
脳出血後遺症によるしびれはなぜ起こる?メカニズムとリハビリの重要性を解説
2025.07.30

脳出血後遺症は、出血を起こした部位や程度によってさまざまな症状が現れます。脳出血後遺症としてよくみられるのが、しびれやその他の感覚障害です。
後遺症はすぐに改善されるものではないため、退院後も日常生活に影響が出ることも少なくありません。脳出血に対する治療はもちろん、早期のリハビリ開始が重要です。
この記事では、脳出血後遺症の原因や特徴、しびれに対するリハビリの重要性を解説しています。また、自宅でできるリハビリやケア方法を知ることで、本人はもちろん家族の負担軽減にもつながるでしょう。
目次
脳出血後遺症はなぜ起こる?しびれが起こる原因とメカニズム

脳出血は、脳内の血管が破裂して脳組織内に血液が漏れ出ることで発生します。また、脳出血後遺症として、しびれの症状が現れることも少なくありません。
ここでは、脳出血の特徴としびれが起こる原因を解説していきます。
脳出血とは
脳梗塞やくも膜下出血と並び脳卒中のひとつである脳出血は、脳内の細い血管が何らかの理由で破れて、出血してしまっている状態を指します。また、脳出血によって現れる症状や後遺症の程度は、出血を起こした位置や程度によってさまざまです。
脳出血を発症すると激しい頭痛やめまい、言語障害、感覚障害などさまざまな症状が急激に起こります。令和4年の調査によると、脳出血によって死亡した方は33,483人で、脳血管疾患のなかで2番目に多い数字でした。
脳出血の原因と種類
脳出血は、高血圧・動脈瘤・頭部外傷・血管の異常などが原因とされています。
そのなかでもよくみられるのが、高血圧です。高血圧の状態が続くと、血管壁に持続的な圧力がかかって次第に脆くなり、最終的には血管が耐えきれずに破裂して出血を起こしてしまいます。
脳出血には、脳内出血・脳室内出血の2種類があり、それぞれの特徴は以下のとおりです。
- 脳内出血:脳組織内に直接的に血液が漏れている
- 脳室内出血:脳室内に出血が起こっていて脳内の他の出血と組み合わさることが多い
脳内出血の場合、命にかかわる状況になることがよくみられます。
しびれが起こる原因
しびれは、脳や脊髄の損傷によって生じる中枢系と、手足や身体の神経が原因で起こる末梢系の2つに分類されます。このうち脳出血後遺症のしびれは、中枢系にあたります。
脳出血を起こす部位全体の30〜40%を占めている視床は、脳の中でも感覚を司どる部位です。視床や感覚情報を処理する部位が損傷を受けることで、正常な信号の伝達が妨げられ、しびれとして感じるようになります。
脳出血後遺症のしびれが回復するまで…リハビリテーションの重要性

脳出血後遺症としてよくみられるしびれやその他の感覚障害は、適切な治療とリハビリを行うことで、機能改善に期待ができます。特に、脳出血治療後から早期にリハビリを開始することが重要です。
脳出血後遺症の症状
脳出血後遺症は、出血が起こった部位や程度によってさまざまな症状が現れます。後遺症によっては、日常生活に影響を及ぼすことも少なくありません。
- 運動麻痺
- 感覚障害
- 言語障害
- 嚥下障害
上記はほんの一例で、失語症や記憶障害など、さまざまな症状が現れる可能性があります。脳出血後遺症は、一人ひとりの状況にあわせて適切な治療やリハビリテーションを行うことが大切です。
回復期間と回復率
2022年のデータによると、脳出血後遺症によるしびれの回復率は、自宅に戻れた方約26%・リハビリ目的の施設へ移行した方約68%です。回復率はあくまでも目安で、出血の程度やリハビリの開始時期によって異なります。
また、脳出血によるしびれが回復しやすい時期は、発症から3〜6ヵ月の回復期です。回復期間には個人差がありますが、早期にリハビリを開始することで、しびれの改善に期待ができます。
参考:リペアセルクリニック「脳出血のしびれは回復する?麻痺の原因やリハビリ以外の治療方法について」
しびれに対する治療法
脳出血後遺症によるしびれの治療法は、主に以下の3つがあります。
- 薬物療法:鎮痛剤、抗うつ剤、漢方薬
- しびれ同調TEMS(電気神経刺激):電気刺激を流してしびれや感覚障害を改善させる
- 再生医療:自身の細胞や組織を利用する
脳出血後には、上記のような治療とあわせて、早期のリハビリ開始が推奨されています。回復期に適切なリハビリを行うことで、感覚障害の改善や認知機能の改善に期待ができるでしょう。
脳出血後遺症が及ぼす生活への影響|家庭でできるリハビリ方法

脳出血後遺症によるしびれは、改善までに時間がかかる傾向があるため、自宅でもリハビリを行うことがおすすめです。ただし、無理なリハビリは逆効果となる恐れがあります。痛みや異変がある場合は無理に行わず、医師や専門家に相談するようにしましょう。
自宅でできるリハビリ
脳出血後遺症は、退院後も生活に影響を及ぼすことがあります。機能改善と悪化を防ぐためにも、自宅でも継続してリハビリを行うことが大切です。
- しびれている部分を温める
- 手指や手首のストレッチ
- 刺激を入れる
一人で行う際は十分に注意し、痛みや異変がある場合は医師や専門家に相談しましょう。
日常生活でのケア方法
日常生活への影響を軽減するために、状況にあわせた家具や器具を積極的に活用していきましょう。例えば、高さ調節のできるベッドや手すりの設置などが挙げられます。また、疲労がたまるとストレスの原因にもなるため、無理なスケジュールを立てないことも大切です。
その他にも、本人と家族全員でサポート方法を学ぶことで、よりよいサポートができるようになります。ただし、家族の負担が大きい場合には、介護保険制度や外部の支援サービスの活用がおすすめです。
まとめ|脳出血後遺症のしびれ症状…早期のリハビリ開始で改善を目指そう!

脳出血は、血管が破れて脳の中で出血が起こる病気です。主な原因は高血圧で、血圧が高い状態が続くと、血管がもろくなり破れやすくなります。出血した場所や量によって、体にいろいろな症状が出ます。たとえば、体の片側が動きにくくなったり、言葉がうまく話せなくなったりします。
その中でも多いのが、「しびれ」と呼ばれる感覚の異常です。ピリピリしたり、触っても感覚がなかったりすることがあります。これは、脳がうまく命令を出せなくなっていることが原因です。
このようなしびれの改善には、発症してから3〜6ヵ月以内にリハビリを始めることがとても大切です。この時期は「回復期」と呼ばれ、脳が新しくつながりを作り直す力(脳の可塑性)が高まっています。だから、早くリハビリを始めると、回復のチャンスが広がるのです。
ただし、リハビリはすぐに結果が出るわけではなく、毎日コツコツと続けることが大切です。病院を退院したあとも、家でリハビリを続ける必要があります。そのときに、家族のサポートがとても大切になります。
でも、家族だけで支えるのは大変なこともあります。そんなときは、介護保険制度や外部の支援サービスをうまく活用することがすすめられます。たとえば、訪問リハビリやデイサービスを使えば、専門の人がリハビリを手伝ってくれます。これによって、家族の負担が軽くなり、本人も安心してリハビリに取り組むことができます。