脳梗塞二回目はどうなる?脳梗塞を繰り返すリスクと再発防止について
2024.09.15
脳梗塞は、何度も起こりやすい病気です。2回目やそれ以降に再発すると、体の状態がどんどん悪くなります。
再発すると、治療へのやる気がなくなることもあり、長い間治療に苦しむ人も少なくありません。ひどい場合、体が動かなくなったり、命にかかわることもあります。
再発は体にも心にも大きな負担をかけるので、自分に合った治療が大切です。
これから、再発のリスクや改善する方法を説明します。自分らしく過ごせるように、脳梗塞の再発を防ぐことを目指しましょう。
目次
脳梗塞二回目はよくあること?再発しやすい脳梗塞の種類はあるの?
脳梗塞は2回目・3回目と、他の病気に比べて非常に再発率が高い病気です。脳梗塞の種類によって確率が異なるため、種類別の再発のしやすさをチェックしましょう。
脳梗塞の原因や症状
脳梗塞の主な原因は動脈硬化の進行です。動脈硬化の進行によって血栓が生じ、脳の血管に血栓が詰まりやすくなるため、脳梗塞の発症リスクが高まります。リスクを低下させるには、動脈硬化を引き起こす危険因子を把握することが重要です。
【動脈硬化の危険因子】
- 高血圧症
- 高脂血症
- 喫煙
- 肥満
- 糖尿病
- ストレス
- 加齢
これらの進行により血栓が生じ、脳梗塞の発症につながるとさまざまな症状があらわれます。
【脳梗塞の症状】
- 片麻痺
- 感覚障害
- 意識障害
- 運動障害
- 言語障害
- 視覚障害
血栓の詰まりで脳細胞に酸素や栄養の運搬ができなくなり、片麻痺や身体的障害が発生するため、身体的・精神的負担が非常に大きいです。
脳梗塞の種類
損傷部位別で種類が異なるため、その過程と特徴を確認しましょう。
【ラクナ梗塞】
脳の細動脈が高血圧によりダメージを受け、血栓が詰まります。梗塞部位は脳奥の血管に起こりやすいです。損傷範囲が小さいので比較的軽症になります。再発を繰り返すと、パーキンソン症候群や認知症の発症につながりやすいです。
【アテローム血栓性脳梗塞】
頸動脈の太い血管がダメージを受け、動脈硬化が進行し発症します。
頸動脈から脳血管に血液が運ばれますが、動脈硬化によりできた血栓が脳に運ばれて詰まる脳梗塞です。症状は軽症の麻痺が徐々に悪化します。
【心原性脳塞栓症】
不整脈や心疾患が生じると、心臓内に血栓が発生します。血栓が脳動脈に運ばれ、つまることで起きる脳梗塞です。
脳梗塞の再発率
脳卒中はほかの病気と比べると再発率が非常に高い病気です。
脳卒中発症後に1年と10年の間で起こる再発率を1年再発率・10年再発率といいます。
脳卒中全体でみた場合の10年再発率は51.3%で、脳梗塞以外のくも膜下出血が70.0%、脳出血が55.6%でした。
脳梗塞の1年再発率は10.0%であり、10年再発率は49.7%です。また、脳梗塞は3種類に分類されており、それぞれ再発率が異なります。
【ラクナ梗塞】
- 1年再発率:7.2%
- 10年再発率:46.8%
【アテローム血栓性脳梗塞】
- 1年再発率:14.8%
- 10年再発率:46.9%
【心原性脳塞栓症】
- 1年再発率:19.6%
- 10年再発率:75.2%
再発率の高い脳梗塞には注意が必要です。
脳梗塞二回目は一回目より重症化する?脳梗塞を繰り返すリスクとは
脳梗塞は1回目より、2回目の方が重症化します。なぜ再発を繰り返しやすいのか、重症化を予防するためにリスクを把握しましょう。
脳梗塞を繰り返すリスク
再発率が高い脳梗塞は、繰り返せば繰り返すほど症状が悪化します。症状の悪化だけでなく、症状の改善がしにくくなる可能性が高いです。
例えば、脳梗塞発症後の治療によりできるようになったことが、再発することでできなくなったりします。初めて脳梗塞を発症した方と再発を繰り返した方を比較した場合、再発した方の日常生活動作において、介助の必要性は非常に大きいです。
再発を繰り返し、できなくなることが増えると治療に対してのモチベーションが低下します。この低下により、寝たきり状態・廃用性症候群・認知症・生命の危機につながるでしょう。
自分らしく生きれるようライフスタイルや身体的状態の維持を図り、再発に対しての対策が重要です。
なぜ脳梗塞は繰り返すのか
