脳梗塞のリハビリは手の動きの回復が重要!日常に戻るためのモチベーションづくり
2024.04.23
脳梗塞には重症度によって後遺症の差異がありますが、特に気になるのは「手」です。脳梗塞のリハビリでは手の動きの回復を気にかける方も多いでしょう。実際、軽症の場合は以前の暮らしに戻る段階で、「手」が不自由なく使えることは重要なポイントです。
また、脳梗塞後のリハビリ段階で気にあるのは手の状態です。一言に不自由と言っても麻痺や強ばりなど色々症状があります。
今回は、脳梗塞後のリハビリについて考えながら、手の回復について解説します。手の後遺症が軽くても日常に戻るためのリハビリ、モチベーションづくりについても学びましょう。
目次
脳梗塞後のリハビリは長期戦…手に残る不自由がストレスになるケースも
そもそも脳梗塞はリハビリが大変…。手に痺れが残るだけでなく、失語症や視覚障害、認知機能が低下するなどさまざまあります。その中でもまずは手を回復させることで、日常生活を楽にさせることができるでしょう。
なぜ脳梗塞の後に手が使いづらいのか…
脳梗塞後、リハビリ段階で手に残っている症状を整理します。
・手の麻痺
→脳梗塞によって運動中枢や運動経路が損傷を受けているケースなどがあります。麻痺には軽度から重度まであり、軽度の場合は「手足が重たい」「細かな動きができない」といったケースがあります。
・感覚障害
→痛みや温度が感じられない、気づかない、ふわふわしている、などの状態です。他にもピリピリする、少し触れられただけで強い痛みを感じるなど過敏に感じるケースがあります。
・手のこわばり
→自由に手が動かない、動かせない状態で筋肉がこわばっている状態です。手に関わらず「手足が突っ張る」ケースは脳梗塞後によく見られる症状の1つで筋肉が過度に緊張し勝手に動かしづらくなっています。
その他、手の動作を調整する機能が影響を受けていると細かな作業が行えずストレスに感じることもあるでしょう。
参考:脳梗塞リハビリBOT脳梗塞の後遺症とは?症状や原因、リハビリについて解説
知っておくべき手の機能について
脳梗塞後のリハビリで、まずは手の機能を抑えておくことも大事です。
手には片手の手の骨だけで27個存在します。
外に手のひらを開いたり(手指外転)、内側に寄せたり(手指内転)などの大きな動きからお椀を持つときに親指と手のひらを話す動きであったり複雑な動きを日々行っています。
筋肉も手のひらや前腕から繋がっている筋肉などがあります。手のひらには手内在筋のような細かな筋肉が存在するなど、手は複雑な動きを何気なく行うために多くの筋肉が集まって構成されているわけです。
手を動かせることは日常を取り戻すきっかけに
「何気ない行動」を奪われるのはとても苦痛です。例え軽症であったとしても脳梗塞のリハビリ時に思ったように手指が動かせないことはストレスになるでしょう。
生活時においてはご飯を食べる際に食器やお椀をもったり、お箸を持って口に運んだり。ものを持って動かしたり…など、手が関わる動作というのは多いものです。
だからこそ、脳梗塞の後のリハビリにおいて、手を動かす練習をすることは日常を取り戻す第一歩に繋がるのです。
脳梗塞のリハビリは手に限らず「自分で動かしている」という感覚が重要
脳梗塞に限らずリハビリは長く辛い日々です。回復期から生活期に移行する中での重要性を整理しながら、脳梗塞のリハビリにおける手の練習法を学んでいきましょう。
回復期リハビリで満足しないことの重要性
リハビリは主に以下の流れで進んでいきます。
【急性期】治療を最優先し可能な限りで体を動かす。体力の低下を防ぎ回復を待つ。
↓
【回復期】8章から数週間経過してから行うリハビリの効果を期待できる時期。心身機能の回復や機能訓練を行う時期
↓
【生活期】退院後、自宅生活や施設でのリハビリ時期。症状の回復自体も緩やかになっている。
