいます。
逆に、生活する上で上記のような細かい動作がしずらいという場合は、気づかぬうちに手根管症候群になっている可能性があるでしょう。
放置すると完全に回復できなくなる可能性も
手根管症候群の症状があるのに医師の診断を受けず放置していると、物をつかんだりつまむ動作ができなくなるだけでなく、手の感覚も鈍くなります。
そのため、手探りができなくなったり、「痛い」「熱い」といった感覚も低下するのでケガの原因になることもあり、手根管症候群の手術後のリハビリでも注意すべき症状です。
手根管症候群|手術後のリハビリで一般的な3つの方法を紹介
手根管症候群になっても、手術後に適切なリハビリを行えば症状の早期回復が可能です。一般的に行われているリハビリの方法を見ていきましょう。
筋肉や関節の柔軟性を回復|運動療法
手根管症候群の手術後のリハビリでは、手首のストレッチや手の筋力を強化する運動をおこない、手首の力や関節の柔軟性を回復することが大切です。
手根管がせまくなっていると、手首や指の関節が硬くなる原因になるため、痛まない程度で筋や腱を伸ばすストレッチをして、関節の拘縮を防ぎましょう。
個人で症状が異なるため、理学療法士のアドバイスを受けながら最適なリハビリを行います。
日常生活でも姿勢を意識する
手根管症候群では手術後のリハビリの一貫として、手首をなるべく動かさないようにするといった生活指導があります。
例えば、自転車のハンドルを握る動作は、手首を手の甲側に反っているため、手首に負担がかかりやすく、長時間自転車に乗ることは避けるべきでしょう。
また、フライパンや鍋は片方の手首に負担をかけすぎないためにも両手で持つようにしたり、外出時のカバンは手提げではなくリュックかショルダータイプのものを選ぶのがおすすめです。
手の動作や関節は、ずっと同じ位置にすることを避け、休憩やストレッチをはさみながら手首の負担を減らしましょう。
スプリントなど装具を使用する
手根管症候群で手術後のリハビリが行われる場合、作業療法士の指導のもと、スプリントと呼ばれる装具などの使用も効果的です。装具の使用は、手首の角度を適度な位置で保ち、手根管の中の圧を高めない目的があります。
深夜から明け方に症状が強い方は、就寝時に装具を着用すると症状が緩和されやすいです。
手根管症候群で手術後のリハビリ内容は?一人でできる運動
手根管症候群のリハビリでは、腱の滑りをなめらかにすること、筋力をつけることが重要なので、一般的に行われている運動をご紹介します。
手首のストレッチ
手根管症候群の手術後のリハビリでは、関節を動かしやすくするためにまずは手首のストレッチから始めましょう。それぞれの動作を10秒保持しながら全部で3セット行います。
①腕を肩の高さに上げ、親指を内側に入れて握りこぶしを作った状態で、手首を小指側に曲げる。
②手首と指をカタカナの「コ」の字になるように曲げ、反対側の手で手前に引っ張る。
③手首を反らして壁で固定し、反対側の手で上から押す。
手根管内を走る腱を滑りやすくする運動
手根管症候群で行う手術後のリハビリで、手首のストレッチが終わったら、手根管内の腱の流れを良くするための「グランディング・エクササイズ」を行います。(10秒×3セット)
①第一関節(最も指先側にある関節)、第二関節は伸ばした状態で第三関節だけ曲げた状態にする。
②手首と親指はそのまま曲げずに、他の指をすべて曲げ握り込む。
③第三関節は曲げず、第一・第二関節を曲げて爪でひっかく様な形を作る。
摘む力と握力を強化する運動
洗濯ばさみを指で摘む動作は、手根管症候群の手術後のリハビリにおいて、弱くなっている摘む力を強くすることができるので、1日に10回程度行いましょう。
摘む力を鍛える応用としては、おはじきやコインを数個手に掴んだ状態で一つづつ貯金箱に入れる動作も効果的です。
また、やわらかいゴムでできたボールをにぎりつぶす様な動作も握力を鍛えるトレーニングになります。
まとめ:手根管症候群は手術後のリハビリで早期回復!
手根管症候群を疑うべき症状やリハビリの仕方についてご紹介しました。手根管症候群は、閉経による女性ホルモンの変化が原因の場合もありますが、手を使いすぎたことが原因でなる場合もあります。
再発を防ぐためには、手を酷使しなくていいような生活習慣の改善、家事や仕事の合間にもリハビリ運動を取り入れたり、手首を休ませることが重要です。
日常生活では、手首を使い過ぎる癖がついていることもあるので、理学療法士や作業療法士などリハビリのプロの協力を得ながら再発を防止しましょう。