脳卒中の再発率は?急性期のリハビリは最も重要!後遺症の軽減と残った機能を最大限に活かす
2024.06.25
脳卒中は、三大疾病の一つとして広く知られています。2021年の厚生労働省の統計によれば、寝たきりになる原因の第1位です。認知症や高齢者の骨折など、寝たきりの原因には他にも様々なものがありますが、それらも脳卒中によって引き起こされることがあります。
脳卒中は高齢者に限らず、誰にでも突然起こる可能性があります。そして、急性期にリハビリを開始することが、その後の身体機能の回復や予後に大きな影響を与えます。
もし、身近な人に少しでも脳卒中が疑われるような症状が現れた場合は、すぐに救急車を呼びましょう。適切な急性期治療を受け、早期にリハビリを始めることが回復への重要なステップとなります。
目次
脳卒中の急性期のリハビリはなぜ重要なのか?三段階のリハビリの継続が必要
脳卒中は前触れなく突然起こりますが、その中でも脳梗塞には発症してから4.5時間以内の急性期にできる特殊な治療も存在します。特に、発症から48時間以内にはリハビリを始めることが望ましいでしょう。
脳卒中の急性期のリハビリの重要性とは
脳卒中は、脳が詰まる虚血性の「脳梗塞」と、脳の血管が破れる出血性の「脳内出血・くも膜下出血」があります。脳は人間の身体の動きを中枢で統括しており、そこで血液が詰まったり破れてしまうことで、脳の細胞が機能しなくなってしまうのです。
脳卒中では、発症直後の急性期からリハビリを開始することで、廃用症候群の予防、誤えん性肺炎などの合併症の予防、基礎体力の低下を防ぐことが期待できるため、回復期でのリハビリをより効果的なものにできます。
発症直後はなるべく安静にしていなければならないという印象がありますが、安静状態が過度に続くと筋力の低下や関節の拘縮などの廃用症候群を引き起こしてしまうことに。
急性期は発症から約2週間から1ヶ月のことをいいます。発症直後で、身体的・精神的にも辛い時期と言えますが、この時期にリハビリを開始することはとても重要なのです。
脳卒中|急性期が終わったら…回復期のリハビリ
脳卒中の発症後、急性期を終えた1ヶ月後から6ヶ月後を回復期といいます。この期間は、後遺症の回復のためのゴールデンタイムとも呼ばれており、いかに急性期において身体機能の低下を防ぐことができたかで効果も変わることに。
脳卒中を発症した場合には、リハビリを続ける生活が退院後も続くため、急性期、回復期から退院後の日常生活復帰を考えておかなければなりません。
急性期の後には、日常生活動作の向上(ADL訓練)や在宅復帰、復職等に向けたリハビリに取り組みます。家族や介護者は、退院後の環境調整について考えることも必要となります。
脳卒中における退院後の生活期とは
脳卒中の発症後、6ヶ月以降を生活期といいます。回復期のリハビリ、病棟を退院した後の自宅での生活です。
外来でのリハビリや通所のリハビリ、訪問看護や自費のリハビリといった様々な選択肢があります。生活期になると、身体機能の改善よりも維持を目的にしやすくなるため、積極的にリハビリに取り組むことができる環境が必要です。
脳卒中では、急性期や回復期で改善した身体機能が生活期に何もしないことで、再び機能低下してしまうことも。医療保険や介護保険、自費などのリハビリを併用して、リハビリを継続するモチベーションを保つことが大切です。
参考:脳卒中後のリハビリテーションについて|脳卒中支援シリーズ③
脳卒中の急性期のリハビリでは何が行われるのか?リハビリの目的と作業療法
脳卒中の後遺症改善に最も重要な急性期のリハビリ。その内容は具体的にどのようなリハビリを行うのでしょうか?
