半月板を損傷したらリハビリで早期治療を!治療法と早く治る理由について解説
2023.05.23
半月板損傷は、スポーツだけでなく老化によって発症します。放っておくと膝の骨が変形し、変形性膝関節症を引き起こす可能性も。できれば早めに適切な治療をしたいところです。
半月板を損傷したら、変形性膝関節症を予防するリハビリが欠かせないといわれています。また、リハビリは保存療法の一つにもなっており、早期治療にも一役買ってくれるのです。
今回は、なぜリハビリが半月板損傷の早期治療に繋がるのかについて解説します。半月板損傷の原因や経過についても併せて解説するので、ぜひ参考にしてください。
何故起こるのか?半月板を損傷してしまう原因とリハビリ期間
そもそも半月板をなぜ損傷し、どれくらいリハビリが必要になるのでしょうか?ここでは、半月板損傷の原因とリハビリ期間について解説します。
半月板損傷は外傷性と非外傷性の2種類
半月板損傷という状態は、基本的に外傷性と非外傷性の2種類に分けられます。
外傷といっても、出血を伴う外傷による損傷はまれです。半月板は膝に体重をかけた状態でひねったり、強い衝撃が加わったりすることで損傷します。
そのため、外傷性半月板損傷はスポーツによるものが多いです。それに対して非外傷性の場合、加齢によって半月板が傷つきやすくなってしまう「変性断裂」が主な原因です。この状態で転倒事故が起きると半月板損傷となってしまいます。
治療中は膝に大きな負担がかかる
半月板損傷の状態になると、膝の曲げ伸ばしが不自由になります。そのため歩行が少し不自由になり、もう片方の膝にも負担がかかることも。
症状が進行すると膝が動かなくなる「ロッキング」という状態に陥ります。この状態まで進行すると激痛が走り、もはや歩くことが困難です。
そのため、転倒やスポーツなどで膝に引っかかりを感じたら、なるべく医師の診断を仰がなければいけません。半月板損傷と診断されたら、症状が進行しないよう治療に入ります。
スポーツするまでに回復するには3ヶ月~6ヶ月
スポーツ性外傷や事故などによる半月板損傷は、復帰するまでに3ヶ月から6ヶ月かかるとされています。
元々、半月板のような軟骨は損傷を受けるとある程度の治癒までに時間がかかります。それに加えて、立ったり歩いたりする時に常に負荷がかかる部分のため、スポーツできるまでに回復するにはそれなりの時間が必要になるのです。
しかし、治るまで寝たきりになれば身体能力が落ちてしまいます。少しでも膝に負担をかけない・身体機能を維持する治療が必要です。だからこそ、半月板損傷にはリハビリが適しているのです。
半月板を損傷した時の治療法はリハビリや手術が一般的
半月板を損傷した場合は、状態に応じてリハビリや手術などの治療が行われます。ここでは、半月板損傷の治療法とリハビリの関係について解説します。
薬物療法やリハビリなどで症状の進行を和らげる保存療法
半月板損傷と診断された際にまだ「ロッキング(膝が動かなくなる状態)」になっていない場合、基本的には保存療法がとられます。
痛みがある場合は痛みを和らげる抗炎症薬などが処方されますが、近年ではリハビリなどの理学療法が主流です。
太ももなどの脚の筋肉を鍛えることで膝への負担を減らしたり、肥満の症状がある方は減量をしたりといった運動療法でも症状改善効果があります。高齢者の場合でも運動療法は効果的です。
断裂幅が大きいor自然治癒が見込めないと手術に
半月板の断裂幅が大きい、もしくはロッキングを発症している場合は手術療法がとられます。また、保存療法を始めてから3ヶ月経っても改善がみられない場合も手術が検討されます。
手術は半月板を縫い合わせる「縫合術」か、半月板自体を取り除く「切除術」の2種類です。
ただし、半月板を切除してしまうと、膝関節への負担が増大し変形性膝関節症を引き起こすリスクが高くなります。そのため、近年ではできる限り縫合術を採る場合が多いです。
近年では再生医療も注目
近年では半月板損傷に対して再生医療が採られることもあります。保存療法の効果がなく、手術を受けられない・受けたくないという方の最後の手段です。
まず患者さんの脂肪から採取した幹細胞を培養するところから始まります。培養した幹細胞を注射で投与すると、半月板の損傷した部分が再生し始めます。
身体への負担が少ないため期待されている治療法ではありますが、現在はまだ自費診療下でしか受けられないのが現状です。
参考:まいどなニュース「膝の半月板を損傷したマラソン選手が優勝「幹細胞移植」ってなに?話題の「再生医療」を取材した」
半月板を損傷したらリハビリは必要?早期治療につながる理由とは
半月板を損傷した場合、基本的にはリハビリや薬物療法を始めとした保存療法がとられます。リハビリは保存療法でも重きを置かれている治療法です。ここでは、半月板損傷においてリハビリがどんな役目を担うのかについて解説します。
リハビリは膝への負担を減らすのが目的
半月板損傷でのリハビリ治療は、膝への負担を軽減し、進行を遅くするのが主な目的です。
重度でない場合でも、半月板損傷を発症すると引っ掛かりを感じ、膝の曲げ伸ばしが困難となります。この状態のまま放置していると、膝の不快感から徐々に膝をかばうようになり、他の部分にも影響が出始めるおそれがあります。
それを和らげるには、脚部の関節や筋肉のトレーニングが効果的です。だからこそリハビリの重要性が高いとされています。
初期リハビリは「関節可動域訓練」が主
半月板損傷の初期段階では、膝関節の「可動域訓練」が主になります。関節可動域訓練は、患部関節の曲げ伸ばし角度を改善する訓練です。
人は膝の引っかかりを感じると、無意識に膝の曲げ伸ばしを避けるようになります。これは膝関節の拘縮(固まること)を引き起こし、さらなる負担をかけることにつながります。
そのため、初期段階で行われるリハビリは関節可動域を確保することが必要です。家でもできる訓練が多いため、気軽にできるリハビリでもあります。
筋力やバランスのトレーニングで膝への負担を軽減
半月板の損傷具合を見ながら、脚部の筋力を鍛えるトレーニングも取り入れられます。また、半月板損傷前のバランスを取り戻すためにバランストレーニングも行います。
半月板の損傷が進行しないためには、半月板への負担を軽減しなければいけません。膝周辺の筋肉(前腿やふくらはぎなど)を鍛えると、膝が安定して支えられるようになります。
筋力がある程度ついたら、最後に行うのがその状態で膝を支えるバランストレーニングです。これにより、半月板がある程度損傷した状態でも問題なく歩けるようになる効果が期待できます。
まとめ
半月板を損傷した場合、リハビリ・薬物療法を始めとした保存療法か手術療法が一般的です。再生医療で半月板を再生することも可能ではありますが、現時点では高額となっており現実的ではないかもしれません。
また、手術は身体に負担がかかります。損傷具合や症状によっては、多くの場合保存療法での症状改善が推奨されています。
半月板損傷の保存療法では、早めからリハビリを行うことが必要不可欠です。スポーツや転倒などで膝に違和感を感じたら、なるべく早く医療機関を受診するようにしましょう。