自宅リハビリは「頑張りすぎ」が失敗の元?プロが教える、一生歩ける体をつくる本音の知恵
2026.02.06
退院してホッとしたのも束の間、「家で一人で動いて、もし痛くなったら…」と不安になるのは当然のことです。「無理して悪化させたくない」という慎重な気持ちこそ、実は安全にリハビリを進めるために一番大切なものだったりします。
せっかく病院で頑張って動けるようになったのに、家で動かなくなると、体はあっという間に「省エネモード」に入って固まってしまいます。実は、お家での「ついで運動」こそが、病院で手に入れた筋力を守る一番の習慣なんです。
病院で療法士の指導のもと行うリハビリだけでなく、自宅でも運動を続けることに大きな意味があります。
筋肉量は加齢とともに少しずつ減少するのがわかっており、予防のためには習慣的な運動が必要です。現在の身体機能を維持して自立した日常生活を送るために、運動が苦手な人でも今日からできるメニューと、『自分一人で頑張りすぎない』ためのプロの頼り方まで、現場の視点でお伝えします。
目次
自宅でのリハビリの必要性とは|目的やメリット、デメリットも

専門家がいないのに自宅で行うリハビリに意味はあるのか、と疑問に感じる方もいるでしょう。実際には、どのような運動も健康維持に大きく貢献してくれます。運動の必要性や重要性について理解を深めましょう。
自宅でもリハビリが必要な理由
入院中のリハビリで筋力や体力が回復しても、退院後に活動量が減れば、徐々に動けなくなる可能性も否定できません。そのため、入院期間が終わって自宅に帰っても、リハビリを続けることが重要です。
また、運動不足の状態は生活習慣病を悪化させ、脳卒中や心血管疾患のリスクを高める可能性もあります。脳卒中は1年で約25%、5年で約35%という高い再発率が報告されているため、特に注意が必要です。
病院以外でリハビリを行う目的
病院だけでリハビリを受けていても、充分な効果があるとは言い切れません。筋力や体力、身体の柔軟性などは自宅でも継続して行わなければ刺激が足りず、回復が遅れる可能性もあります。
また、実際に生活する場所での動作訓練も大切です。家事や買い物、趣味活動などもリハビリの一部になるため、積極的に取り組みましょう。
自宅で行う運動のメリットとデメリット
自宅でのリハビリは現状の身体機能を維持するために大切ですが、メリットだけでなく、デメリットもあることを理解しておきましょう。
<メリット>
- 柔軟性を改善する体操やストレッチ
- すぐに運動できるため継続しやすい
- 実際の生活動作に定着しやすい
<デメリット>
- 自己流になり運動効果が得られにくい場合がある
- モチベーションが保ちにくく続かないケースもある
- 身体に負担がかかりすぎる可能性もある
「今日もできなかった…」と自分を責める必要はありません。リハビリが続かないのは意志が弱いからではなく、「頑張りすぎている」からです。まずは「歯を磨いている間だけ」といった、意識しなくても体が動く『生活のついで』に組み込む工夫を伝えましょう。
自宅でのリハビリは正しく継続できれば効果が期待できますが、中止すべきサインを明確に。「翌朝まで痛みが残る」「熱っぽさがある」「動悸がする」。この3つがあったら、その日のリハビリは休んで正解です。この「引き際」を教えるのがプロの視点です。
自宅でできるおすすめのリハビリ!疾患や症状に応じた最適な選択を

