寝たきりになる前兆とは?見逃さないためのサインと高齢者でも今日からできる予防策
2025.12.03
歳を重ねると「寝たきりになる前には前兆はあるのかな?」「将来寝たきりにならないか心配」などを考え始めるのではないでしょうか。できればいつまでも健康でいたいですが、知識が無ければ対策も難しいでしょう。
早期に前兆を発見して対策ができれば、健康でいられる期間が長くなり、楽しく過ごせる日々も長くなります。
今回は、寝たきりになる前兆は何かについて紐解いていきます。身近な人の行動の変化やあなた自身が感じるサインを見逃さないためにも、前兆には何があるのかを知り、対策ができる環境づくりをしていきましょう。
目次
寝たきりになるのは急ではない!前兆を知れば予防できる可能性がある

寝たきりになるのは急ではなく、前兆があるといわれています。日常生活の中での変化から早めに気付くことで、寝たきりになるリスクを減らせる可能性があります。まずは、どのような前兆があるのかを確認することから始めてみましょう。
寝たきりを引き起こす原因
高齢者が寝たきりになってしまう原因には、「心理的要因」「身体的要因」の2つがあるといわれています。
- <心理的要因>
配偶者や友人などの親しい人に先立たれることで、人と話す機会が少なくなり、脳や心に活力がなくなる。脳や心に元気がないと、うつ病や認知の衰えにも発展して活動量が少なくなる可能性がある。
また、寝て過ごすことや家に引きこもり気味になることで身体が衰えていき、寝たきりになってしまうこともあるため注意が必要です。
- <身体的要因>
病気やケガ、骨折などが関係している。特に、後遺症やマヒなどが残る病気は寝て過ごすことも多く、そのまま寝たきりになってしまう可能性がある。
また、手足のしびれやケガの痛みなどがつらいと感じれば、活動量も減り筋力が衰えていくため寝たきりになることもあります。
寝たきりになるとどうなる?
寝たきりになると、身体機能にさまざまな影響が出てきます。
- うつ病
- 筋力低下
- 関節拘縮
- 床ずれ
- 廃用症候群のリスク
使わない筋肉はみるみる落ちていき、骨も弱くなっていきます。そのため、日常生活や運動などで身体を使わない期間が長期化すると、身体機能が低下してしまうのです。
そのような状態になると、便秘やうつ病、心肺機能の低下、尿路感染症などの症状が現れる廃用症候群のリスクが高まることもあります。
“フレイル”の評価で早めの対策を
フレイルは、元気な状態と要介護の間のことを指します。フレイルとなる前に早い段階で発見し、ケアをすることが重要です。診断には、介護支援事業における生活機能評価の社会的側面や身体的、精神的などのチェック項目リストを使用します。
国際的に用いられているFriedらのCHS基準をもとに、2020年、日本版フレイル基準が改訂されました。日本版フレイル基準は、「体重減少」「筋力低下」「疲労感」「歩行速度」「身体活動」の5項目にわけられています。そのうち、3項目以上の該当が『フレイル』、1項目または2項目が『プレフレイル』、いずれも該当しないのが『健常』と評価されます。
また、簡易チェックと総合チェックの2つで構成されるフレイルチェック方法を活用すれば、フレイルの早期発見・介入が可能です。
簡易チェックは、「指輪っかテスト」と「イレブンチェック」2種類の方法で、身体的・精神的・社会的の3つの面を評価します。総合チェックは、身体面や精神面、口腔機能など、より詳しい評価が可能です。
フレイルは転倒や骨折を引き起こし、要介護や寝たきりの原因となる場合もあるため、早期発見が重要となります。
【要チェック】見逃してはいけない寝たきりになる4つの前兆

寝たきりになる4つの前兆には「身体機能の低下」や「認知機能の低下」などが挙げられます。生活するなかで思い当たる項目があれば、専門医への相談や対策が必要である可能性が高いです。
身近な人やあなたに寝たきりのリスクがないかを確認し、必要であればサポートを受ける準備を整えましょう。
身体機能の低下
身体機能の低下には、以下のような症状が現れます。
- 歩く速度が遅くなる
- 疲れやすくなる
- 立ち上がり動作が辛い
- 外出が減る
- ふらつきが増えた
症状を放っておくと、身体機能はさらに低下して転倒やケガのリスクが高まります。これにより、安静期間が必要となり、そのまま寝たきりになる可能性も出てくるのです。
食欲の低下や体重の減少
食事の量が極端に減るのも良くありません。好きなものだけを食べることが増えた場合は、消化器官や口腔内に問題が出るケースがあります。さらに、一見関係がなさそうな認知機能の低下が起きていることも少なくありません。
急激な体重減少を感じる場合は、体力低下や筋肉量の低下が疑われます。このように、食欲の低下や体重の減少はさまざまなリスクが考えられるため、なるべく早く対処することが大切です。
認知機能の低下
認知機能の低下をチェックする際は、以下の点を中心に見ると良いでしょう。
- 身の回りのことが自分でできない
- 身体を動かす意欲が低下する
- 物忘れが多くなる
- 話すことが極端に少なくなる
- 物事への興味が無くなる
認知機能の低下が進行すると、安全を確保するために身体を動かすことが少なくなり、その先に寝たきりという結末が待っています。
元気がない・表情が暗い
以前よりも意欲がない、または元気がないなどの変化も見逃せません。
- 周囲との関わりを避ける
- 何をしても楽しいと感じられない
- ぼーっとすることが増えた
- 反応が鈍い
上記のような前兆が見られた場合にも、早めに対策を考えましょう。
寝たきりになるのを防ぐ!前兆が現れる前にできる簡単予防法

