パーキンソン病になったら気を付けることは?生活の工夫と不安を軽くする基本対策
2026.02.13
パーキンソン病と診断されたとき「今後の生活はどうなる?」と不安を感じる方は多いでしょう。
病気への対策と聞くと、特別なことを始めなければならないように感じられるかもしれませんが、必ずしもそうではありません。毎日の生活で意識したいポイントを知り、できる範囲から整えることが大切です。
今回は「パーキンソン病になったら気を付けること」をテーマに、症状の基礎知識から日常生活の安全対策までをまとめました。また、お家で安心して過ごす工夫や、症状とうまく付き合うヒントもあわせて紹介します。
目次
パーキンソン病になったら気を付けることはこれ!症状の基礎知識

パーキンソン病についてまず押さえたいのが、「どんな症状が現れやすいのか」という情報です。症状の特徴を理解しておくと変化に気づきやすくなり、対策もしやすくなります。
パーキンソン病でよく見られる症状と特徴
パーキンソン病は、進行に伴って現れる症状が変化します。まずは「今、何が起きているのか」を正しく把握し、それぞれの症状に合わせた適切な対策を知ることが、自立した生活を長く続ける第一歩です。
パーキンソン病は、身体の動かし方や日常のリズムに関わる変化が出やすいという特徴があります。主な症状は次のとおりです。
| 症状の分類 | 具体的な症状 | 生活で気をつけるポイント |
| 運動症状 | 手足の震え、動作が遅い、筋肉のこわばり | 転倒に注意。 段差をなくし、急がず動く。 |
| 非運動症状 | 便秘、不眠、気分の落ち込み、幻覚 | 体調変化を記録。 薬の副作用や自律神経に注意。 |
| 姿勢反射障害 | バランスを崩しやすい、前かがみ | 住環境の整備。 手すりの設置や靴の選定。 |
これらの症状は日によって、あるいは時間帯によっても変化します。「昨日はできたのに」と落ち込まず、その時の状態に合わせた無理のない動作を心がけましょう。
初期に現れやすいサインと見逃しやすい変化
パーキンソン病の初期は「小さな違和感」として現れるケースが多く、本人も周囲も気づきにくい傾向があります。日常で見られる主なサインは次のとおりです。
<初期サイン>
- 片側の手足が動かしにくい
- 片足だけ重く感じる
- 靴底の減りが片側に寄る
- ボタンを留めにくい
- 細かな動作に時間がかかる
<生活の中で見逃されやすい変化>
- においを感じにくい
- 表情が固く見える
- 声が小さくなる
- 字が小さくなる
- 朝に体がこわばりやすい
このような変化は「年齢のせい」「疲れているだけ」と感じてしまうケースも多く、気づきにくい場合があります。小さな変化でも長く続くときは、必要に応じて医療機関などで相談できる環境を整えておくと安心です。
診断までの流れと一般的に行われる検査
パーキンソン病の診断は、日常の変化を確認しながら段階的に進められます。一般的な流れを確認しましょう。
⑴問診
症状の出方、気になる変化、生活で困る場面などを確認
⑵診察
震え、筋肉のこわばり、歩き方、動作のスムーズさをチェック
⑶必要に応じた検査
MRI検査や血液検査、DATスキャン、MIBG心筋シンチグラフィーなど
⑷総合評価
問診・診察・検査の結果をあわせて状態を判断
1つの検査だけで診断されるわけではなく、複数の情報を組み合わせながら進められます。
参考:厚生労働省難病情報センター「パーキンソン病(指定難病6)」
パーキンソン病になったら気を付けることは日常生活の安全対策から

