頭蓋内出血の後遺症を軽減!リハビリで改善できる症状と効果的な訓練方法
2023.02.28
頭を強く打つなどの外傷によって生じる頭蓋内出血は、治療を行って退院してもリハビリが必要になることが多い疾患です。
症状の程度によって必要なリハビリは変わりますが、いずれも一定期間のリハビリが必要なのは同じです。
では、どのような症状にどういったリハビリが有効なのでしょうか?また、後遺症が残ってしまった場合症状を軽減することは可能なのでしょうか?
ここでは、頭蓋内出血の後遺症を軽減するリハビリについて解説します。維持的なリハビリと積極的なリハビリでは、どちらが有効かもご紹介します。
目次
頭蓋内出血=脳卒中?リハビリは必要?症状についての基礎知識
まずは頭蓋内出血の基本的な知識と、そもそもリハビリが必要になるのかどうかについてをご紹介します。
脳卒中=脳梗塞・頭蓋内出血の総称
頭蓋内出血(ずがいないしゅっけつ)とは脳の内外の血管が破れて脳細胞が壊死する疾患のことをいいます。同じように血管が詰まって脳細胞が壊死を起こす「脳梗塞」もあります。
どちらも脳細胞が壊死を起こす疾患です。基本的な違いは、頭蓋内出血は血管が「破れる」こと。脳梗塞は血管が「詰まる」ことという覚え方です。これらの脳血管障害を脳卒中と呼んでいます。
さらに頭蓋内出血には2つのパターンに分けられます。脳の中の血管が破れた場合は「脳内出血」と呼び、脳の外側の血管が破れた場合は「くも膜下出血」です。
頭蓋内出血の回復過程
頭蓋内出血の原因はほとんどが頭を強く打つなどの外傷です。動脈硬化や高血圧が原因で起こることもあります。
回復過程は原因によって変わりますが、基本的に3段階に分けられます。急性期・回復期・生活期の3つです。
急性期は発症後から2週間程度で、ほぼ寝たきりの状態になります。それから5~6ヶ月は回復期となり、退院を目指す本格的なリハビリ入院期間です。その後入院期間が終わると生活期となり、様々なリハビリが可能になります。
後遺症はどこで出血したかによって変わる
頭蓋内出血をはじめとした脳卒中の後遺症は、脳のどの部分の血管が破れたかによって変わります。大きく分けると大脳(左右)・小脳・脳幹です。
後遺症の多くは麻痺・感覚障害です。例えば、右大脳側の血管が破れた場合は左半身の麻痺・感覚障害が残る場合が多いです。左大脳側であれば、右半身となります。
視床下部や延髄など脳幹側の血管が破れた場合は、嚥下障害や呼吸障害を引き起こします。このように、出血が生じた部分によって後遺症も変わっていくのです。
リハビリが必要な後遺症とは?
頭蓋内出血は発症して入院すると、ほぼ必ずリハビリ入院期間が必要になります。治療には安静が必要なため、2週間程度はほぼ寝たきりの状態になってしまうからです。
寝たきりになると筋肉が落ち、身体を動かすのがだるくなってしまいます。また、損傷部位によっては麻痺などがありさらに身体が動かしにくくなるかもしれません。
しかし、動かしづらいからといって動かないでいるといずれ廃用症候群(動かさないことによって身体機能が喪失されること)となってしまいます。だからこそ、どんな後遺症でもリハビリで身体を動かす必要があるのです。
改善と悪化を繰り返す後遺症…頭蓋内出血にリハビリ効果はある?
頭蓋内出血を発症すると、入院中もリハビリが必要になります。しかし、退院後後遺症が残った場合でもリハビリ効果があるのでしょうか?
後遺症に対する対処法は3種類
まず、後遺症が残ってしまった場合の対処法には3種類あります。投薬治療・外科手術・リハビリです。
ただし、投薬は痛みを和らげる、血管を広げるといった対症療法で、外科手術は血腫を取り除いたりするといった目的で行われます。いずれも直接的に身体機能の回復をするものではありません。
つまり、後遺症へ対処して身体機能を回復するには、リハビリが最も効果的だということです。
完全に元の脳機能を取り戻すことは不可能
ただし、どんな治療法を用いても脳機能を完全に取り戻すことはできません。頭蓋内出血によって壊死してしまった脳細胞は元に戻らないからです。
しかし、リハビリによって身体を動かし、身体機能の向上を目指すことで生きている脳細胞が死んでしまった部分を補おうとする働きが生まれることがあります。
完全に身体機能を取り戻すことは難しいです。しかし、リハビリによって改善することは可能ということです。
リハビリの目的によって効果が変わる
頭蓋内出血のリハビリには様々なものがありますが、大きく分けると2つあります。身体機能の維持目的と、向上目的です。
維持目的の場合は廃用症候群にならないように必要最低限の生活ができる程度のリハビリを行います。介護保険が使用できる施設ではこういったリハビリがほとんどです。
向上目的の場合は、今以上の身体機能の向上を目指し、積極的に行うリハビリとなります。どちらも一長一短ありますが、長期的に見ると効果が変わっていきます。
頭蓋内出血の後遺症を改善するなら積極的なリハビリが必要
頭蓋内出血の後遺症を改善し、身体機能の向上を目指したい場合には積極的なリハビリが必要です。積極的なリハビリにはその他にも様々な恩恵があります。
麻痺が改善する可能性もある
維持目的のリハビリは、日常動作や歩行訓練が一般的です。しかし、積極的なリハビリでは筋力をつけたり動きやすい方法を模索していくことが多くなります。
麻痺で身体が動かしづらくても、麻痺を抱えた状態で動かす方法は必ずあります。しかし、教えてくれる人がいなければ動かし方はわからないままです。
積極的なリハビリでは理学療法士などの専門家の力を借り、身体の動かし方を模索します。これにより、麻痺の改善を目指すことも可能なのです。
積極的なリハビリは生活能力の向上も可能
また、積極的なリハビリでは維持目的のリハビリではできない生活能力の向上も期待できます。
指先の感覚障害も、訓練を行えば改善が可能です。それによって生活の上でできることが増えることは、成功体験にも繋がります。
後遺症を抱えてしまっても、積極的なリハビリで元の生活をできる限り取り戻すことが可能なのです。
改善には継続的・長期間のリハビリが必要
後遺症の改善は、時間を十分にとり、なおかつ継続して長期間行う必要があります。
しかし、介護保険利用のリハビリの場合は1回のリハビリ時間が限られています。これでは続けていても効果が薄いです。
もし積極的なリハビリを行いたい場合は、比較的時間の取りやすい自費リハビリがおすすめです。自費リハビリであれば、症状と目標に合わせたリハビリも可能になります。
まとめ
頭蓋内出血は脳卒中のひとつです。入院中からある程度のリハビリが必要になる疾患で、ほとんどの場合は後遺症が残ってしまいます。
しかし、後遺症の症状は積極的なリハビリで改善可能です。目標を持って継続的にリハビリを行うことで、麻痺などの症状が和らぐ場合もあります。
頭蓋内出血となってしまっても、諦めずにリハビリを続けることが大事です。身体機能が向上してできることが増えれば、心身ともに症状が改善することが期待できます。ぜひ自費リハビリで積極的なリハビリを行って下さい。