脳血管疾患のリハビリ |日常生活動作の改善と心理面のサポート方法を解説
2024.03.26
脳血管に関する疾患は多くあります。リハビリはそれらの疾患とは切り離せない存在です。しかし、多くの人は疾患とリハビリの情報は別物と考えているケースも…。
疾患を理解し、その中で見えてくる課題をおさえておかなければリハビリの効果も薄れていきます。脳の血管に関する疾患を経験した人が、リハビリを通してどのように社会復帰を目指すのか理解しましょう。
今回は脳の血管に関する疾患とリハビリの方法を解説します。特に心理・精神面の影響も多いのが脳の疾患です。具体的に対策も理解しリハビリに励みましょう。
目次
脳血管に関する疾患はどれくらいあるの?なぜリハビリが必要なのか
脳の血管に関する疾患のリハビリ方法を学ぶ前に、まずはどのような疾患があり、なぜリハビリが必要なのか理解しましょう。
代表的なものは?脳血管に関する疾患
脳梗塞(脳卒中)は代表的な疾患です。血管内の血液が止まるか、あるいは血管が閉塞されることで、脳の一部に血液が届かなくなる状態を指します。
他には血管が破れて脳内に出血する状態の脳出血。動脈瘤の破裂や高血圧が主な原因とされています。他にはくも膜下出血が挙げられます。くも膜下の血管が破れ、脳の周囲に出血する状態で、頭部外傷や動脈瘤破裂が原因。
他にも脳血管奇形、硬膜下血腫・水頭症などが挙げられ、それらの総称として「脳血管疾患」と呼ばれています。
参考:江戸川病院・脳内血管疾患
脳血管に関する疾患は早期のリハビリが必要
「脳血管疾患」と調べると次に出てくるのが「リハビリ」というワードです。それだけ脳血管に関する疾患に対してリハビリの存在は切り離せないものです。
リハビリテーションは、脳の血液供給障害によって影響を受けた患者の機能を回復し、日常生活における機能を改善するために重要です。身体機能の向上や認知機能の回復、日常生活の自立を支援することで、患者の生活の質を向上させることが可能になるでしょう。
脳血管の疾患はリハビリをして日常生活の動作を取り戻すことは可能なのか?
脳血管における疾患のリハビリは早期のリハビリが必要になります。さまざまな医療スタッフのもと、状態の評価が行われ段階的にさまざまなリハビリに取り組みます。重要性や日常生活の動作に近づけるためのステップを理解しておきましょう。
脳血管疾患の多くは早期のリハビリと目標設定が大事
脳血管に関する疾患は、リハビリ以前に患者の意識評価や全身状態の評価などが行われます。脳には変容性という性質があるため、損傷や障害を受けた部分の機能が回復する可能性も。
そのため早期のリハビリテーションでは、この性質を最大限に活用し、脳の再学習や再組織化を促進することが求められます。
患者の身体的、認知的、および精神的な機能を最大限に回復するための基盤を早期リハビリによって作りだすことは次のステップへの余裕をもたらすでしょう。
退院後も意識的なリハビリで日常生活を楽に
脳の血管に関する疾患は退院後もいくつかのポイントを理解して生活を行いましょう。
・薬と状態のチェック…処方された薬を正しく服薬し、定期的な診察や検査も大切。状態のチェックと適切なアドバイスを得ましょう。
・継続してリハビリを…自費訪問リハビリなど自宅でもリハビリを継続することは可能です。継続して取り組める環境を探しましょう。
・生活環境を整えよう…生活環境も転倒や事故を防ぐために、部屋の障害物を取り除いたり、適切な照明を確保する必要があります。
認知リハビリが必要なケースも
記憶障害、失語症などの言語障害、認識力の低下など、脳の血管に関する疾患におけるリハビリではこのような認知リハビリが必要になります。
薬の飲み忘れなどにも響くケースもあるため継続したリハビリが必要になるでしょう。認知リハビリテーションは患者の機能を改善し、日常生活での問題を解決するのに役立ちます。医師や専門家の評価を持って臨みましょう。
心理面のフォローも欠かさずに…脳血管疾患にありがちなストレスや鬱症状
心理・精神面のメンテナンスやフォローは重要です。周囲の働きかけも必要になる部分ですので、身内や関わる人々が患者の精神面や状況を注意深く観察してあげるようにしましょう。
感情面や不安を抱えるケース
脳血管疾患は、突然の身体的な変化や機能の制限をもたらすことがあります。患者は不安、怒り、悲しみなどの強い感情を抱くことがあります。もちろん生活環境上の問題も考えられるでしょう。
特に、脳出血や脳梗塞などの病気を起こしたあとは、患者の約20%~40%という数字の中で「うつ病」「抑うつ」の状態になるケースがあります。意欲の低下や一日中行動ができない状況、その他気分の浮き沈みが激しい様子が伺えたらすぐに対処しましょう。
参考:一般社団法人日本うつ病センター・脳卒中を起こした後、うつ病になりやすいってほんと?
中長期的なリハビリは精神面の負担も大きい
リハビリテーションは時に困難な過程です。患者は失望や挫折を経験することもしばしば…。心理的なサポートは、モチベーションの維持だけでなくリハビリの意欲的な参加も促進することができます。
医療保険の適用期間におけるリハビリは6ヶ月とされていますが、維持期に入っても継続的なリハビリは必要です。日常生活の中で自らの意思でリハビリし続けるのは大変な労力…。周りのサポートなしでは、よりよいリハビリに繋がらないことを理解しておきましょう。
周囲のフォローやリハビリ指導側の意識も大切
脳血管疾患後、患者は社会的な変化や日常生活での適応にも直面します。心理的サポートは、家族とのコミュニケーション改善や、社会復帰のサポートに役立ちます。
逆に言えば、脳の血管に関する疾患に関するリハビリは周囲の支えあってこそ総合的な回復が見込めるわけです。
リハビリに携わる一人一人が患者の気持ちや思いを理解し、正しく状況を評価して上で取り組まなければなりません。
まとめ:脳血管に関する疾患とそのリハビリについて
今回は脳血管における疾患とリハビリについて解説しました。重要なのは脳の血管に関する疾患は「リハビリ」が欠かせないということ。それも「正しく」行わなければ、心理・精神面の不安を抱え、良いリハビリに繋がらないケースも。
脳血管疾患にありがちなストレスや鬱症状を知っておくことで、どのように進めるべきか、対処すべきか、などが理解できます。また、心理・精神面をフォローするだけでなく、できるだけ過ごしやすい環境設定をすることも大切でしょう。
リハビリを継続する中でも少しずつ、日常生活に慣れていかなければいけません。その中に潜む障害はできるだけ省き、継続したリハビリを行っていきましょう。