大腿筋膜張筋の難易度別ストレッチ|腰痛・膝痛を改善するほぐし方
2025.12.09
「太ももの外側が張る」「反り腰になる」「腰痛や膝痛が起こる」などの悩みは大腿筋膜張筋の硬さによるものかもしれません。
大腿筋膜張筋は太ももの前外側に位置する筋肉です。とても小さな筋肉ですが、硬くなると膝痛や腰痛、骨盤の歪みなどに影響を及ぼします。大腿筋膜張筋のストレッチを行うことで、膝痛や腰痛の軽減の他にもO脚の改善にも効果的です。
今回は大腿筋膜張筋のストレッチの方法を難易度別にご紹介するとともに、なぜ大腿筋膜張筋のストレッチを行った方がいいのか、大腿筋膜張筋の役割についても解説します。
目次
大腿筋膜張筋ってどんな筋肉?硬さが原因で起こる問題とは?

大腿筋膜張筋が硬くなることでさまざまな痛みや不調が起こります。大腿筋膜張筋のストレッチの大切さを知るためにも大腿筋膜張筋の役割や硬いと起こる不具合について解説します。
大腿筋膜張筋の役割
大腿筋膜張筋は太ももの外側にあり、腸脛靱帯と繋がっている筋肉です。大腿筋膜張筋は脚を外側に広げる役割の他にも、股関節の屈曲や内旋の役割を持っています。
また、身体を外側から支えるという重要な役割も担っています。とても小さな筋肉ですが、たくさんの役割があると同時に股関節周囲の筋肉がうまく機能していない時のフォローも行うので時に過剰に働いてしまうことも。
大腿筋膜張筋への負担が大きくなると硬くなり、腰や膝の痛み、骨盤の歪みなどさまざまな症状が引き起こされるのです。
大腿筋膜張筋が硬くなりやすい人
O脚の方や変形性膝関節症を患っている方は、股関節から外向きに負荷がかかるため、大腿筋膜張筋の負担も大きくなりやすいです。負荷をかけることだけでなく、長時間座っているなども大腿筋膜張筋が縮まり硬くなる原因です。
また、ランニングなど運動習慣がある方も、大腿筋膜張筋が硬くなってしまいがちです。負担が大きすぎる場合は、大腿筋膜張筋と繋がっている腸脛靭帯に炎症が起こってしまい「腸脛靭帯炎」を引き起こすこともあります。
<大腿筋膜張筋が硬くなりやすい人>
- O脚の方
- 反り腰の方
- 座りっぱなしの方
- 変形性膝関節症の方
- ランニングを行う方
大腿筋膜張筋が硬くなるとどうなる?
では大腿筋膜張筋が硬くなるとどのような不具合が起きるのかみていきましょう。
- 腰痛
- 膝痛
- 股関節の痛み
- 骨盤の歪み
- 太ももの外側の張り
- 脚の冷え
- 坐骨神経症
大腿筋膜張筋が硬くなると骨盤が前に傾きやすくなったり、脚が内側にねじれやすくなるため、腰痛や膝痛、骨盤の歪みなどの症状が起こります。また、骨盤が前に傾くと反り腰になり、脚の冷えた坐骨神経症にもつながります。
【難易度別】大腿筋膜張筋のストレッチ法|初級~上級まで

大腿筋膜張筋が硬くなるとさまざまな痛みや不具合が生じるので、日頃から大腿筋膜張筋をほぐすことが大切です。難易度別に大腿筋膜張筋のストレッチをご紹介しますので無理のない範囲からはじめましょう。
【初級】寝たままできるストレッチ
<寝たまま行う大腿筋膜張筋のストレッチ>
①仰向けになり、両ひざをたてる
②右脚の外くるぶしを左足の膝の外側にかける
③左脚を内側にゆっくり倒す
④左のお尻から太ももの外側に伸びを感じるところでキープ(20秒前後)
⑤反対側の脚も同じように行う
寝たまま行うので初心者の方も取り組みやすいストレッチです。お風呂あがりや寝る前などリラックスした時間に行うのもおすすめです。痛みがない気持ちいいい伸びを感じる程度で行いましょう。
【中級】横向きで行うストレッチ
<横向きで行う大腿筋膜張筋のストレッチ>
- 横向きに寝て左脚を右脚の前に立てる(右脚は伸ばした状態)
- 両手をついたまま状態を起こしていく
- 右脚の太ももと骨盤の外側の筋肉が心地よく伸びているところでキープ(20秒前後)
- 反対の脚も同様に行う
床で行うストレッチです。両手と曲げている脚で身体を支え、姿勢よく行うのがポイントです。ご自身の柔軟性に合わせて上体の起こす角度を変えてみましょう。
【上級】椅子を使ったストレッチ
<椅子を使った大腿筋膜張筋のストレッチ>
- 椅子に右ひじをつく(手のひらで支えてもOK)
- 右の脚を横に伸ばし、左足脚は右脚の前で膝をまげ足底を地面につき身体を支える
- そのまままっすぐ下に重心を下げていく
- 右脚の外側が伸びを感じるところでキープ(20秒)
- 反対側も同様に行う
椅子がなければ、テーブルや壁を使って行うこともできます。運動をする前のストレッチとしてもおすすめです。手と曲げている方の脚で上体をしっかりと安定させてストレッチを行うのがポイントです。
大腿筋膜張筋のストレッチを行う時の注意点やおすすめ用具