脳梗塞を再発する人の特徴は、脳梗塞発症につながる危険因子をすでに持っていることです。脳梗塞の治療が行われても、背景にある危険因子が改善されなければ再発を繰り返しやすくなります。
脳梗塞を繰り返す危険因子とはどのようなものがあるのか、脳梗塞の再発防止のために確認しましょう。
【危険因子】
- 偏った食生活
- 運動不足
- 喫煙
- 過度の飲酒
- 過度のストレス
これらは生活習慣病の危険因子であり、脳梗塞の原因である動脈硬化の進行を高めます。脳の血管に詰まる血栓の形成予防や脳梗塞の再発を防止するには、生活習慣病の改善が非常に重要です。
脳梗塞二回目を防ぐ!脳梗塞の再発を防止するためにできること
脳梗塞発症後に、2回目の再発を繰り返す方は多いです。重症化にもつながる再発を防止するために、自分にできることを見つけましょう。
原因となる病気の管理
脳梗塞の再発防止には、危険因子をコントロールすることが大切です。ほかにも、生活習慣病を改善する方法があります。
脳梗塞の主な危険因子は、高血圧・糖尿病・脂質異常症・喫煙です。特に高血圧による血管へのダメージは大きく、動脈硬化の進行につながりやすくなります。そのため、脳梗塞再発防止では血圧の管理を行うことが重要です。
高血圧の治療方法は、主に薬による血圧のコントロールが行われます。高血圧はすぐに治るものではなく、投薬をやめてしまうと血圧がすぐ戻ってしまうため、長期にわたる治療が大切です。
健康的な血圧は135/85mmHgと定められており、高血圧の方はこの指標を目標に薬剤療法を行いましょう。
生活習慣の改善
脳梗塞再発防止において、生活習慣病を改善することが重要です。生活習慣の乱れを改善し、脳梗塞の再発に対する不安を軽減しましょう。
- 食生活の注意
高血圧・糖尿病・肥満になりやすい塩分や脂質を減らし、食生活の改善が重要です。脂質が多いと動脈硬化を促進させるため、脂質の少ない食事を心がけましょう。
- 禁煙・節酒
喫煙やアルコールは動脈硬化を進行させ、脳梗塞再発につながります。再発防止のために禁煙と節酒を行い、動脈硬化や血栓形成を予防しましょう。
- 水分補給
水分不足になると血栓が発生しやすくなるため、こまめな水分補給を行うことが大切です。
- ストレス管理など
ストレスが多いと動脈硬化の進行につながります。ストレスを溜めないよう発散方法を見つけましょう。
定期的な検査
脳梗塞を一度発生した方は再発率が高いため、定期的な検査を受ける必要があります。
定期的にMRIや頸動脈エコーなどの画像検査を受け、脳の状態やリスクの把握につとめましょう。脳梗塞の発症につながる、動脈硬化進行の原因には生活習慣病が大きく関わっています。
生活習慣病の改善目的で、生活習慣病予防健診が行われています。動脈硬化の早期発見のための健診なので、脳血管疾患のリスクを確認するものではありません。脳の定期検診と生活習慣病予防健診を受けることで、再発リスクの低下や未然防止につなげましょう。
脳梗塞について不安がある方は、検査や健診を受けた際に医師に相談してください。専門家である医師から、脳梗塞についての信頼性のある情報を得るようにしましょう。
自分らしい生活を維持して送れるように、脳梗塞再発に対して定期的な検査を受けることが大事です。
まとめ|脳梗塞二回目の危険性と予防策について
脳梗塞は、一度発症すると2回目や3回目と繰り返し再発することが多く、そのたびに症状が悪くなりやすくなります。また、一度悪化した症状は、元の状態に戻るのが難しくなることもあります。
再発すると、体に新たな問題が増え、治療へのやる気がなくなることも多いです。こうした気持ちの低下は、体を動かさなくなる「廃用性症候群」や、命に関わる危険な状態につながることもあります。
再発を繰り返すと、体調がさらに悪くなり、以前のように自分らしい生活を送ることが難しくなるかもしれません。そのためにも、再発を予防することがとても大切です。
再発予防のためには、動脈硬化(血管が硬くなること)を進行させないことが重要です。今回紹介する生活習慣病の改善方法を参考にして、脳梗塞の再発を防ぎましょう。
もし不安や疑問があれば、脳梗塞について詳しい医師に相談するのが良いでしょう。専門家の意見を聞くことで、より効果的な予防方法を実践することができます。