
片麻痺歩行の特徴は治せる?原因やリハビリ方法・生活の質を上げるコツを解説
2025.05.30

片麻痺になると、動作が特徴的になります。特徴的な歩き方だと、外出時に見た目が気になったり、疲れやすくなったりします。外出が制限されると、生活の質が下がる可能性があるため、回復したい方も多いでしょう。
この記事では、片麻痺歩行の特徴や原因を解説します。リハビリで治るのかどうか、効果があるのかも知ると、リハビリを続けていくモチベーションになるでしょう。
維持期で回復がゆっくりな方向けに、生活の質を上げるコツもご紹介します。歩行を改善し、外出の範囲を広げたい方は必見です。
目次
片麻痺歩行の特徴は?なぜ歩き方が不安定になるのかを医学的に解説

脳卒中になると、障害された脳の部位と反対側の腕や脚に麻痺が起こる方が多いです。そのため、片側が思い通りに使えず、特徴的な動作になります。特に、歩行ができるかどうかは生活の自立度に大きく関わる部分です。片麻痺歩行の特徴や原因を解説します。
片麻痺後の歩行の特徴
片麻痺の人の歩行の特徴は、以下の3つです。
- ぶん回し歩行
…麻痺側の脚を外側に大きく振り出す歩き方です。足の関節を適切なタイミングで曲げられず、そのままだと足を引きずってしまうため、横に振り回すようにして歩きます。
- 反張膝
…歩行中に膝が過度に伸びてしまう状態です。
- 内反尖足
…足首が内側に反り返り、つま先が下がったままになる状態です。歩行時に足の裏が地面にしっかり接地しにくくなります。
また、歩行速度が遅くなったり、上記のような歩き方で転倒リスクが高まったりする特徴もあります。
なぜ片麻痺になると歩き方が変わる?
片麻痺の人は、脳の損傷から運動麻痺が起こり、麻痺側の筋肉を思うように動かせなくなります。そのため、適切なタイミングで関節を曲げ、前に進むのが難しくなるのです。感覚障害も生じる方が多いので、足の位置や動きを把握しにくくなります。
また、脳の損傷により、筋肉の緊張が高まりすぎたり逆に低下しすぎる筋緊張の異常もみられるでしょう。適切な筋肉の張りが保てないため、関節の動きが制限されるのです。
片麻痺歩行を放っておくとどうなる?
適切な治療やリハビリを受けずに、片麻痺歩行を放っておくと、生活の質が下がってしまうかもしれません。異常な歩き方を続けることにより、動きが偏って、別の部位に痛みが起こる場合があります。
また、片麻痺歩行の見た目が気になったり、疲労感が強まったりして外出が制限される方も多いです。外出が制限されると、社会参加の機会が失われ、精神面にも影響が出るといわれています。
参考:脳血管障害の歩行分析
片麻痺歩行の特徴はいつ治るのか…リハビリは効果があるの?

脳卒中後の後遺症は長引く場合が多く、片麻痺歩行の特徴はいつ治るのかを気にする方もいらっしゃるでしょう。回復過程を知って、どのようなリハビリを行うと効果が出るのかを知っておくのが大切です。
片麻痺歩行の改善に必要な4つの要素
片麻痺歩行の特徴を軽減するには、4つの要素が大切です。まず、麻痺側の下肢や体幹の筋力がついていると、歩行が安定しやすくなります。歩行は、自分の重心を適切に前へ進ませるのが大切なので、バランス感覚も重要です。
また、関節の柔らかさも必要です。つま先を上げられない状態では、床に引っかかって転ぶ原因となるでしょう。歩く時は、足の裏の感覚を頼りにバランスをとったり、タイミングよく足を曲げたりしています。そのため、足の感覚を回復させるのも重要です。
片麻痺患者さんの回復過程
脳卒中発症から3〜6ヶ月の回復期は、一番リハビリの効果が出やすく、回復する時期だといわれています。発症から6ヶ月以降の維持期は、回復スピードがゆっくりになるのが一般的です。
しかし、維持期の片麻痺患者さんでも、集中的な下肢の筋力トレーニングや歩行練習で、歩行速度・歩行距離が向上すると報告されています。
歩行を回復させるにはリハビリが重要
片麻痺歩行の原因は1つではなく、複数の要因が関わっています。そのため、歩行を改善するには、専門家によるリハビリが重要です。脳卒中後のリハビリの期間は、原則150日となっており、維持期の方は病院で疾患別リハビリを受けられる期間が過ぎているかもしれません。
しかし、医師がリハビリの必要性を判断すれば、外来リハビリ・訪問リハビリを利用できます。歩行を改善したい方は、医師に相談してみましょう。また、日常生活に介護が必要な方は、介護保険を利用して通所リハビリ・訪問リハビリを受けられます。
片麻痺歩行の特徴があっても諦めないで!生活の質を上げる3つの工夫

