NEXTSTEPS リハビリお役立ちコラム 「促通(そくつう)」とは?リハビリが思うように進まない方へ、プロが教える脳と筋肉を「会話」させるコツ

「促通(そくつう)」とは?リハビリが思うように進まない方へ、プロが教える脳と筋肉を「会話」させるコツ

「促通(そくつう)」とは?リハビリが思うように進まない方へ、プロが教える脳と筋肉を「会話」させるコツ

『頑張ってリハビリしているのに、なかなか思うように手が動かない…』そんなもどかしさを感じていませんか?実は、筋肉を鍛える前に必要なのが『促通(そくつう)』という準備です

リハビリ現場でよく聞く「促通(そくつう)」。簡単に言うと、眠っている筋肉に「そろそろ動く時間だよ」と脳を通じて合図を送ることです。力任せに動かすのではなく、優しく触れたり姿勢を整えたりして、体が本来持っている「動かし方」を思い出させてあげます。

脳と筋肉をつなぐ「電話線(神経)」が、病気やケガで少しつながりにくくなっている状態を想像してみてください。促通は、その電話線の感度を上げる作業のようなものです。外から「ポン」と触れる刺激が呼び水となって、脳からの「動け!」という命令が筋肉に届きやすくなります。

本記事では、促通とは何か、その仕組み・方法・リハビリ現場での使われ方や家庭で生かすポイントまで、わかりやすく解説していきます。

促通とは運動療法と何が違う?リハビリで使われる意味と基本の考え方

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促通とは、リハビリでよく使われる大切な考え方のひとつです。特に「運動療法とどう違うの?」と気になる方も多いでしょう。促通の意味と基本的な考え方を紹介していきます。

脳や神経を刺激して動きを引き出す仕組み


促通は、脳や神経へ軽い刺激を入れて、体が本来もっている動きを思い出しやすくする考え方です。脳と筋肉をつなぐ「電話線(神経)」が、病気やケガで少しつながりにくくなっている状態を想像してみてください。促通は、その電話線の感度を上げる作業のようなもの。外から「ポン」と触れる刺激が呼び水となって、脳からの「動け!」という命令が筋肉に届きやすくなります。

例えば、麻痺がある方の着替えで「袖に手を通したいのに、腕が重くて上がらない」という時。無理に引っ張るのではなく、肩の筋肉を少し伸ばしたり、手のひらに触れたりして、脳に「これからこっちに動くよ」という目印を立ててあげるのが促通の技術です。

促通では、皮膚へのタッチや筋の伸び、関節の位置を感じる感覚を使い、動きの方向を脳に知らせるように働きかけます。

こうした刺激が神経を活性化し、動作を引き出しやすい状態につながります。脳卒中や片麻痺で動きにくさがある方にとって、回復への大切なステップとなる方法です。

促通がリハビリで重視される理由

促通がリハビリで重視されるのは、単に筋力を鍛えるだけでは改善しにくい「動かしやすさ」を高められるためです。体が思うように動かない原因には、筋肉の問題だけでなく、脳と神経のつながりがうまく働いていない場合があります。

促通では、適切な刺激を使って動作のきっかけを作り、脳が「このように動く」という反応をつかみやすい状態へ整えます。動作をくり返すことで脳の学習が進み、徐々に動きやすさが安定していくことも特徴です。

こうした理由から、促通は多くのリハビリ現場で基礎的なアプローチとして活用されています。

促通療法と一般的な運動療法の違い

促通療法と一般的な運動療法は、目的が大きく異なります。運動療法は筋力アップや関節の可動域改善が中心ですが、促通療法は脳と体のつながりを整えて、動きやすさを引き出すことがねらいです。

  • 運動療法:筋力強化・関節可動域改善
  • 促通療法:神経への刺激で動作のきっかけづくり

両方を組み合わせることで、身体機能と動作の質の両面から回復を高めることが可能です。

促通とはどんな方法?代表的なリハビリ法と実践例を紹介

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代表的な促通法には、触れる位置や方向を工夫して動きを促したり、姿勢を整えて動作しやすくする方法があります。よく使われる促通の方法と、脳卒中・片麻痺での実践例、安全に取り組むためのポイントを紹介します。

代表的な促通法

促通には、体が本来の動きを思い出しやすくなるよう、神経や筋肉へ刺激を入れるさまざまな方法があります。目的や症状に合わせて使い分けることで、動きのきっかけをつくりやすくなるのです。

  • 伸張反射を使う方法:筋肉を軽く伸ばして動きを引き出す
  • 皮膚へのタッチ刺激:触れた感覚が手がかりとなり、動く方向を意識しやすくなる
  • 関節の位置を感じさせる刺激:姿勢や動きの方向を脳に伝える
  • 電気刺激(NMES):筋肉を動かしやすい状態に整える補助的な方法
  • 振動刺激:筋肉のこわばりを和らげ、動きをスムーズにする補助的な方法