脳卒中の急性期に行われるリハビリの目的とは
脳卒中の発症後には、急性期において早期にリハビリを開始するのは
- 身体機能の低下防止
- 廃用症候群の予防
- 後に身体機能をできるだけ元の状態に戻すこと
- 早期退院を目指すこと
を、目的としています。
リハビリの内容としては、
- 離床訓練:ストレッチや座る、立つ、車いすに乗り移る
- ADL訓練:食事、着替え、入浴、トイレなど日常生活に必要な動作をできるようにする
- 摂食、嚥下訓練:自助具などを使用して自分で食事をとれるようにする(物を飲み込めない場合)
を、主に廃用症候群の予防のために行うでしょう。
さらに、運動麻痺や言語障害がある場合には「機能回復訓練」を、注意を払ったり、記憶・思考・判断ができないといった高次脳機能障害では「症状に合わせたリハビリ」が行われます。
参考:急性期リハビリでの作業療法とは?目的・やりがいも解説|マイナビコメディカル
急性期のリハビリ…その後にどのような影響をもたらすのか?
脳卒中における急性期のリハビリは、回復期でのリハビリを効果的にします。
病院でリハビリができるのは回復期のリハビリ・病棟までの約150日間です。(高次脳機能障害では約180日間)急性期の時点でリハビリを始めることで、実質的にリハビリの量を増やすことができます。
まずは、同じ体勢で寝ないことから、ベッドの上で座位になる、自分で手足を動かす、関節可動域を維持するといった練習をしましょう。
脳卒中では、脳の損傷部位や重症度によって回復の度合いも様々です。しかし、リハビリを継続することで、脳の別の神経細胞が損傷を負った部分の役割の代わりをしてくれることも期待できます。
脳卒中では急性期のリハビリが重要!退院後のリハビリも継続させる方法
脳卒中を発症すると、退院後もリハビリを続けることは大変困難です。少なくとも、家族や介護者のサポートが必要になります。
急性期だけでなく、生活期でのリハビリも注意点や意識すべき点に気をつけて取り組みましょう。
脳卒中の退院後でのリハビリの注意点
脳卒中を起こすと、麻痺などの後遺症を負った箇所の運動機能を取り戻そうと脳は活発になると言われています。そのピークが急性期であり、その後脳の働きは弱くなることに。
右側に麻痺が残った場合、左側の運動機能で補おうという脳の働きが回復期以降では起こります。そのため、生活期では麻痺や後遺症が残った箇所の機能を改善するリハビリを継続しつつ、反対側や運動障害のない方の身体を鍛えることが重要になるのです。
麻痺していない能力ばかり使うと、麻痺した能力が再び衰えてしまうため、生活期ではバランスよくリハビリで鍛えることを意識しましょう。
参考:脳梗塞の後遺症を軽くするリハビリ方法と期間(急性期、回復期、生活期)|NHK健康チャンネル
脳卒中のリハビリ|自費リハビリという選択肢
脳卒中での急性期から退院後の生活期までリハビリを継続するためには、保険範囲でのリハビリでは回数・時間共に少ないと感じる人や、満足いく効果を得られないと感じる人が多いでしょう。
費用面で問題がなければ、自費でのリハビリを選択することが最適です。自宅で、自分の好きな時間に好きなだけリハビリができる環境は、自費でのリハビリを利用することで可能になります。自費のリハビリを選択する場合には、国家資格を持ったセラピストがいるかどうか、遠方でも対応してくれるのかなどを重要視してみてください。
脳卒中の急性期のリハビリに関するまとめ
脳卒中は、発症後48時間以内にリハビリを開始するのが望ましいことが分かりました。急性期という心身共に過酷な状況で、リハビリに取り組むことは大変なことです。
その中で、「元の生活に戻りたい」「自分はこうなりたい」という強い意思で目標を定めるようにしてください。急性期から回復期のリハビリでは病棟の医師、看護師、理学療法士などが連携を取ってサポートしてくれます。
退院後に、慣れ親しんだ病院で通院のリハビリを続けることも良いですが、さらなる量と質を求めるならば自費リハビリの併用も検討しましょう。
ネクストステップスでは、生活期にもリハビリを継続して歩けるようになった方、買い物に行けるようになった方がたくさんいらっしゃいます。急性期における適切な治療と早期のリハビリの開始を心がけ、退院後には安心できる環境にて、自費でのリハビリを利用してみてはいかがでしょうか。