回復期という時期はやはり回復や効果が大きく見られる部分です。一方で、時間が経過すればその回復具合も緩やかになり、成果も見づらくなるもの。ですが、退院してからの方が困りごとが増えたり、次の目標設定が立てづらくなるので「退院時より動けなくなった」などのケースもあるため注意が必要です。
脳梗塞後のリハビリは「自分の手で動かしている」という感覚を
手が動かしづらい、脳梗塞によってリハビリ前から手に関する症状を抱えているという人は、少なからずその感覚に違和感を覚えている事でしょう。
「手は正直諦めていた」
「自分の手という感覚がしない」
「生活において不安が残る」
などの声があるように、手や腕の悩みは暮らしに対して直接不安感を煽ります。
不安感を抑えて暮らしていくためにも、生活期に入ってからは「自分の手で動かしている」という感覚を少しずつ得ることが重要でしょう。
脳梗塞後のリハビリに…手の機能を回復させるための練習法と注意点
脳梗塞のあとはリハビリの連続。手の違和感にストレスを感じることもあるでしょうが、目標をしっかり定めて練習をしていきましょう。
手を動かす練習はハードではない
手には多くの骨や筋肉、前腕の筋肉などさまざまな要素が関わっています。しかし、ことリハビリにおいてはハードに体を動かすわけではないので、比較的ハードルは低め。手を動かす練習をするために目標を決めておくといいでしょう。
訪問リハビリや通所リハビリデイサービスでは、主に「維持」を目的にしていますが、「改善」「回復」を目的にする事業者も多く存在します。
生活する中で「リハビリの目標」を決めて「達成感」を得ていきましょう。
リハビリの目標においては単純に自分がどの状態に持っていきたいのか。やんわりと「手が前のように動かせたら…」ではなく、リハビリテーションの専門の方と具体的に決めておくといいでしょう。小さなハードルを設けておくことで「達成感」にも繋がります。
具体的に「達成感」というのは、動く方の手を使って求める動作の記憶を呼び起こすことなども大事です。普段使っていた「反対の手」でお箸を持つなどはそれなりにハードルもありますので、できた時の達成感もあるでしょう。
参考にしたい練習法
①麻痺側の手のひら、付け根を伸ばすストレッチ
→麻痺側の手のひら。各指の付け根からゆっくり親指でほぐしてあげましょう。強く曲げたり広げたりすると痛みが生じるケースもあるので注意。
②ボールを使った練習
→テニスボール、柔らかいおもちゃのボール、などを用意しつかんで見ましょう。反対の手で引っ張り、ボールを取ろうとします。麻痺している手はなるべく取られないように力を加えて握りましょう。
②の場合は、ある程度軽症で動かせる人にフィットします。重症度や目標を見ながら専門家と相談して進めましょう。
参考:脳梗塞後遺症リハビリセンター重症度別!脳梗塞後遺症後の手の自主トレーニング方法!
脳梗塞・リハビリの手を動かす際の注意点
リハビリは使わなくなっている筋肉の筋力を呼び起こすなどができます。他にも指を折り曲げていく、などのストレッチもあり指の関節や手のひらの筋肉をほぐしていくイメージが大切でしょう。
一方で自宅で自主的に行う場合は「持つ」「動かす」と言った行為から物が落下して怪我をしてしまう、負荷をかけすぎて痛めてしまう、などのケースも想定されます。脳梗塞後のリハビリは手を使う際、どのような症状でも注意を払いましょう。
生活期に入ってから「もう戻らない」と諦めて生活してしまうと、どんどん筋肉が硬直し後遺症も悪化してしまいます。まずは暮らしやすさを求めて環境設定し、徐々に自費でリハビリを続けていきましょう。
脳梗塞におけるリハビリと手の動きの回復|まとめ
今回は脳梗塞後のリハビリ、特に手に関する動きの悩みを整理し、リハビリの重要性について解説しました。
①脳梗塞後、リハビリする際に「手」の悩みは多く存在する
②重症度によって異なるリハビリや回復のための練習方法がある
③生活期でも諦めずに継続してリハビリを行うことが重要
手は生活にとって欠かせない動きを行う部位です。生活期に入って暮らしにくさを感じストレスを抱え込まないためにも少しずつトライしていきましょう。