脳梗塞・脳卒中のリハビリにゴルフが効果あり?脳を刺激し楽しく健康を手に入れよう
2023.03.29
現在、日本人の死因の第4位である脳血管疾患のうち、半数を占めているのが脳梗塞です。しかし、医療の進歩や人間ドック等による予防活動の普及により、死亡率は昭和45年頃から減少傾向となっています。
脳梗塞を患った人たちも、リハビリによって日常生活を獲得して社会復帰をしている人は多くいます。リハビリと聞くとなんとなく辛いイメージを持たれがちですが、楽しみながらリハビリを行うこともできるのはご存じでしょうか。
なんとゴルフが脳梗塞のリハビリに効果的なのです。リタイア後の人も現役の人も、ゴルフを趣味とする人は多く、大変な病を発症して趣味を諦めてしまう人は多いと思いますが、趣味を楽しみながらリハビリできるのは朗報です。
今回の記事では脳梗塞のリハビリにゴルフが効果的な理由をはじめ、リハビリ内容や注意点を解説します。
【参考】令和3年(2021)人口動態統計月報年計(概数)の概況
目次
ゴルフが脳梗塞・脳卒中のリハビリに効果的な理由とは?
日本のゴルフ人口は約560万人と言われています。ゴルフの目的はさまざまで、親睦を深めたり、ストレス発散、健康維持等、楽しみながら自分のペースでプレーできるのが大きな魅力です。
ここではそんなゴルフが脳梗塞のリハビリになぜ効果的なのかを解説します。
体を正しく動かし認知症も予防する
脳梗塞を発症すると、脳内の血流低下や出血で周辺組織が壊死し、機能が低下することで認知症を発症する確率が高まります。急激の場合もあれば、徐々に発症する場合もあるため、経過を観察することが必要です。
ゴルフは元々認知症の予防に効果があるという研究が多くされており、実際に効果があるというエビデンスもあります。
ゴルフはコースや天候の特徴等を加味して、自分自身で戦略を立て、ボールを打ったり歩くスポーツです。要は頭と身体両方をくまなく使います。
高次機能を司る前頭葉を刺激することができるため、続けるうちに正しく身体を動かすことができるようになったり、運動も相まって血流が上がり脳内細胞が活性化されることで、認知症の予防につながります。
運動強度は低いが身体機能や筋力は維持できる
ゴルフは比較的低強度でプレーをすることができるスポーツです。しかし、長距離を歩く、スイングは体幹を要する等、持久力と敏捷性を兼ね備えた運動であり、健康増進にとても効果的です。
脳梗塞を患うと、身体をうまく動かすことが難しくなるため、外出だけでなく家の中での基本的な動作も億劫になってしまうことが多いです。
ゴルフはロコモティブシンドロームといった運動器を使わないことによって運動に障害がでてしまう疾患の予防にもなると言われています。ゴルフは脳梗塞によって不自由になってしまった運動器にもアプローチし、筋力や柔軟性、体幹のバランスを維持・向上をさせることができます。
QOL向上により心の健康に役立つ
ゴルフは開放的な外の空気を感じながらプレーすることができますよね。晴れていれば太陽を浴びて、カルシウムの吸収を補助するビタミンDや、ストレスを軽減させる「幸せホルモン」と呼ばれるセロトニンの分泌が活性化されます。
脳梗塞は動脈硬化によって引き起こされる疾患で、ストレスが溜まると発症率が高まります。罹患後であってもストレスを軽減させる習慣をつけることが再発防止になります。
身体をうまく動かすことができなくても、精神的なストレスを軽減させると、QOL(生活の質)が向上するため、心の健康につながります。
ゴルフを用いた脳梗塞・脳卒中のリハビリの具体的な内容を徹底解説!
