脳出血で後遺症なしの確率は低い?寝たきりになるのを防ぐためには
2023.07.14
脳出血は脳の中の血管が破れて出血してしまう脳卒中の一種である疾患です。「脳出血になっても後遺症なしの場合はあるの?」と不安に思っている方も多いのではないでしょうか。
また、脳出血は原因となる疾患に気をつけることで、ある程度防止することは可能です。脳出血を起こしてしまった後は、後遺症なしや後遺症がある場合に限らず再発防止に努めることも重要になります。
そして、脳出血の後遺症に重要とされるリハビリはどの程度効果を発揮するのかも、事前に知っておくようにしましょう。
目次
脳出血とは?後遺症なしは少ない?症状や原因について
脳出血には前兆や初期症状が存在するのでしょうか?脳出血は、重篤な後遺症も生じる可能性のある重大な疾患です。その後遺症にはどのようなものがあるのでしょうか?
脳出血の原因を知って、日頃から気をつけることは重要です。自分で取り組めることから始めてみましょう。
脳出血の原因とは
脳出血は、「動脈硬化」と「高血圧」が大きな原因となります。しかし、高血圧の場合、血圧の管理をきちんとしている場合でのリスクは低くなります。高血圧だとわかっているのに、適切な処置をしないで放置することが一番危険なのです。
また、血液をサラサラにする抗血栓薬を服用している場合には、全身が出血しやすい状態になっており、脳出血のリスクも高まります。
他にも以下のような疾患は脳出血を起こす原因となり得るため、注意が必要です。
- 脳動脈瘤
- 脳動静脈奇形
- もやもや病
- 海綿状血管奇形
- アミロイド血管症
脳出血は前兆や初期症状を見逃さない
脳出血には基本的に前兆はないと言われています。しかし初期症状は存在するため、このような症状には脳出血の疑いもあることが懸念されます。
- 頭痛
- 吐き気嘔吐
- 顔面麻痺
- ろれつが回らない
- 意識障害
また、脳出血を含む脳卒中の国際的な判断方法として「ACT-FAST」というものがあります。
- ACT:行動
- F:顔に異常
- A:腕に異変
- S:言葉(ろれつが回らない、言葉の理解・発音ができない)
- T:すぐに救急要請
という意味になります。
緊急時にすぐに適切な行動ができるよう覚えておくとよいでしょう。
参考:脳卒中?「顔・腕・ことばですぐ受診」|聖マリアンナ医科大学脳神経内科学
脳出血の症状=後遺症
脳出血は、発症した際の症状がそのまま後遺症になるといわれています。脳出血の重症度や後遺症の重さも、発症時の意識レベルが大きく影響するのです。また、発症からの時間経過も、処置までの時間が長ければ長いほど予後に悪影響を及ぼします。
脳出血の後遺症は以下の種類の症状です。
- 運動麻痺:脳出血が生じた場所に応じて片側の手足が動かしづらくなる
- 感覚障害:触覚や感覚が鈍くなるか過敏になる
- 言語障害:ろれつが回らなくなる、言葉が出にくくなる、理解できなくなる
- 目の障害:視野が狭くなったり、物が見づらくなる
- 嚥下障害:物を飲み込みにくくなる
- 高次脳機能障害:記憶や注意力に障害が起きる、性格が変わる
脳出血≠脳梗塞?後遺症なしの確率はどのくらい?前兆のあるなしも違う
よく耳にする、脳出血と脳梗塞の違いがわからない方も多くいると思います。脳出血と脳梗塞の違いを理解して適切な行動を取れるようにしましょう。
また、脳出血を起こした場合、後遺症なしの確率はどのくらいなのでしょうか。
脳出血と脳梗塞の違い
脳出血と脳梗塞はいずれも脳卒中の中の一種の疾患です。脳出血は、脳の中の細かい血管が破れて出血してしまうことを指します。
また、くも膜下出血も脳内で出血することに変わりありませんが、こちらは脳の表面の大きな血管にできた動脈瘤と呼ばれるコブが破れて出血することです。
対して、脳梗塞は脳の血管が詰まったり狭くなったりすることで血流がわるくなることによって引き起こされます。
脳梗塞には脳出血と異なり、一過性脳虚血発作という、長くても24時間以内に消失してしまう前兆症状があるのです。一過性脳虚血発作は、急に言葉がでなくなる、ろれつが回らなくなるなどの症状がありますが、数分から10分程度でも消失してしまう可能性もあるので見逃さないよう注意しましょう。
参考:脳梗塞、脳出血(脳卒中)|慶應義塾大学医療・健康情報サイト
脳出血・後遺症なしの確率
脳出血を起こした場合、後遺症なしの確率はどのくらいなのでしょうか?