それぞれの方法を症状に合わせて組み合わせると、筋肉だけでなく神経の働きも整いやすくなるのです。その結果、手を上げる・足を前に出すといった動きがスムーズになり、日常生活でも自然な動作に近づきます。

脳卒中や片麻痺のリハビリでの実践例

脳卒中や片麻痺の方は、「動かしたいのに力が入らない」「思った方向に動かしにくい」という状態がよく見られます。促通では、腕を上げたい場合に肩や肘へ軽く触れて動きの方向を伝えたり、手指を動かしやすくするために手の甲へ感覚刺激を入れるなど、動作のきっかけづくりを行います。

さらに、動きやすい姿勢に整えてから練習を重ねることで、脳が動作を学習しやすくなるのも特徴です。こうした積み重ねにより、「少し動いた」「動かしやすい」という感覚が育ち、日常生活での動作改善にもつながっていきます。

安全に行うポイントと注意点

促通を安全に行うためには、まず無理のない範囲で動かすことが大切です。痛みや強い張りが出る場合は、刺激の入れ方や姿勢を見直しましょう。力任せに動かすと、筋肉や関節に負担がかかり逆効果になることもあります。

特に、私たち理学療法士は、リハビリの現場であなたのその日の体調や筋肉のこわばり具合を「ミリ単位」で感じ取りながら、刺激の入れ方を微調整しています

刺激の方向や部位が少しでもズレると、意図しない動き(代償動作)が出てしまうこともあるため、はじめは療法士に確認しながら進めると安心です。正しい方法を知ったうえで少しずつ続けることで、自然な動作につながりやすくなります。

促通とはどんな効果?リハビリ現場と家庭での活かし方

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促通は、適切な刺激で動きを出しやすくするリハビリ方法です。その効果が日常生活にどう役立つのか、リハビリ現場と家庭での活かし方を紹介します。

リハビリの「手応え」を感じる3つのサイン

促通のリハビリ中、「本当にこれで合っているのかな?」と不安になったら、以下の変化を探してみてください。これらは現場のセラピストが「手応え」を感じるポジティブなサインです。

  1. 手足の「重み」がふっと消える:支えている側の手にかかる重さが軽くなり、本人も「足が軽い」と感じる瞬間です。
  2. 顔や体から余計な「力み」が抜ける:一生懸命にならなくても自然に動けるようになると、食いしばりや肩の緊張が取れます。
  3. 「あ、今動いた」という感覚が一致する:本人と介助者が同時に「今の動きはスムーズだった」と感じられるのは、脳が正しく学習した証拠です。

【実践】プロが大切にしている「触れ方」のコツ

促通はただ触れるだけではなく、その「質」が重要です。ご家庭でも意識できる、プロの技術をまとめました。

コツ(触れ方)プロが意識していること患者さんの「体感」の変化
「面」で包み込む指先で突っつかず、手のひら全体で吸い付くように優しく触れます。安心感が生まれ、ガチガチだった筋肉がふっと緩みます。
動きの「レール」を敷く無理に引っ張るのではなく、動きたい方向へそっと手を添えるイメージです。脳が「こっちへ動けばいいんだ」と道筋を理解しやすくなります。
脳の反応を「待つ」刺激を入れたらすぐに動かさず、1〜2秒じっと反応を待ちます。脳が命令を出す「時間」を稼ぐことで、自力で動くきっかけを掴めます。
今日からできる!体に「安心」を伝えるプロの触れ方

※これらは、私たち療法士がリハビリ中に頭の中で考えていることの一部です。 大切なのは、無理に動かそうとせず、ご本人の「動きたい」という気持ちと私たちの「導き」がぴったり重なる瞬間を待つこと。この「ミリ単位のやり取り」が、眠っていた神経を呼び起こすスイッチになります。

【家庭での工夫】触れ方ひとつでリハビリになる

「家でリハビリなんて難しそう」と思うかもしれませんが、実は「触れ方ひとつ」で促通になります

例えば、立ち上がる時にいきなり背中を押すのではなく、まずは足の裏がしっかり床につくように整えてあげる。これも立派な「促通」です。「動かしやすい環境を作ってあげる」という意識だけで、ご本人の動きはガラッと変わります。肘をクッションで支えたり、足の位置を整えたりする小さな工夫を大切にしましょう。

促通による神経や筋肉への働きかけ

促通は、脳や神経に刺激を与えて“動きやすい状態”をつくり、眠っている筋肉を再び動かしやすくするアプローチです。反射を利用して「この方向に動くよ」という感覚を体に思い出させることで、必要な筋肉が連動しやすくなります。