ゴルフのリハビリは、患者一人一人の身体状況や目的に合わせてカスタマイズすることが必要です。
楽しみながらゴルフをプレーしたいけれど、心配なことも多いですよね。ここでは具体的なリハビリ内容を紹介します。
初めはフィジカルトレーニング
まず取り組むべきことはフィジカルトレーニングです。比較的低強度なスポーツですが、基本的な日常動作である「歩行」を、様々な形状のコースを長距離でするため、筋力強化や心肺機能の向上は必要不可欠です。
現在の身体状況に合わせた強度での筋力トレーニングや、ウォーキングを継続して行いましょう。
ゴルフスイングの習得とコースプレー
フィジカルトレーニングと並行して、スイングの練習も行います。うまい・ヘタ関係なく、ゴルフはボールを打たないとプレーは進められないため、身体状況に合ったペースでスイングの練習をしましょう。
ゴルフ特有の筋肉の使い方もあるため、理学療法士のアドバイスを受けながら今できる最大限の正しい基本フォームを身につけられると良いです。
その後、専門家の判断でコースでのプレーを行ってみましょう。罹患前にプレーしていた時のレベルでできないことは当たり前です。自分のペースで楽しみながら無理なくプレーすることが大切です。
テクニカルなトレーニング
だんだんゴルフに慣れてきたら、テクニカルなトレーニングにチャレンジしてみましょう。レベルを維持しながらプレーすることも良いですが、能力開発をすることで脳はさらに活性化され、自己効力感もアップします。
具体的にはアプローチ、パッティング、ドライバー等、できる範囲で一つずつ段階を経てチャレンジしていくのがおすすめです。
脳梗塞・脳卒中のリハビリにゴルフを取り入れる際の注意点!
ゴルフによるリハビリの強度は徐々に上げていくため、取り組みやすそうな感じはするけれど、無理なプレーは禁物です。
脳梗塞のリハビリにゴルフを取り入れる際の注意点はどんなことがあるのでしょうか。
専門家に相談してから始めよう
ゴルフは自分のペースでプレーできるため、自分自身で取り入れることも可能ですが、身体状況によっては危険な場合や制限が必要なこともあります。
始める前には必ず医師や理学療法士等の専門家に相談しましょう。実費で訪問リハビリをしている場合も、スタッフに相談すればアドバイスを受けながら練習場で一緒に行うことができる場合もあります。
身体状況や体力にあったレベルでのプレーがおすすめ
ゴルフは紳士のスポーツです。ラウンド中は全てにおいて自己責任になりますので、自分自身で制御できるレベルでのプレーをするのは言わずもがなのルールであり、マナーです。
特に身体に障害が少しでもある場合は、リスクを背負いながらのプレーになりますので、全力を出しすぎないように注意しましょう。辛い思いをすることなく、楽しめるレベルでのプレーを心がけましょう。
安全第一で怪我には注意
ゴルフは怪我は少ないと言われますが、注意は必要です。長い間立ちっぱなしだったり、日光に当たりっぱなしだったりと、貧血や熱中症等の体調不良に陥りやすい環境です。
こまめな水分補給やカートでの移動等、徹底した工夫や臨機応変な対応をシチュエーションした上でプレーに臨めると良いです。
まとめ
ゴルフは老若男女人気の一生楽しめるスポーツです。比較的低強度なスポーツで、仲間と楽しみながらプレーでき、ラウンド後の楽しみも魅力的なスポーツです。
脳梗塞という病は死亡率は高いですが、予防は可能です。そしてリハビリによって回復を見込める病でもあります。脳梗塞を患いながらもできる限りで身体を動かすことは、健康な身体づくりに必要なことです。
ネクストステップスでは練習場で利用者のお体の使い方を楽しみながら学習できるようゴルフリハビリもします。
最近では脳卒中片麻痺の利用者様がゴルフリハビリにより、発動しにくい部位のインナー筋肉に刺激が入り、初期の筋肉痛は強かったのですが、ゴルフリハビリを続けていくうちに、たった2か月で195ヤードまで打てるようになった利用者様もおります。同時に歩行動作もゴルフリハビリにより改善されており、身体が崩れて歩行するような動作は、ゴルフリハビリを取り入れる前から比べると圧倒的に減少しました。
元々ゴルフが趣味な方も、そうで無い方も、ぜひゴルフをリハビリに取り入れQOL(生活の質)を向上させてみませんか?興味がある方、今すぐ私たちか身近な専門家に相談してみましょう!