理学療法士
カオリ
KAORI SASAKI
私は中学・高校と器械体操をやっており、その時の捻挫をきっかけにリハビリを経験、この世界に少し触れました。大学では理学療法士の道に進み、実習先には脳血管障害の方が多かったため、回復期リハビリに興味を持ち、生活期への移行を目指してリハビリと関わってきました。
回復期リハビリの理学療法士として歩き始め、ある大きな「違い」に気づきました。それは、身体機能を高めることと、QOL(生活の質)を高めることは全然違う…ということ。
実は、身体機能が改善しても再入院する場合や、家族の影響で自宅に帰れないことがあります。また、回復期リハビリを経て「回復した」機能が低下することも…。つまりQOLを高めるためには、その方の本当のニーズを知ることが大切なんだと学びました。
私は現在、予防医療や社会福祉士に興味を持ち、現在は社会福祉士の学校に通っています。なぜなら、社会福祉士の勉強をする中で、「世帯丸ごと支援をしなければ、QOL向上につながらない場合がある」ということを知ったからです。そこで、回復期リハビリから、生活期リハビリである訪問リハビリに移行し、ネクストステップスで働くに至りました。
日本は少子高齢化社会である以上、国の歳出を考えると、医療費や介護費を減らしていかなければなりません。「介護保険だから」という受け身の考えではなく、自分の健康は自分で守る意識づけが大事です。そのために、リハビリだけではなく、思考・目的部分にもアプローチしていかないといけない…。結果として、生活機能の向上につながると私は考えています。
私がネクストステップスで働くことを選んだ理由としても、生活に困っている人の役に立ちたいという強い思いです。予防医療が大事と言われつつも、要支援や日常生活支援総合事業(総合事業)の方に対するリハビリ介入は制度的に難しくなっています。慢性腰痛や膝痛、要介護の人でも週に2回の限度があったり、介護保険内でのリハビリでは限界があるのが実情…。リハビリを続けても「膝の痛みが変わらない…」という方の声を聞くと、「本当にリハビリになっているのか」「生活に困っている人はたくさんいるのではないか」そう思うばかりです。だからこそ困っている人の役に立てるよう、日々、アプローチしています。
とはいえ、「もっとこうすればよかったのでは…」「もっと勉強をしないと…」と思わされる場面は多々あります。退院時や生活が楽になった時、「ありがとう」のお手紙やお言葉をいただくともっと頑張ろうと、私のほうが背中を押してもらっている気がします。
今後、生活期リハビリを通して高齢化社会の問題である、ダブルケアやヤングケアラーなど、現役世代や子どもにも関われればと思っています。※ダブルケア(育児と介護)は主に若者世代ではなく30~40代が中心
また、身体機能だけでなく、生活習慣といったところにも目を向けられるような関わりを意識し、日々に取り組んでいければと思っています。