
脳血管性認知症の特徴とは…再発予防と適切なケアが症状の悪化を防ぐ?
2025.04.25

脳血管性認知症は、脳の血管障害によって発症する認知症です。脳血管性認知症の特徴として、できることとできないことの偏りが大きい・症状に波があるなどがあげられます。
また、脳血管障害を繰り返すことで段階的に症状が進行するため、生活習慣の見直しや薬物療法・リハビリの活用などを取り入れて再発予防に努めることが重要です。
この記事では、脳血管性認知症の特徴や治療法を解説します。原因や症状も踏まえたうえで、適切なケア方法を理解することが早期発見・早期治療のポイントとなり、脳血管性認知症の予防にもつながります。
目次
脳血管性認知症の特徴は?原因や症状について解説

脳の血管障害を発症すると、段階的に症状が進行し、次第にさまざまな症状が併発する可能性があります。症状の悪化を防ぐためには、脳血管性認知症の特徴を理解し、再発予防に努めることが重要です。
脳血管性認知症の特徴
脳血管性認知症は、脳血管障害をきっかけに発症する認知症で、アルツハイマー型認知症に次いで割合が多いといわれています。
脳血管障害は人によって起こる部位が異なるため、あらわれる症状も人によってさまざまです。また、できることとできないことの偏りが大きいことから、まだら認知症ともいわれています。
脳血管性認知症の原因
脳血管性認知症は、脳梗塞や脳出血といった脳卒中によって、脳の神経細胞が圧迫・破壊されて引き起こされます。
そのため、脳血管性認知症を引き起こす要因は脳卒中とほとんど同じであり、高血圧・糖尿病・生活習慣病などに注意が必要です。
脳血管性認知症の主な症状
脳血管性認知症は、障害を受けた部位によって症状が異なりますが、主な症状はほかの認知症でみられるものが中心です。
- 記憶障害
- 言語障害
- 認知機能障害
脳血管性認知症には、症状に波がある・複数の症状が併発するなどの傾向があります。また、脳卒中を繰り返すことで、段階的に症状が進行していくことも特徴のひとつです。
一度破壊された脳の神経細胞が元に戻ることはないため、適切な治療やリハビリなどを取り入れ、再発予防を行いましょう。
脳血管性認知症の検査・診断方法|特徴の理解が早期発見のポイント

脳血管性認知症は、早期発見・早期治療を行うことが重要です。症状の悪化を防ぐためにも、脳血管性認知症の特徴を理解し、早期発見のポイントをおさえておきましょう。
また、いざというときにスムーズな対応ができるように、診断の流れも解説します。
脳血管性認知症の検査・診断方法
脳血管性認知症は、問診や各種検査によって診断を行います。診断は以下のような流れで行われるため、イメージとして理解しておきましょう。
- 問診:症状や日にちをメモしておくことがおすすめ
- 神経心理検査:認知テストによって記憶力や判断力を確認
- 脳画像検査:CTやMRIなどで血管のつまりや出血を確認
脳血管性認知症の症状が疑われる場合は、ものわすれ外来のある、精神科・脳神経内科を受診することがおすすめです。脳卒中を起こした経験のある方は、治療を受けた担当医に相談すると、スムーズに診断を行うことができるでしょう。
参考:医療法人丹沢病院「血管生認知症とは?特徴・症状や原因、治療方法を医師が解説」
早期発見のポイント
脳血管障害をきっかけに発症することの多い脳血管性認知症は、早期発見・早期治療が大切です。
脳血管障害のほとんどはすぐに症状があらわれますが、種類によっては発見されにくいものもあります。この場合、小さな脳卒中を繰り返し、ゆっくりと症状が進行しているかもしれません。
高血圧や糖尿病といった脳卒中の危険因子がある方は、脳ドッグや頭部MRIなどを行うことで、早期発見することも可能です。
また、周囲に脳血管障害を起こしたことのある方がいる場合、失語・失認・失行などの症状があらわれていないかを注意してみておきましょう。
脳血管性認知症の特徴を踏まえて治療法と再発予防を知ろう

脳血管性認知症の治療は、脳血管障害の再発予防・認知症の症状を抑える対症療法が適用されます。根本的な治療法は確立されていないため、症状の悪化を防ぐことが重要です。
脳血管性認知症の特徴を踏まえたうえで、治療法や再発予防を確認しておきましょう。
薬物療法とリハビリテーション
一度破壊された脳の神経細胞は元に戻らないため、脳血管性認知症の根本的な治療は難しいとされています。そのため、脳血管性認知症の治療では、薬物療法とリハビリを行うことがほとんどです。
薬物療法は、抑うつ症状や高血圧、糖尿病などの症状に応じて処方されます。
脳血管性認知症は、歩行障害や手足の麻痺なども起こることがほとんどのため、リハビリの活用が重要となるのです。ただし、無理なリハビリは逆効果となることもあります。リハビリの際は、専門家の指導のもと、適切な方法で行うようにしましょう。
生活習慣の見直しと適切な環境づくり
脳血管性認知症の予防として、脳血管障害の危険因子である、高血圧や糖尿病などの生活習慣病に注意しましょう。何も症状があらわれていない方でも、食事・睡眠・運動・喫煙など、今の生活習慣を今一度見直してみることがおすすめです。
脳血管性認知症の発症後、症状が悪化する原因のひとつとして、室内での転倒があげられます。家族が脳血管性認知症を発症した場合は、段差をなくしたり手すりをつけたりするなど、転倒防止策を行っておくとよいでしょう。
通所・訪問サービスの活用
脳血管性認知症のケアには、家族のサポートが必要です。しかし、ケアをする家族の負担は大きく、介護に疲れてしまう方は少なくありません。
そうなる前に、通所や訪問サービスなど、認知症の方に向けた支援サービスを活用しましょう。サービスの利用は、家族の負担を減らすだけでなく、専門的なアドバイスをもらえるきっかけにもなります。
各自治体の相談窓口・地域包括支援センターなどで相談が可能です。
まとめ|脳血管性認知症の特徴を理解して早期発見につなげよう

脳血管性認知症は、脳の血管がつまったり、破れたりする「脳血管障害」がきっかけで起こる認知症です。これは、脳の一部がダメージを受けたことで、記憶力や判断力、感情のコントロールなどがうまくできなくなる病気です。
この病気は、早い段階で見つけて、早く治療を始めることがとても大切です。なぜなら、早く対応すれば、それ以上の悪化を防げたり、少しずつでも改善できる可能性があるからです。
脳のどこに障害が出たかによって、症状は人それぞれちがいます。たとえば、
- 急に物忘れがひどくなったり
- 怒りっぽくなったり
- 段取りがうまくできなくなったり
- ぼーっとする時間が増えたりする
といったことが起こるかもしれません。そして、これらの症状がいくつも重なってあらわれることもあります。
もし家族や自分に「もしかして脳血管性認知症かも?」と思うような変化があったら、できるだけ早く病院を受診しましょう。診てもらうときは、精神科や脳神経内科という専門の科がおすすめです。
病院でスムーズに診察を受けるためには、いつ、どんな症状が出たかをメモしておくととても役に立ちます。たとえば、「○月○日から物忘れが増えた」「朝は元気だけど午後になるとぼーっとしている」など、できるだけくわしく書いておくとよいでしょう。
脳血管性認知症の特徴やサインを知っておくことが、早く見つけて、早く対応するための第一歩になります。自分や家族の変化に気づけるように、普段から意識しておくことが大切です。