また、脳には使った分だけ神経回路が強化される「神経可塑性」があり、意図した動作をくり返すことで回復が進むとされています。

促通は、この神経の仕組みを活かして、日常生活の動作を少しずつ取り戻すための大切な土台となる方法です。

参考:J-Stage「促通反復療法と併用療法」

リハビリ現場で行われる促通の実践方法

リハビリ現場では、利用者が「動きやすい状態」をつくるために、体のどこへどのように刺激を入れるかを丁寧に調整しながら促通を行います。

たとえば、手を挙げる練習では肩や肘へ軽いタッチを入れて動きの方向を促したり、立ち上がり動作では重心の移動を助けるために腰や足へサポートを加えたりします。また、成功しやすい姿勢を整えたうえで反復することで、脳が動作を学習しやすい環境をつくるのも特徴です。

こうした刺激の入れ方や姿勢の工夫によって、体が動きを起こしやすくなり、より自然に動けるようサポートしています。

家庭でできるリハビリの工夫とコツ

「家でリハビリなんて難しそう」と思うかもしれませんが、実は「触れ方ひとつ」で促通になります。例えば、立ち上がる時にいきなり背中を押すのではなく、まずは足の裏がしっかり床につくように整えてあげる。これも立派な「促通」です。「動かしやすい環境を作ってあげる」という意識だけで、ご本人の動きはガラッと変わりますよ。

動きやすい姿勢づくりや、少し触れるだけで動きを助けられるポイントを意識することから始めましょう。

手を伸ばしやすくするために肘をクッションで支えたり、立ち上がりやすいように足の位置を整えたりするだけでも、動作は安定しやすくなります。無理のない範囲で続けることが、促通を家庭で生かす大切なコツです。

FAQ|促通に関するよくある質問

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Q:リハビリでいう促通とは、簡単に言うとどんな意味ですか?

リハビリでいう促通とは、脳や神経に適切な刺激を与えて、体が動きやすい状態をつくる考え方のことです。筋肉をただ鍛えるのではなく、「動きのきっかけ」をつくって日常動作の回復を助ける役割があります。

Q:促通のリハビリはどのくらい続けると効果が出ますか?

正直にお伝えすると、リハビリをしてすぐに魔法のように体が動くことは稀です。ですが、促通をコツコツ続けていると、ある日突然「あ、今日はなんだか軽い!」と感じる瞬間がやってきます。脳が「動きのコツ」を学習するには、どうしても一定の回数と時間が必要です。その瞬間のための「種まき」が促通なんだ、と考えてみてください。毎日の生活の中で良い刺激を入れ続けることが、結果として「動きやすさ」を体に定着させるごまかしのきかない土台になります。

Q:痛みやしびれがあるときも促通のリハビリをして大丈夫ですか?

強い痛みやしびれがある場合は、自己判断で無理に続けるのは避けたほうが安心です。促通とは本来、やさしい刺激で動きを引き出す方法なので、痛みが出る場合は刺激の強さや姿勢が合っていない可能性があります。必ず主治医やリハビリ専門職に相談しましょう。

まとめ|促通は「脳と体の会話」をつなぎ直すプロセス

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促通とは、一言でいえば脳や神経に「動きのきっかけ」を届けて、体が本来持っている力を引き出すプロセスです。

「重たい重りを持って筋トレをする」のとは少し違います。まずは「脳が筋肉へスムーズに命令を出せる状態」を整えることに、リハビリのプロは全力を注いでいます。

現場で私たちが何より大切にしているのは、促通を「脳と体の会話」のきっかけにすることです。病気やケガで一時的に途切れてしまったラインを、優しくつなぎ直してあげる。そんなイメージで体と向き合ってみてください。

「ここを支えたら、今日はスッと立てたね」

そんな小さな発見を、ぜひ担当の療法士と一緒に楽しんでみてください。

その「動かしやすさ」の地道な積み重ねの先にしか、確かな『動きやすさ』は待っていません。

リハビリの現場では、私たち理学療法士は、あなたのその日の体調や筋肉のこわばり具合をミリ単位で感じ取りながら、刺激の入れ方を微調整しています。

その「動かしやすさ」の地道な積み重ねの先にしか、確かな『動きやすさ』は待っていません。

病院を退院し、住み慣れた家での生活が始まったからこそ、見つけられる小さな変化や工夫がたくさんあります。リハビリ室のような特別な設備がなくても、毎日の暮らしそのものが脳と体の『会話』を深める最高の舞台になります。

一人で頑張りすぎなくて大丈夫です。ご自宅での生活に寄り添い、あなたと一緒に『ミリ単位の変化』を喜べるパートナーとして、私たち訪問スタッフを頼ってください。一緒に、あなたらしい日常を、ここからもう一度育てていきましょう。

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