Q.
難病患者のリハビリでは、具体的にどんなトレーニングをするの?
難病患者のリハビリと一言で言っても、病気の種類や症状によって、行うトレーニングは様々。でも、大きく分けると、筋力維持・強化、関節の可動域維持、日常生活動作の練習の3つが柱になります。
まず、筋力維持・強化トレーニング。難病の多くは、筋力の低下が大きな問題になります。「足が前に出ない」「スプーンが持てない」など、筋力が落ちることで日常生活に直結する動作が難しくなってしまうのです。そこで、残された筋力を最大限に活かし、低下を防ぐためのトレーニングが欠かせません。
具体的には、ゴムバンドを使った抵抗運動や、自重を利用したスクワットなど。対象となる筋肉を意識しながら、ゆっくりと力を込める。それを繰り返すことで、筋力の維持・向上を目指します。もちろん、病状に合わせた負荷設定が大切。リハビリ専門職の指導を仰ぎながら、無理のない範囲で行うことが肝心です。
次に、関節の可動域維持。筋力低下に伴い、関節が固くなってしまうのも難病の特徴の一つ。関節が曲がらなくなれば、それだけ体の動きが制限されてしまいます。そこで、ストレッチなどを取り入れ、関節の柔軟性を保つトレーニングが重要になります。
例えば、足の曲げ伸ばしや、肩の回旋運動など。ゆっくりと関節を動かし、硬さをほぐしていく。筋肉の緊張をリラックスさせることで、スムーズな動きを取り戻すことを目指すのです。
さらに、日常生活動作(ADL)の練習も欠かせません。難病患者にとって、着替えや食事、トイレなど、毎日の生活に直結する動作の維持は何より大切。そこで、実際に着替えをしたり、食事の動作を練習したりと、具体的な場面を想定したトレーニングを行います。
リハビリ室だけでなく、自宅での動作も想定。ベッドからの起き上がり方、トイレでの立ち座りなど、患者さんの生活環境に合わせた練習を重ねていきます。これらの積み重ねが、難病があっても自分らしい生活を送る上での土台になるのです。
もちろん、これらはあくまで一例。難病の種類や進行度合いによって、最適なトレーニングは異なります。リハビリ専門職との綿密な相談の上、患者さん一人ひとりに合わせたプログラムを組むことが何より大切。難病と向き合う長い道のりを、リハビリが支える力強い味方になるはずです。