自宅という限られた空間でも、効果的なリハビリは可能です。特に、柔軟性改善や下肢、体幹の筋力強化は一人でも簡単に続けられます。さまざまな種目のなかから、自分に適した内容を選択して自主トレメニューに取り入れましょう。
柔軟性を改善する体操やストレッチ
怪我や病気、加齢などが影響して身体の柔軟性は低下し、筋力も発揮しづらくなります。それらを改善するために、体操やストレッチで動きやすい身体を作りましょう。
<自宅でできるおすすめの体操>
- ラジオ体操:座ったままでも十分!全身を動かせる、実は最強のメニューです。
- ももうら(ハムストリングス)伸ばし:ここが緩むと、一歩がスッと前に出やすくなります。
- 寝ながら膝倒し:仰向けで膝を左右にパタンパタンと倒すだけ。腰の重みが抜けて、立ち上がりが楽になります。
『何をすればいいか迷う』という方は、まずはラジオ体操だけでOKです。『いつもより少し遠くに手を伸ばす』くらいのつもりで、大きく動いてみてください。フラつきが心配なら、椅子に座って無理のない範囲で動かすだけでも、体はポカポカと温まってきますよ。
下半身の筋力強化で健康寿命を伸ばす
今の足腰の強さを守れるかどうかは、結局のところ『太ももとお尻』をどれだけ動かせるかにかかっています。厚生労働省も推奨している……なんて堅苦しい話は抜きにしても、ここが弱ると一気に歩くのが億劫になってしまうからです。
家でやるなら、やはりスクワットが一番。ただ、やり方を間違えると、筋肉を鍛えるどころか膝を痛めにいっているようなものです。次の3つの『感覚』だけ、体に叩き込んでください。
<膝を壊さないスクワットのコツ>
- 背中を丸めない:下を向くと背中が丸まって腰を痛めます。しっかり前を向いてお腹に力を入れておきましょう。
- 「椅子に座る」イメージで:膝を曲げることより、股関節をしっかり使ってお尻を後ろに引くことが大切です。
- 裏ももの「張り」を感じる:太ももの前側だけがキツいのはNG。太ももの裏やお尻に「効いてるな」という感覚があれば、正しく動けている証拠です。
スクワットは全身を効率よく動かせる最高の運動ですが、無理に回数をこなそうとすると膝を痛めてしまいます。まずは回数よりも、「今の3つのポイント」を守って、一回一回丁寧に動くことを意識してみてください。
体幹トレーニングで安定した動作を獲得
『最近、歩くときに体が左右に揺れるな』と感じるなら、それはお腹や背中の筋肉が弱って、体の軸がグラついているサインです。実は、一生懸命ウォーキングをしても、この『体の芯(体幹)』だけを狙って強くすることはできません。だからこそ、専用のメニューで『天然のコルセット』を自分の中に作り直す必要があるんです。ここがカチッと安定してくると、立ち上がる時や歩き出しの『重だるさ』が消えて、スムーズに体が動くようになります。
<家でやるなら、この3つ>
- ヒップブリッジ:仰向けでお尻を持ち上げます。慣れてきたら「片脚」でやると、お腹への効き方がガラッと変わりますよ。
- バード&ドッグ:四つ這いで手足を伸ばします。手足を伸ばすことより「体が斜めにならないこと」に集中してください。
- バランスボール:もし家にあるなら、座って足をつかせるだけでも十分。不安定な中で姿勢を保つ練習になります。
実は、ウォーキングや普通の筋トレをどれだけ頑張っても、こうした「体の芯」だけを狙って鍛えるのは難しいんです。だから、あえてこの3つのような、地味だけど『お腹に力が入って、体がビシッと真っすぐになる感覚』を養うメニューを混ぜてみてください。プルプルせずに姿勢を保てるようになれば、歩く時の安定感は見違えるほど良くなりますよ。
自宅でのリハビリが不安な時に利用がおすすめのサービス