パーキンソン病では、転倒やケガを防ぐため、住まいの環境を整えることが大切です。段差や動線を少し見直すだけでも、日常生活の安全性を高められます。
転倒予防と安全に暮らす住まいの工夫
パーキンソン病は、身体の動きがゆっくりになることでつまずきやすくなるため、居住環境を整えることが大切です。まずは転倒リスクを減らすため、以下の工夫から始めましょう。
| 場所 | チェック項目(気をつけること) |
| 床・通路 | ☐ 物やコードが置かれていないか? ☐ 滑りやすいマットはないか? |
| 階段・玄関 | ☐ 手すりはしっかり固定されているか? ☐ 段差に目印があるか? |
| 浴室・トイレ | ☐ 滑り止めマットを敷いているか? ☐ 立ち座りを補助する手すりがあるか? |
| 照明 | ☐ 夜間、足元を照らすフットライトがあるか? |
全てを一度に変えるのは大変ですが、まずは「よく通る動線」から優先的に整理しましょう。特に夜間のトイレ移動を安全にするだけでも、怪我のリスクは大幅に減少します。ちょっとした変化でも、転倒リスクを下げるきっかけになります。無理のない範囲から、環境を整えることが重要です。
食事で気を付けるポイントと栄養面の考え方
パーキンソン病では、飲み込みやすさや便通など、食事関連で負担を感じる場合があります。気になる変化があるときは、次のポイントを意識しましょう。
- 食べやすいやわらかさや大きさに調整する
- こまめに水分をとる
- 食物繊維を適度に取り入れる(便秘予防)
- 薬を服用している場合は、タンパク質の摂取タイミングに注意する
- (レボドパ製剤の吸収に影響することがあるため、医師や薬剤師に相談)
薬は決められた時間に飲むことが大切な理由
パーキンソン病の薬は、一定の間隔で飲むことで作用のリズムが安定しやすくなります。飲むタイミングがずれると、効果を感じにくくなったり動きづらさが出やすくなったりする場合があるため、リズムを整えることが重要です。
<続けやすくする工夫>
- アラームやアプリで時間を管理する
- 飲んだ時間を簡単に記録しておく
- 外出時は必要分の薬を携帯する
負担を減らしながら、服薬を続けやすい工夫を見つけましょう。
家族や周囲のサポートが必要になる場面
パーキンソン病では、動作がゆっくりになることで、日常の中で手助けがあると安心できる場面が増えていきます。特に、着替えや移動、外出前の準備などはサポートが必要になるケースも多いため、事前に把握しておきましょう。
<サポートが役立つ場面>
- 靴や服の着脱が難しいとき
- 段差や階段で不安があるとき
- 食事の準備や片付けが負担に感じるとき
- 通院や買い物などの外出時
どのような場面でサポートが必要なのかを把握しておくと、日々の小さな負担を減らしやすくなります。お互いに自然な形で支え合える環境づくりが大切です。
パーキンソン病になったら気を付けることは生活の質を上げる習慣づくり

日常生活をより良く過ごすには、動きやすさや気分の安定につながる習慣を整えることが欠かせません。無理のない範囲で続けられる工夫を取り入れることで、生活の質を高めやすくなります。
睡眠の質を高めて体の疲れをためないコツ
パーキンソン病では、眠りが浅くなったり途中で目が覚めやすくなったりする場合があります。気になる変化が続くときは、次のような工夫で睡眠環境を整えるのも良いでしょう。
- 寝る前の明かりを落とす
- 寝室の温度や湿度を整える
- スマートフォンの使用を控えるなど刺激を減らす
- 睡眠中に大声を出す、身体が動くなどの症状がある場合は医師に相談する(REM睡眠行動障害の可能性)
心の負担を軽くして気分を安定させるヒント
パーキンソン病では、身体の変化だけでなく気持ちが落ち込みやすくなるケースもあります。不安や心配を抱え込みすぎないためには、次のように、普段の生活の中で気分を整える工夫が大切です。
- 一人で抱えず身近な人と気持ちを共有する
- 短時間でも楽しめる時間をつくる
- 疲れをため込まないよう休息のリズムを整える
小さな工夫でも続けていくと気持ちが安らぐ時間が増え、生活全体が整いやすくなるでしょう。
相談窓口や社会的サポート制度を知っておく
パーキンソン病と向き合ううえで、頼れる窓口やサポート制度の存在を知っておくと安心につながります。困ったときに相談できる場所があるだけでも、日々の負担が軽く感じられるでしょう。
<相談先として活用しやすい窓口>
- 地域の保健センター
- 自治体の福祉相談窓口
- 介護や生活支援に関する専門機関
利用できる支援は地域によって異なるため、早めに情報を集めておくと、必要なときに動きやすくなって安心です。
やってはいけないNG行動
パーキンソン病との生活では、「何をするか」と同じくらい「何を避けるか」が重要です。良かれと思ってやっていることが、実は怪我や症状悪化のリスクを高めているケースも少なくありません。まずは、日常生活で特に注意すべきNG行動を確認しておきましょう。
| シーン | やってはいけないこと(NG) | 理由 |
| 動作 | 急な方向転換・振り返り | 転倒リスクが非常に高いため |
| 服薬 | 自己判断での減薬・中断 | 症状が急激に悪化する恐れがあるため |
| 歩行 | 重い荷物を持っての移動 | バランスを崩しやすいため |
これらのNG行動に共通するのは、「急な動作」と「独断」です。パーキンソン病の症状には日内変動(1日の中での調子の波)があるため、調子が良い時でも常に余裕を持った行動を心がけてください。特に服薬に関しては、ご自身の判断で調整せず、必ず主治医と相談しながら進めることが、長期的な症状安定の鍵となります。
FAQ|パーキンソン病についてよくある質問

