脊髄梗塞ってどんな病気?リハビリの内容や脊髄梗塞の特徴を解説
2023.08.01
高齢になるとさまざまな疾患にかかりますが、場合によっては命の危険も伴う脳梗塞にかかってしまうこともあるでしょう。
脳梗塞は、脳の血管がつまることでおこる病気ですが、脊髄でもまれに梗塞を起こすことがあります。
脳梗塞の場合は、左右どちらかの手足などが動かなくなる症状が多いですが、脊髄梗塞の場合は、体の両側に障害がでることが多いとされており、脳梗塞と同じように早期治療、早期リハビリが重要です。
今回は、脊髄梗塞後のリハビリのポイントや脊髄梗塞の特徴についてご紹介します。
目次
脊髄梗塞の症状やリハビリの開始時期|突然の背中の痛みに注意!
脊髄梗塞(せきずいこうそく)は、比較的まれな疾患なので、症状や原因など知られていないことはさまざまです。脊髄梗塞の特徴について見ていきましょう。
比較的まれな疾患|脊髄梗塞
脊髄梗塞は、虚血といって脊髄に酸素をはこぶ血液がとだえてしまい、脊髄組織が酸素または栄養素不足で壊死や壊死に近い状態になることで起こる疾患です。非常にまれな疾患で、脳卒中の1/50から1/100の発症頻度とされており、1年で数人程度です。
脊髄は、大動脈という体内で一番太い動脈から枝分かれした血管によって栄養を補給されていますが、多くの場合において脊髄の腹側と背中側に沿って走る血管のうち、腹側の太い血管がつまることで、脊髄梗塞が起こるリハビリが必要な疾患です。
突然の症状に注意
脊髄は、神経の通り道であるため、血液が流入できる量には限りがあるので、虚血に対してダメージを受けやすく、ある日突然背中が痛むなどの脊髄梗塞の症状が出てリハビリが必要になります。
背中の痛みから肩周辺などに痛みが広がった後、約数分以内に両方の手足に力が入らなくなってしまうこともあります。
梗塞した部分に痛みがでるほか、特徴的な症状として体の両側ともに支障がでたり、尿や便をしたいという感覚がわからなくなる「膀胱直腸障害」という症状もあります。
リハビリは翌日からはじめることもある
脊髄梗塞は、発症すると大きな後遺症を残す場合もあるので、早期から適切な診断・治療や
リハビリをおこなうことで再発を予防していくことが重要です。特に急性期病院では発症から翌日にリハビリがスタートすることもあります。
脊髄梗塞には原因がわからない場合もありますが、その場合は脳梗塞に準じた治療を先におこないます。
参考:近畿理学療法学術大会「脊髄梗塞による対麻痺症状に対して筋収縮を促しながらの反復運動を用いたことで動作能力向上に繋がった一症例」
脊髄梗塞が起こる理由とは…現在知られている原因を紹介
脊髄梗塞の原因は、不明である場合もありますが、大動脈の損傷などでおこることが多いとされています。脊髄梗塞の原因についてご紹介します。
原因①大動脈の損傷
脊髄梗塞は、リハビリが重要な疾患ですが、原因のひとつに大動脈の動脈硬化や大動脈解離、大動脈の手術による動脈の損傷があります。
動脈硬化症のなかでも、もっとも一般的な「アテローム動脈硬化」は、大型または中型動脈の内側に脂質や炎症細胞などを含む内膜プラークが増えることで血流が減少し、さまざまな疾患を引きおこします。
そして、大動脈解離は、大動脈の内膜に裂けめができてしまうことで大動脈が避けてしまう病気ですが、動脈硬化が原因でおこる場合もあります。
原因②脊髄疾患
脊椎梗塞の疾患の一つに、前脊髄動脈症候群というものがあります。
脊髄を通る動脈に前脊髄動脈と後脊髄動脈がありますが、前脊髄動脈は、脊髄の腹側2/3の領域を血管が分布しています。
そして、前脊髄動脈症候群は、この腹側にある脊髄動脈の血流が障害されて脊髄梗塞の原因になる場合もあるとされています。
脊髄梗塞のリハビリって何をするの?自宅でできるリハビリもある
脊髄梗塞のリハビリは、病院でするリハビリや訪問リハビリなどがあります。それぞれどのようなリハビリをしているのかを知って自分に合うリハビリを選択しましょう。
車椅子に慣れることから|急性期病院
急性期の病院における脊髄梗塞のリハビリは、まず体のどの部位を動かせるのか、できること・できないことを確認します。ベッドから車いす、車いすからベッドへの移乗ができないのであれば、車いすへの移乗が楽になるトランスファーボード(スライディングボード)を使用することも可能です。
作業療法士(OT)による腕の力をつける筋力トレーニングや、理学療法士(PT)による歩行器を使った歩く練習、長下肢装具をつけて立位から2、3歩進む運動などもおこないます。
専門的な器具も使用|リハビリテーション病院
脊髄梗塞のリハビリテーション病院では、OTやPTなどスタッフの平均年齢も普通の病院と比べて若く、トレーニングジムのような雰囲気のなかでリハビリがおこなわれます。
寝台が直角になる機器を使用して少しずつかたむけながら立つ練習をしたり、施術台に座って両手を離し体幹を鍛える運動をしたりなど専門的な器具も使ってリハビリします。
また、毎日の移動に必要な動作、トイレでの動作など日常生活へ向けた訓練、車いすから床への移動も台とプッシュアップバーをつかって一人でできるようにする訓練も行います。
スタッフにサポートしてもらえる|訪問リハビリ
脊髄梗塞の訪問リハビリは、自宅にいながらPTなど専門のスタッフにサポートしてもらって運動できるのが魅力です。
足先からふくらはぎへのマッサージ、うつぶせになって片足ずつももをのばすストレッチや四つ這いで背中をのばす運動など、すべてスタッフにサポートしてもらいながらおこなえるので、正しい姿勢を教えてもらいながら安心してリハビリできるでしょう。
毎日1時間程度が目安|自主トレーニング
脊髄梗塞のリハビリのための自主トレーニングは、毎日1時間を目安に無理せずおこなうことが重要です。自主トレーニングの流れについて説明します。
①足の指先から土踏まず、ふくらはぎを伸ばすなどストレッチからはじめ、片足の膝を立て、片足をのばし、両手を上にのばしてお尻を浮かした状態で10秒程度保ちます。
②あお向けになって膝を立て、腹筋を10回。背筋をきたえるために、背中をマットにぴったり押し付け10秒を10回おこないます。
③片足を上に上げ、つま先を直角にして10秒保つ。そしてうつぶせになり、ヒザ下を曲げる運動をして、最後は深呼吸しながらリラックスします。
まとめ:脊髄梗塞のリハビリや脊髄梗塞の症状を紹介
脊髄梗塞(せきずいこうそく)の特徴やリハビリの時期についてご紹介しました。脊髄梗塞にかかる人は、脳梗塞にかかる人よりも少ないので、一般的にはあまり知られていない病気です。
また、治療法についても脳梗塞の治療法に準ずるなど、明確な治療の方法が確率されていないので、治療に不安を持ってしまうこともあるかもしれません。
しかし、急な背中の痛みは、脊髄梗塞ではないとしてもとても危険な状態であることは確かです。
そのような痛みを感じたらすぐにかかりつけの医療機関を受診して早期退院を目指しましょう。