難病患者のリハビリって、何を目的に行うの？

難病と診断されると、「治らない病気と付き合っていかなければならない」という不安を抱える方が多いのではないでしょうか。確かに、難病の多くは根本的な治療法が確立されていません。でも、だからこそリハビリが重要な意味を持つのです。

難病患者のリハビリの主な目的は、日常生活動作（ADL）の維持・向上。つまり、病気があっても、できるだけ自分のことは自分でできる状態を保つことが目標なのです。着替えや食事、トイレなど、毎日の生活に欠かせない動作を、少しでも自分の力で行えるようサポートするのがリハビリの役割だと言えます。

もちろん、病気の種類や進行度合いによって、リハビリの内容は異なります。例えば、筋力の低下が主な症状である難病の場合は、筋力トレーニングが中心に。関節の動きが悪くなりやすいタイプの難病なら、ストレッチや可動域訓練に重点が置かれます。患者さん一人ひとりの状態に合わせて、最適なメニューが組まれるのです。

また、リハビリは単に身体機能の維持・向上だけを目指すものではありません。体を動かすことで、気分転換や生きがいにもつながります。「歩けた距離が伸びた」「この前より上手に箸が使えるようになった」など、小さな成功体験の積み重ねが、患者さんの自信と意欲を高めていくのです。

さらに、家族の負担軽減という側面も見逃せません。患者さんができることが増えれば、それだけ介助の手間が省けます。リハビリは、家族が患者さんを支える上でも、大きな助けになるのです。

難病は長期戦です。完治を目指すのではなく、いかに病気と上手に付き合っていくか。その過程で、リハビリは患者さんの強い味方になります。「治す」ことだけでなく、「自分らしく生きていく」ことを支える。それが難病リハビリの最大の目的だと言えるのかもしれません。