厚生労働省の脳出血を含む脳卒中患者の予後のデータでは、18〜65歳で脳卒中を発症した1,584例のうち、
- 全く後遺症はない方344例
- 症状はあっても明らかな障害はない方470例
- 軽度の後遺症の方282例
で、後遺症なしから日常生活に介助が必要でない方の確率は、全体の69%となっています。
脳出血は寝たきりになる?後遺症なしの確率は低いが改善は可能
脳出血を含む脳卒中の後遺症なしの確率は、全体のおよそ20%弱とされます。しかし、脳出血を含む脳卒中は、「寝たきりになる原因第1位」でもあるのです。
脳出血で損傷してしまった脳の細胞の回復は不可能ですが、運動機能はリハビリによって回復することが見込めます。
後遺症にはリハビリが重要〔回復過程〕
脳出血の治療として、一番重要なのがリハビリです。出血が止まって落ち着いてきたら、早期に始めることを心がけましょう。その回復過程は急性期・回復期・維持期の三段階になります。
- 急性期のリハビリ:発症・入院してから2週間ほどは、無理のない範囲でのリハビリが重要です。ベッドの周りでできることが好ましいでしょう。
・手足の関節を動かす
・寝返りをうつ等
- 回復期のリハビリ:病態が安定してきた回復期には、日常生活に必要な動作が行えるようにするリハビリを行います。
・運動機能に関するリハビリ(基本動作・歩行訓練・日常動作の訓練等)
・嚥下・言語機能に関するリハビリ(口周りや顔周りの訓練、嚥下訓練等)
・高次脳機能障害を防ぐためのリハビリ:注意障害や失認など、障害に応じて、日常生活を危険なく行うために注意することを訓練します。(同じ行動を繰り返し行う、行動の順序を確認する等)
- 維持期のリハビリ:回復期のリハビリで身につけた機能は、何もしないままだと失われてしまう可能性もあります。退院後もリハビリを続けることが、後遺症の回復には重要です。
参考:脳出血の後遺症、リハビリ|回復期リハビリテーション.net
脳出血のリハビリには自費リハビリが効果的
脳出血の退院後、維持期のリハビリは病院でも行えます。しかし、介護保険や医療保険を使用したリハビリでは制度や制限により満足した効果を得られないこともあるでしょう。
その場合に、自費訪問リハビリを利用することは効果的です。自分の好きな時間に好きな場所で制限なく行えるリハビリは、回復期に身につけた身体機能を定着させ、維持することに役立ちます。保険制度を利用したリハビリに不満を抱えている方は、自費訪問リハビリの利用も検討してみましょう。
まとめ
脳出血は後遺症なしの確率も低くないとはいえ、日常生活に支障が出る後遺症も残る場合があります。発症後、専門医の指導のもと、なるべく早くリハビリを開始し継続していくことが大切です。
私たちは後遺症に合わせたオリジナルのプログラムでリハビリを行います。退院後の維持期に、質の良いリハビリを継続して行いたいと思う方は、ぜひネクストステップスをご利用ください。脳出血からの回復を目指す方に最善の方法をお手伝いいたします。