大腿筋膜張筋のストレッチを行う時は正しい方法で行わないとしっかりとした効果が得られなかったり、逆に痛めてしまう可能性もあります。
ここではストレッチを行う時の注意点や大腿筋膜張筋のストレッチにおすすめの用具もご紹介します。
ストレッチを行う時の注意点
ストレッチを行う時の注意点
- 呼吸を止めず、自然な呼吸で行う
- 痛みを感じない程度で行う
- 正しい姿勢で行う
- 伸ばす部位を意識して取り組む
- 急いで行わずゆっくりと伸ばす(理想は20秒)
柔軟性を高めたいからといって無理してストレッチを行うことは筋肉の緊張を高めてしまうので逆効果です。焦らずゆっくりと行うことが大切です。
また、正しい姿勢でできているかわからない時は、理学療法士やトレーナーなどに相談してみましょう。
大腿筋膜張筋を緩めるのに役立つ用具
大腿筋膜張筋のストレッチを行う時の役立つ道具を2つご紹介します。
- テニスボール
太ももの外側に押し当てグリグリすることで大腿筋膜張筋をほぐすことができます。痛気持ちいい場所が見つかったら集中して行いましょう。慣れてきたら、横向きの姿勢でテニスボールを太ももの下に置き、自重をかけながらほぐすといいでしょう。
- ストレッチポール
横向きの姿勢でストレッチポールに太ももの外側を乗せ前後に転がすことで大腿筋膜張筋を緩めることができます。乗せるだけで痛みを感じる場合は自分の手や立っている脚で調整しながら行うと効果的です。
大腿筋膜張筋のストレッチに関するFAQ

Q1:大腿筋膜張筋は体のどのあたりにある、どんな役割の筋肉ですか?
A1:大腿筋膜張筋は、太ももの前外側に位置する小さな筋肉です。太ももの外側を走る腸脛靱帯と繋がっています。主な役割は、脚を外側に広げる(外転)ことのほか、股関節の屈曲や内旋、そして身体を外側から支える重要な役割を担っています。
Q2:大腿筋膜張筋が硬くなると、具体的にどのような不調が起こりますか?
A2:硬くなると、以下のような様々な不調を引き起こす可能性があります:
- 腰痛や膝痛
- 太ももの外側の張り
- 骨盤の歪みや股関節の痛み
- 反り腰や脚の冷え、坐骨神経症に繋がることもあります。
また、ランニングなどで負担が大きすぎる場合、腸脛靭帯に炎症が起こり「腸脛靭帯炎」を引き起こすこともあります。
Q3:どんな人が大腿筋膜張筋が硬くなりやすいですか?
A3:股関節に負荷がかかりやすかったり、長時間同じ姿勢でいることが多い人は硬くなりやすい傾向があります。
具体的には以下の通りです:
- O脚の方
- 反り腰の方
- 長時間座りっぱなしの方
- 変形性膝関節症の方
- ランニングなど運動習慣のある方
Q4:ストレッチを行うときの正しい姿勢や注意点はありますか?
A4:ストレッチの効果を高め、怪我を防ぐために以下の点に注意しましょう:
- 痛みを感じない程度の「気持ちいいい伸び」で行う。無理なストレッチは逆効果になる可能性があります。
- 呼吸を止めず、自然な呼吸で行う。
- 正しい姿勢を意識し、伸ばす部位を意識して取り組む。
- 急がずゆっくりと伸ばすことを意識し、20秒前後キープするのが理想です。
Q5:ストレッチ効果を高めるのに役立つ道具はありますか?
A5:ストレッチ効果を高め、大腿筋膜張筋をより緩めるのに役立つ道具として、以下の2つが挙げられます:
- テニスボール:太ももの外側に押し当てて、体重をかけながらグリグリとほぐすことができます。
- ストレッチポール:横向きになり、太ももの外側を乗せて前後に転がすことで緩めることができます。
まとめ|大腿筋膜張筋のストレッチ

大腿筋膜張筋の硬さが原因かも!
本記事では、腰痛や膝痛、太ももの外側の張りなどの不調の原因となりやすい、大腿筋膜張筋の難易度別ストレッチをご紹介しました。
この筋肉は、股関節の動作や身体を支える上で多くの重要な役割を担っているため、特に以下の習慣・症状がある方は負担がかかりやすく、硬くなりやすいので注意が必要です。
- O脚の方
- 長時間座りっぱなしの方
- ランニングの習慣がある方
- 変形性膝関節症や反り腰の方
難易度別のストレッチで根本改善を目指そう
大腿筋膜張筋が硬い状態が続くと、骨盤の歪みから坐骨神経症や腸脛靭帯炎といった症状を引き起こすリスクも高まります。
痛みや怪我のリスクを減らすためにも、日頃から大腿筋膜張筋のケアが不可欠です。
記事でご紹介した【初級】寝たままできるストレッチから【上級】椅子を使ったストレッチ**まで、ご自身の身体の状態や柔軟性に合わせた方法を選んでみてください。
焦らず、気持ちいい伸びを感じる程度(約20秒)で、継続的にほぐしていくことが、つらい症状を根本から改善する鍵となります。




