
【日常生活動作別】生活リハビリの具体例を紹介!快適な生活を送るために大切なこと
2025.07.11

生活リハビリは、日常生活の延長線上で行うリハビリを指します。具体的には、食事や入浴、排泄などの動作です。これらの動作をリハビリの一環として捉え、身体機能の維持・向上、認知機能の低下を予防します。
また、生活リハビリは加齢による筋力や体力の低下に対しても効果的です。日頃から意識して行うことで、より長く快適な生活を送れるようになるでしょう。
この記事では、生活リハビリの具体例を日常生活動作別に紹介します。心身の健康維持のためにも、生活リハビリを継続するためのポイントを理解しておきましょう。
目次
生活リハビリの目的は?種類や効果を具体例も含めて徹底解説

生活リハビリは、自立した生活を送るために欠かせないリハビリです。専門家のもと行うリハビリとは異なり、日常生活動作をリハビリの一環として捉えているため、自発的に取り組む必要があります。
生活リハビリの種類や効果を具体例も含めてわかりやすく解説しますので、継続して取り組むためにも、しっかりと理解しておきましょう。
生活リハビリの種類と目的
生活リハビリは、リハビリの専門家と行う運動療法や機能訓練ではなく、トイレや食事などの日常動作をリハビリの一環として捉えています。つまり、自立した日常生活を送れるようにすることが目的です。
生活リハビリは、以下の2種類にわけられます。
- 日常生活動作(ADL):食事や排泄、入浴など、自立した生活を送るうえで重要な動作
- 手段的日常生活動作(IADL):料理や買い物、公共交通機関を利用した移動など、日常生活動作よりも複雑な動作
手段的日常生活動作が可能であれば、行動範囲が広がり、より質の高い生活を送れるようになります。
生活リハビリが重要な理由
生活リハビリが適切に行われていないと、筋力や体力、認知機能の低下につながります。これらを予防するためにも、意識して自分でできる動作は自分で行うことが大切です。
例えば、病気やケガ、加齢などが原因で1日のほとんどをベッドで過ごす、座って過ごす時間が増えたという方もいるでしょう。この状態が続くと、身体機能が低下して認知症になったり寝たきりになったりなど、症状が悪化する可能性があります。
身体機能を維持・向上するためには、意識して生活リハビリを行い、継続することが重要です。
生活リハビリを効果的に行う方法!日常生活動作別に具体例を紹介

生活リハビリは、継続的に行う必要があります。そのため、モチベーションをどのように維持するのかが重要です。ここでは、生活リハビリを効果的に行う方法を、日常生活動作別に具体例を紹介します。
食事の生活リハビリ
食事の生活リハビリは、姿勢の維持や噛む、飲み込む、箸の使用などの動作を鍛えることが目的です。できるだけ自分の力で行うようにし、介助なしで食事を取ることを意識しましょう。
その際、いつもより時間がかかってイライラしたり食事をこぼしたりなど、思うようにできないことがほとんどです。身体状態にあわせて、ストレスなく食事が取れる環境を整える必要があります。
- スプーンやフォークを用意する
- 周りにビニールを敷く
- タオルを用意しておく
- 滑りづらい食器を使う
思うようにできないことが原因で、食事が嫌になってしまう方も少なくありません。そのようなことを避けるためにも、スムーズに食事の生活リハビリに取り組める環境を整えることが大切です。
排泄・入浴の生活リハビリ
排泄の生活リハビリは、トイレまでの移動や立ち座りの動作など、移動能力の維持と向上に効果的です。また、排泄の際はやや前屈みの姿勢を維持することで腹圧がかかるため、体幹筋力の維持にも役立つとされています。歩行器や杖の使用、手すりの設置などの工夫をすることで、排泄動作をスムーズに行いやすくなるでしょう。
入浴における生活リハビリでは、服の着脱や身体を洗うなど、さまざまな動作が必要となるため、効果的なリハビリの機会とされています。服の着脱一つの動作にしても、上着なら肩や腕の可動域訓練・ズボンなら前屈や骨盤の動きの訓練など、さまざまなリハビリが可能です。
立った状態での着替えが難しい場合は、適切な高さの椅子を活用しましょう。また、必要に応じて脱衣所に手すりを設置するのもおすすめです。
その他の動作の生活リハビリ
生活リハビリを継続するためには、趣味や好きなことを取り入れるのもおすすめです。具体例として、以下のようなものが挙げられます。
- TVの体操番組
- クロスワードやナンプレなどの脳トレ
- 手芸
- 野菜や花の栽培
その他の皿洗いや料理、掃除、洗濯などの家事も生活リハビリに含まれます。趣味や好きなことであれば、身体機能の向上だけでなく生活意欲の維持・向上にもつながるため、積極的に取り入れるとよいでしょう。
生活リハビリを継続するための具体例|できる動作を増やすことが大切