「自分一人でリハビリを続けるのは不安…」という方は、専門職のリハビリが受けられるサービスの活用がおすすめです。それぞれの特徴をチェックして、自分のニーズに合った方法を選択できるようにしておきましょう。
通所リハビリで運動指導を受ける
通所リハビリは、施設に出向いて集団体操やレクリエーション、個別リハビリなどを行う介護保険サービスの一つです。リハビリの専門家も配置されているため、自分に合った運動の指導を受けられます。
しかし、「個別リハビリの時間が短い」「通う手間がある」「集団は性格に合わない」など、個人のニーズに適さないことも少なくありません。
施設の雰囲気や指導方法など、事前に見学して確認しておくと良いでしょう。
- 「こんな人は通所(デイケア)がおすすめ!」
一人だとどうしてもサボってしまう方や、外に出て他の人と話すことでリフレッシュしたい方には、通所リハビリが一番の近道です。
訪問リハビリで通院負担を減らす
外出が難しい方は、訪問リハビリの活用がおすすめです。訪問リハビリは専門家による治療や運動指導を自宅で受けられるサービスで、介護保険を使った方法や自費診療も展開されています。
また、実際に生活している環境で行えるため、さまざまな生活のヒントを得ることが可能です。
<訪問リハビリの特徴>
- 生活で困っている動作をその環境で練習できる
- 福祉用具の相談や環境の相談ができる
- 家族や介護者も指導が受けられる
- 外出の手間がかからない
- 集団が苦手でもリハビリ可能
訪問リハビリを利用すると、自分に必要な自宅で行うリハビリの指導も受けられるため、安心して自主トレーニングができるようになるのもメリットの一つです。
- 「こんな人は訪問リハビリを選べば間違いなし!」
とにかく「今の家で、転ばずに安全に暮らし続けたい」という切実な願いがあるなら、訪問リハビリ一択です。プロがあなたの家の手すりの位置や、お風呂の段差を直接見て、あなた専用の攻略法を伝授してくれるからです。
必要に応じてオンラインのリハビリを利用
自宅でのリハビリ効果を高める方法に、オンラインリハビリを活用する方法もあります。インターネットを使って画面越しに専門職の指導を受けられるサービスで、外出の必要がないのが特徴です。
便利なオンラインリハビリですが、細かい指導が受けられないデメリットがあります。運動に自信がない方は、専門家に直接動作を修正してもらえるようなサービスを利用すると良いでしょう。
- 「こんな人はオンラインがおすすめ!」
外出はしたくないけれど、プロに今の動きをサッとチェックしてほしい、という「効率重視」の方に最適です。
FAQ|自宅でのリハビリに関するよくある質問

Q:自宅でリハビリをして効果はありますか?
A:もちろんです。むしろ、週に数回の病院リハビリより、毎日の『ついで運動』の方が、1年後の歩きやすさを左右します。身体機能維持や要介護状態を予防するためには習慣的な運動が欠かせないため、自宅でもまずは今、椅子に座ったまま足首を回すだけでも立派な一歩ですよ。
Q:自宅でのリハビリはどんな運動をすればいいですか?
A:自宅でリハビリを行う際は、難しい運動をする必要はありません。特別な筋トレマシンは不要です。今日お伝えした『お尻引きスクワット』やラジオ体操を、細く長く続けているうちに、『あれ、最近立ち上がるのが楽になったかも』と実感できる日が必ず来ます。
Q:自分でリハビリするのが不安ですが大丈夫ですか?
A:一人でリハビリするのが不安な方は、介護保険サービスや自費リハビリを利用しましょう。訪問リハビリなら、外出せずに自宅で専門家の指導が受けられるため、移動が難しい方にもおすすめです。
まとめ|自宅でのリハビリを続けて安全で豊かな生活を手に入れる

『毎日完璧にやらなきゃ』と思うと、リハビリは一気にしんどいものになってしまいます。大切なのは、100点満点の運動をたまにやるよりも、30点の運動を細く長く続けて、体を固まらせないことです。
今回紹介したストレッチやスクワットは、どれも道具なしで、テレビを見ながらでもできるものばかり。まずは今日、一回だけでも試してみてください。その一歩が、1年後の『自分の足で自由に歩ける未来』を支える土台になります。
もし、一人でやるのが不安だったり、痛みが出て迷ったりしたときは、決して無理をしないでください。訪問リハビリなどのプロを頼って、『今のあなたの体にぴったりのやり方』を教えてもらうのも立派なリハビリです。自分らしく、豊かな毎日を過ごすために、できることから一緒に守っていきましょう。