維持期の回復は穏やかなため、片麻痺歩行の特徴は治らない…と諦めてしまう方もいらっしゃるでしょう。ゆっくりと回復している最中にできる、生活の質を上げる工夫を3つご紹介します。心身ともに健康な状態を保っていきましょう。
①自宅でトレーニングを行う
150日を過ぎても医療保険・介護保険を利用してリハビリを受けられますが、時間や回数に制限がある場合がほとんどです。病院や施設・介護度にもよりますが、週1〜2回、一回あたり20分〜40分のリハビリとなります。
リハビリは毎日行うのが理想なので、自宅でトレーニングを行いましょう。椅子に座ったまま太ももを上げたり、立った状態で踵上げなど、家で行えるトレーニングがたくさんあります。インターネットで「片麻痺歩行トレーニング」と検索すると、画像付きの記事や動画が見つかるでしょう。
②転倒しにくい環境を整える
片麻痺歩行の特徴があると、転倒しやすくなってしまいます。転倒すると怪我をしたり、自信がなくなったりするかもしれません。リハビリも重要ですが、環境を整えて転倒しにくくするのも重要です。杖や歩行器を使うと、歩行が安定しやすくなります。
また、家の中では次のような工夫ができます。
- 段差解消スロープで引っかかりをなくす
- 手すりをつける
- 照明を明るくして障害物に気づきやすくする
- 滑りやすい床には、滑り止めマットを敷く
家の中で移動を続けるのも、十分なリハビリとなるため、安心して歩ける環境を整えましょう。
③専門家と連携する
片麻痺歩行の特徴は、脳の障害部位・範囲によって人それぞれです。リハビリや環境を整える時には、専門家と連携すると、ご自分の症状に合った方法を提案してもらえるでしょう。定期的に専門家と話すことで、リハビリを継続するモチベーションにもつながります。
維持期は退院している方がほとんどで、専門家と繋がりがないかもしれません。地域包括支援センターや地域の保健師、自費リハビリ、かかりつけ医などに相談すると、定期的に専門家と会う機会を持てます。
まとめ|片麻痺歩行の特徴

今回は、片麻痺のある人が歩くときにどんな特徴が出るのか、そして家でもできるトレーニングについてわかりやすく説明しました。
片麻痺とは、脳の病気(たとえば脳卒中など)で体の片側がうまく動かなくなる状態です。このような人が歩くときには、いくつかの特徴的な動きが見られます。
たとえば…
- ぶん回し歩行:足をまっすぐ前に出せず、円を描くように外側から回して歩く。
- 反張膝(はんちょうひざ):膝がまっすぐを通り越して後ろに反ってしまう。
- 内反尖足(ないはんせんそく):足の裏が内側を向き、つま先が下がったような状態でバランスがとりにくくなる。
こうした歩き方の変化は、筋肉や関節が思うように動かなくなることで起こります。また、感覚が鈍くなると、自分の足が今どこにあるのか、どう動いているのかがわかりにくくなり、転びやすくなるリスクもあります。
歩くスピードが遅くなったり、歩き方が不自然になることで、周囲の人に気をつかわれたり、外出がおっくうになってしまうこともあります。
でも、正しいリハビリを続けることで、歩き方を改善することはできます。病院や施設でのリハビリに加えて、家でもできる簡単なトレーニングを行うことで、体の動きを少しずつ取り戻すことができます。
大切なのは、一人で悩まず、専門家(理学療法士など)のアドバイスを受けながらリハビリを続けることです。その人に合った運動やサポートを受けることで、毎日の生活をもっと安全に、そして前向きに過ごせるようになります。