脳卒中リハビリとは?「回復する人」と「伸び悩む人」を分ける視点
2026.01.23
退院してしばらく経った頃、
「リハビリはしているのに、思ったほど楽にならない」
そんな違和感を抱える方は少なくありません。
病院ではできていた動きが、
自宅ではうまくいかない。
やっていることは間違っていないはずなのに、
手応えだけが薄い。
脳卒中後のリハビリは、
頑張り方を間違えると、かえって遠回りになることがあります。
この記事では、
脳卒中リハビリを「方法」ではなく
考え方の整理から解説していきます。
目次
脳卒中リハビリで、最初につまずきやすいポイントとは

脳卒中リハビリというと、
「麻痺を動かす」「筋力をつける」
そんなイメージが先に浮かびがちです。
ただ、現場で多いのは
そこがつまずきの原因になっているケースです。
- 動かしているのに、使える感じがしない
- 力は入るのに、動きがぎこちない
- 疲れるわりに、生活はあまり変わらない
この段階で
「もうこれ以上は良くならないのでは」と
感じ始める方もいます。
ですが、ここで起きているのは
回復の限界ではありません。
多くの場合、
「リハビリの目的」がズレ始めているだけです。
脳卒中リハビリが「頑張っても進まない」時に起きていること
脳卒中リハビリが伸び悩むとき、
多くの場合、問題はひとつではありません。
いくつかのズレが重なっていることがほとんどです。
| よくある状態 | 本人の感覚 | 実際に起きていること | 見直す視点 |
| 動かしているのに楽にならない | 「頑張ってるのに変わらない」 | 動きの質が崩れたまま定着している | 量より“動かし方” |
| 力は入るが動きにくい | 「言うことを聞かない」 | 神経と筋のタイミングが合っていない | 神経系の再学習 |
| 生活では使えない | 「練習と現実が違う」 | 訓練が生活動作と結びついていない | 生活場面での練習 |
| 続かない | 「自分は意志が弱い」 | 判断基準がなく不安が残っている | 評価と整理 |
脳卒中後の体の使いにくさは、
一つの原因だけで起きていることはほとんどありません。
現場では、次の4つが重なっていることが多く見られます。
① 神経の問題
力は入るのに、タイミングが合わない。
動かそうとすると余計な力が入る。
こうした場合、筋力そのものより神経の使い方が関係しています。
② 筋肉の緊張
動かさない時間が続くことで、
筋肉が常にこわばった状態になります。
「使うほど硬くなる」と感じる方もいます。
③ 関節の動き
関節が動く範囲そのものが狭くなると、
脳が正しく動きを学習しにくくなります。
ここが抜け落ちているケースは少なくありません。
④ 生活動作とのズレ
訓練ではできるのに、
実際の生活では使えない。
これは練習内容と生活がつながっていない状態です。
※どれか一つだけが原因、ということはほとんどありません。
脳卒中リハビリで「動かすほど良くなる」は正解とは限らない
脳卒中リハビリでよくある誤解が、
「とにかく動かせば回復する」という考え方です。
確かに、動かさないことは回復を妨げます。
ただし、
- 動きが崩れたまま
- 強い力で
- 疲労が残る状態で
続けていると、
脳が間違った動きを覚えてしまうことがあります。
結果として、
「前より動かしにくい」
「変な癖がついた気がする」
と感じる方もいます。
リハビリは、
量よりも質とタイミングが影響します。
脳卒中リハビリで重視したいのは「生活での使いやすさ」
多くの方が目標にするのは、
- 手がもっと動くようになる
- 足がもっと上がるようになる
ですが、実際に生活を変えるのは、
- 立ち上がりが少し楽
- トイレ動作が一人でできる
- 外出の不安が減る
といった小さな変化です。
脳卒中リハビリは、
機能を回復させる作業というより、
「生活を再設計するプロセス」に近いものです。
自宅での脳卒中リハビリが、続かなくなる理由

「家でもリハビリを頑張りましょう」
そう言われて始めたものの、
いつの間にかやらなくなってしまう。
これは意志の問題ではありません。
多くの場合、
- これで合っているか分からない
- 効果の判断ができない
- 疲れるだけで達成感がない
こうした状態が続いています。
続かないのは、
体ではなく、判断基準が不明確なことが原因です。
脳卒中リハビリは「一人で抱え込まない」方が進みやすい
自宅での取り組みが不安な場合、
第三者の視点が入るだけで整理が進むことがあります。
- 医療保険での訪問リハビリ
- 介護保険での訪問リハビリ
- 制度に縛られない自費リハビリ
どれが合うかは、人によって異なります。
大切なのは、
「続けるための形」を選ぶことです。
多くの人が、ここで立ち止まります
- まだ良くなるのか
- これ以上やる意味があるのか
- どこまで頑張ればいいのか
この迷いが出るのは、
ごく自然なことです。
脳卒中リハビリは、
一直線に進むものではありません。
行きつ戻りつしながら、
少しずつ「楽な形」を探していく作業です。
脳卒中リハビリで多くの人が、ここで立ち止まります(FAQ)

Q1. 脳卒中のリハビリは、どれくらい続ければいいのでしょうか?
A.「◯ヶ月やれば終わり」という目安はありません。
多くの方は、“やめ時が分からない”のではなく、
「今のやり方で続ける意味があるか」が分からなくなっています。
Q2. もう回復期を過ぎていますが、今からでも意味はありますか?
A.「回復する・しない」より、
生活が少し楽になる余地が残っているかを見る方が現実的です。
時期より“今の困りごと”が判断軸になります。
Q3. 自宅でのリハビリだけで大丈夫でしょうか?
A.大丈夫な人もいますし、難しい人もいます。
ポイントは「続けられているか」ではなく、
「一人で判断し続けていないか」です。
Q4. 頑張っているのに、悪くなった気がするのはなぜですか?
A.量が多すぎたり、動きが崩れたまま続いていると、そう感じることがあります。
これは珍しいことではありません。
Q5. 今のリハビリが合っているか、誰に相談すればいいですか?
A.「やり方」より「整理」をしてくれる人が向いています。
評価だけでも受けることで、
自宅での取り組みが楽になるケースは多いです。
ここまで読んで、
まだ答えが出ていなくても問題ありません。
多くの人が、同じ場所で一度立ち止まっています。
まとめ|脳卒中リハビリは「正解を探すもの」ではない

脳卒中後のリハビリは、
誰かの成功例をなぞればうまくいくものではありません。
大切なのは、
・今の体で
・今の生活に合った形で
・無理が出ないペースを見つけること。
迷いながら進んでいる感覚があっても、
それは間違いではありません。
多くの人が、
同じところで一度立ち止まっています。
必要なのは、
頑張り続けることではなく、
一度、状況を整理し直す視点かもしれません。