寝たきりになるのを防ぐためには、前兆を知ってから早めに対策することも肝心です。1日10分程度で構いません。あなたが無理なく続けられる運動を見つけて、日常生活に少しづつ取り入れていきましょう。
軽い運動を習慣化する
外に出ての運動が可能であれば、以下のような軽い運動を行うと良いでしょう。
- ウォーキング:全身運動に効果的
- スクワット:下半身の強化に効果的
- かかとの上げ下げ:ふくらはぎの筋力強化におすすめ
ある研究では「最大収縮を1日1回行うことで、最大筋力の75%までは週12%程度の増加率で筋力は増していく」と示されています。日々の生活に少しづつ取り入れて習慣化することで、寝たきりのリスクを減らしていけるでしょう。
バランスの良い食事を摂る
毎日の食事では、以下のポイントを心がけるのがおすすめです。
- バランスの良い食事
- 3食を規則正しく食べる
- タンパク質を意識した食事
タンパク質は、「植物性」「動物性」の2種類を意識して取り入れていきましょう。
- 植物性:穀物、大豆製品、豆類
- 動物性:乳製品、卵、肉、魚
社会とのつながりを持っておく
自分のペースで良いので人との関わりを持っておくことが、寝たきりの予防につながります。人と関わることで脳が刺激され、段取りや支度が脳の活性化につながるのです。
また、人との会話が増えれば活動の意欲や幸福を感じやすくするドーパミンの分泌が活発になり、気持ちも前向きになるでしょう。
FAQ|寝たきりになる前兆についてよくある質問

Q:寝たきりになる前兆にはどんなサインがありますか?
A:歩くスピードが遅くなることや外出が減る、食欲低下、体重減少などがあります。寝たきりは突然起こるものではなく、いくつもの小さなサインがあるため、注意が必要です。
Q:家族や周囲の方が気づける危険な変化を教えてください。
A:足がもつれることや片足を引きずるなどの変化は要注意です。また、外出を嫌がる・食事量が目に見えて減るなどは、寝たきりや介護状態に進むサインの可能性があります。
Q:前兆が気になる場合、何科を受診すれば良いですか?
A:まずは、かかりつけの内科に相談をし、必要に応じて専門医へ相談しましょう。ふらつきや足が動きにくい場合は整形外科または脳神経内科、物忘れや判断力の低下などは認知症外来や脳神経内科が良いでしょう。
Q:寝たきりになるのを防ぐために、専門サービスを利用したほうが良いですか?
A:はい。気になる前兆がある段階で専門サービスを活用することは、とても有効な予防策です。専門サービスは手段の一つと考え、生活習慣の見直しも一緒に考えましょう。
Q:今日からできる、寝たきりになるのを防ぐ予防策を教えてください。
A:毎日10分でも良いので、少しでも歩き、運動をしましょう。歩くのが難しい方はバランス訓練などもおすすめです。転倒が心配な方は手すりや杖を使用し、無理せず安全に行いましょう。
まとめ|寝たきりになるのを防ぐには”前兆に気づく”ことが第一歩!

寝たきりになるサインに早く気づければ、そのリスクをぐっと減らすことができます。寝たきりの状態は、筋力の低下によって転倒やケガの危険が高まるため、できるだけ早めの対処が大切です。
少しでも気になる変化があれば、フレイルのチェックをしてみましょう。
寝たきりの前兆としてよく見られるのは、
- 身体機能の低下
- 食欲が落ちる
- 体重が減る
- 物忘れが増える
- 元気がない・表情が暗い
といった変化です。これらは早期に気づけば、十分に対策できます。
健康的な生活を長く続けるためにも、無理のない範囲でできる運動や、規則正しい食事を少しずつ日常に取り入れていきましょう。気づきと予防が、あなたの未来の元気を守ります。