Q:パーキンソン病は完治しますか?
A:現時点では、パーキンソン病を完治させる治療法は確立されていません。ただし、適切な薬物療法やリハビリテーション、生活習慣の工夫によって、症状をコントロールしながら日常生活を送ることは十分に可能です。また、病気の進行速度は個人差が大きく、振戦(震え)が主な症状の場合は進行が比較的ゆっくりな傾向があります。定期的な通院と適切な治療を続けることで、生活の質を維持できます。
Q:パーキンソン病は遺伝しますか?
A:患者さんの約90〜95%は、遺伝とは関係なく発症する「孤発性」です。ただし、40歳未満で発症する若年性パーキンソン病(全体の約5〜10%)の一部には、遺伝子の異常が関係するケースもあります。家族に患者さんがいる場合でも、必ず遺伝するわけではないので、過度に心配する必要はありません。気になる場合は、医師に相談しましょう。
Q:パーキンソン病でも仕事は続けられますか?
A:初期から中期であれば、工夫しながら仕事を続けている方も少なくありません。症状の程度や職種によって異なりますが、以下のような対策が役立ちます。
<仕事を続けるための工夫>
- 薬の服用時間を調整して、勤務時間中に効果が持続するようにする
- 職場に病気のことを伝え、必要に応じて配慮をお願いする
- 疲れをためないよう、無理のない勤務時間や業務内容を検討する
- 障害者雇用制度や職場の産業医に相談する
- 症状が進行して仕事が難しくなった場合は、障害年金や障害者手帳の取得、介護保険サービスなどの支援制度を活用する。
Q:薬の副作用が心配…どんな症状に注意すればいいですか?
A:パーキンソン病の薬には、効果的な一方でいくつかの副作用が現れることがあります。主な副作用と対応方法は以下の通りです。
<主な副作用>
- 吐き気・食欲不振
薬の飲み始めの頃に多い。食後に服用する、制吐剤を併用するなどで対応
- 眠気・めまい
特にドパミンアゴニスト使用時。運転や危険な作業は控える
- 幻覚・妄想
高齢者や認知機能低下がある場合に注意。すぐに医師に相談
- ジスキネジア(不随意運動)
長期服用で体が勝手に動く症状。薬の調整が必要
副作用が気になるときは、自己判断で薬を中止せず、必ず医師に相談しましょう。急な服薬中止は症状の急激な悪化を招く危険があるので、注意が必要です。
まとめ|パーキンソン病になったら気を付けるのは一人で抱え込まないこと

パーキンソン病と診断され、「これから何に気をつければいいのか」と不安を感じるのは当然のことです。しかし、この記事で紹介した「転倒を防ぐ住環境」「正しい服薬習慣」「NG行動の回避」といった日常の小さな対策を積み重ねることで、症状の進行とうまく付き合い、自立した生活を長く続けることは十分に可能です。
最も避けるべきなのは、不安や不自由さを一人で抱え込んでしまうことです。パーキンソン病のケアは、ご家族だけでなく、医師や理学療法士などの専門家とチームで取り組むものです。
特に、自宅での動き方に不安がある場合は、訪問リハビリなどの専門サービスを早期から活用することを検討してみてください。
プロの視点で「あなたに合った安全な暮らし方」を整えることが、ご本人とご家族の何よりの安心につながります。まずは、地域の相談窓口や主治医に、今の不安を話すことから始めてみましょう。