生活リハビリは、継続して行い、できる動作を増やすことが大切です。では、継続するためにはどのような工夫が必要なのでしょうか。ここでは、生活リハビリを継続するための具体例を解説します。心身の健康維持のためにも、ポイントをおさえて楽しく生活リハビリを行いましょう。
簡単な体操から始める
生活リハビリは、難しい動作を短期的に行うのではなく、できる動作を継続して行うことが大切です。そのため、まずは続けやすいことから始めることをおすすめします。
料理や掃除、庭いじりなど、日常生活の一部であるようなことから採用するとよいでしょう。身体状態にあわせて、負担の少ない動作から始めることで、生活リハビリを継続しやすくなります。
住宅改修や福祉用具を活用する
生活リハビリを行うにあたって、身体状態にあわせて環境を整えることも大切です。例えば、廊下やトイレに手すりをつければ、移動や立ち座りの補助となり、自分でできる動作を増やすことに役立ちます。
住宅改修や福祉用具を利用する際は、介護保険が適用となるケースもあるため、担当の方やケアマネージャーに相談してみるとよいでしょう。
心身の健康維持のために大切なこと
心身の健康を維持するためには、出かける場所を増やすのがおすすめです。身体機能が低下すると、外出が億劫になって引きこもりがちになり、身体だけでなく心の機能も低下してしまいます。
近所を散歩するだけでもよいので、まずは外へ出ることが大切です。できたことや行ったことが自信となり、生活の質の向上につながります。
参考:社団法人全国老人保健施設協会「暮らしの中にある身近なリハビリテーション」
まとめ|生活リハビリの具体例を参考にして生活の質を向上させよう

生活リハビリは、自立した生活を取り戻すためにとても大切な訓練です。ここでは、2つの種類に分けて考えます。
- 日常生活動作
食事や入浴、排泄など、毎日必ず行う基本的な動作のことです。たとえば、お椀を持ってご飯を食べたり、シャワーを浴びたりする練習をします。 - 手段的日常生活動作
料理や買い物、掃除など、少し複雑で準備や計画が必要な動作です。買い物リストを作ってスーパーへ行く、レシピを見ながらおかずを作るなどが当てはまります。
理想は、手段的日常生活動作まで自分で続けられることですが、最初は日常生活動作から始めても大丈夫です。たとえば…
- お風呂の準備を自分でやってみる
- トイレの動作をスムーズに行う練習
- 趣味の手芸や庭いじりで手先や体を動かす
など、楽しみながら体を使うことがポイントです。
また、必要に応じて住宅改修や福祉用具を取り入れると、さらに自分でできることが増えます。手すりをつけたり、椅子の高さを調整したりするだけで、安全に動けるようになり、続ける意欲も高まります。
生活リハビリを続けると、体の力が戻るだけでなく、認知機能の低下予防にもつながります。毎日の練習を習慣にして、元気で自分らしい暮らしを目指しましょう。