トレッドミル歩行で日常生活を豊かに!リハビリ効果や自宅で行う注意点
2024.10.23
歩く機能が低下すると、できない日常生活動作が増え、趣味活動などに取り組めず生活の質が下がってしまいますね。日常的生活に取り入れやすく、リハビリ効果もある方法の1つにトレッドミル歩行があります。
トレッドミル歩行を適切に行うことで、歩行機能が改善するだけでなく、体力や精神的な落ち込みも改善するのです。この記事では、トレッドミル歩行のメリット・デメリット・効果を解説しながら、自宅でできるトレッドミル歩行訓練の注意点をご紹介します。
適切なトレッドミル歩行訓練を続けて日常生活を豊かにしたい方は、是非参考にしてください。
目次
トレッドミル歩行はどんな人が取り組む?メリット・デメリットも
トレッドミル歩行はリハビリ場面だけでなく、日常にも取り入れられます。どのような人が取り組むとメリットがあるのでしょうか。トレッドミル歩行訓練には注意点もあるので、効果を最大限に引き出せるようにメリットとデメリットを知ったうえで活用していきましょう。
トレッドミル歩行訓練がオススメな人
トレッドミル歩行は、以下のような歩行の訓練をしたい方や体力を維持・向上させたい方にオススメです。
- 脳卒中やパーキンソン病などが原因で運動麻痺がある方
- 脊髄損傷・人口股関節置換術後・怪我が原因で歩行訓練をしたい方
- 体力が落ちてきている高齢の方
老若男女・障害や病気の有無を問わず、適度な有酸素運動をしたい方にトレッドミル歩行は有効といえます。
トレッドミル歩行のメリット・デメリット
寒い時期は外で運動をするのが億劫になりますよね。トレッドミル歩行は、室内で歩行訓練ができるため、天候に左右されずに続けられる点がメリットです。また、歩く速度や傾斜などの負荷を調整でき、運動初心者や軽い運動から始めたい方にもオススメです。
手軽に運動を取り入れられるのがトレッドミル歩行のメリットですが、デメリットもあります。それは、景色が変わらず、飽きやすいという点です。そのため、音楽を聴きながら行ったり、負荷を変えたりすると良いでしょう。また、障害・体力の著しい低下がある方は無理に行うと、怪我の原因となってしまいますので、専門家のアドバイスのもとで行うと安心です。
リハビリでトレッドミル歩行訓練を行うと期待できる3つの効果
リハビリとしてトレッドミル歩行訓練を行う場合があります。ご自分で取り組む場合にも病院などでリハビリを受ける場合にも、トレッドミル歩行訓練の効果を知っていると前向きに取り組むことができますよ。トレッドミル歩行訓練で期待できる3つの効果をみていきましょう。
①心肺機能や体力が向上する
トレッドミル歩行は心肺機能や体力を向上させる効果があります。適切な強度で歩行を行うと、心拍数が上昇し、酸素摂取量が増えるのです。肺で取り込んだ酸素を心臓で循環させるため、心肺機能が向上するといわれています。
トレッドミル歩行を続けると、毛細血管が発達し、筋肉への血流が高まる効果もあります。心肺機能や循環機能を高めると日常の呼吸がしやすくなるのです。疲れやすさや動作の億劫さが軽減され、日常生活動作を行いやすくする効果があります。
②歩幅や歩行率の改善
脳卒中の後遺症で病院や施設などで行われるリハビリを受ける場合、免荷型トレッドミル歩行が行われる可能性が高いです。免荷型トレッドミル歩行とは、吊り下げ式の装置を利用して、患者さんの体重の一部を吊り上げながら体の動きを出しやすくする方法です。
片麻痺の患者さんに免荷型トレッドミル歩行を行うと、即時的に歩幅が改善したという報告があります。さらに、免荷型トレッドミル歩行を続けると、歩行率(1分間の歩数)が改善したのです。
歩幅や歩行率が改善すると、歩く時の安定性が向上し、疲れにくい歩行ができるようになります。
③精神的な落ち込みを改善
病気や障害の後遺症としてうつ症状が出る方もいらっしゃるでしょう。年を重ねたり怪我・病気によりできないことが増えたりすると、気分が落ち込んでしまうことがあります。
精神的に落ち込みがある方にも、トレッドミル歩行は効果的です。適度な運動を行うと脳の血液中に快感ホルモンが分泌され、精神的な緊張が和らぐ作用があります。トレッドミル歩行により、適度な疲労感があると快眠効果も期待できます。
参考:J-STAGE「慢性期脳卒中片麻痺患者に対する体重免荷トレッドミル歩行練習の即時効果および経時効果」
トレッドミル歩行訓練は自宅でできる?マシンの選び方や注意点
トレッドミルは、ランニングマシン・ルームランナー・ウォーキングマシンとも呼ばれ、通販やホームセンターで売られています。心肺機能を向上させたい方や精神的な落ち込みを回復させたい方は、ご自宅で継続的にトレッドミル歩行を行うのがオススメです。マシンの選び方や注意点を解説します。
安全性が確保されるマシンを選ぶ
まずは安全性が確保されているマシンを選びましょう。歩く部分が狭いと転倒の原因となるため、長さ110cm以上幅35cm以上のトレッドミルを選ぶのがオススメです。また、転倒防止のために、手すりや体重を支えるマシンが良いでしょう。転倒したり急に体調が悪くなった場合に、緊急停止ボタンがついていると安心です。
最近では機能がたくさんついているマシンもありますが、機械の操作が苦手な方はシンプルに操作できるものを選びましょう。
強度や時間に気をつける
久しぶりに運動をする方や運動経験が少ない方は、短時間・低強度から始めるのが重要です。いきなり負荷をかけると、怪我の原因となるだけでなく、「辛かった」「痛みがでた」などのネガティブな感情が原因で続けられなくなります。
トレッドミル歩行に慣れてきたら、「かなり楽〜ややきつい」程度の運動強度で続けてみるのが良いでしょう。物足りなくなったら強度を上げるのではなく、運動時間を伸ばすのがオススメです。
自分に合った訓練は専門家の指導を受ける
トレッドミル歩行の負荷・強度・時間を最適なものにしたい方は専門家の指導を受けましょう。トレーナーがついてくれるスポーツジムに通っても良いですし、より専門的なリハビリを受けたい方は自費リハビリという選択肢もあります。
心身機能に良い効果があるトレッドミル歩行を続けて、日常生活をより豊かなものにしていきたいですね。
まとめ|トレッドミル歩行がリハビリにもたらす役割
今回のコラムでは、トレッドミル、つまりランニングマシンを使った歩行訓練がリハビリテーションでどのように役立つのか、そしてどんな人に効果的なのかを詳しく解説しました。
トレッドミル歩行は、ただ歩く練習をするだけでなく、体力を維持・向上させる効果もあります。たとえば、脳卒中やパーキンソン病といった病気が原因で、体の一部がうまく動かせなくなる「運動麻痺(うんどうまひ)」という状態になる人がいます。そうした方々にとって、トレッドミルを使った歩行訓練はとても役立ちます。
退院後もトレッドミルを使うことで、心臓や肺の機能を改善し、体の内側から元気になることができます。また、歩くときの歩幅を広げたり、バランスよく歩けるようになったりと、歩き方そのものを良くする効果もあります。
しかし、トレッドミル歩行訓練にはメリットだけでなく、注意しなければならない点もあります。たとえば、慣れていないと転んでしまう危険性があります。そのため、安全にトレーニングを行うためには、理学療法士などの専門家の指導を受けることが大切です。
トレッドミル歩行は、多くの人のリハビリに役立つ方法ですが、正しく安全に使うことが重要です。興味がある人は、ぜひ専門家に相談してみてください。