NEXTSTEPS リハビリお役立ちコラム 脊柱側弯症を改善する専用リハビリ「側弯トレーニング」とは?

脊柱側弯症を改善する専用リハビリ「側弯トレーニング」とは?

脊柱側弯症を改善する専用リハビリ「側弯トレーニング」とは?

脊柱側弯症(せきちゅうそくわんしょう)は、主に成長期の子供に発症することの多い、脊柱に関する病気です。しかし大人でも加齢や骨粗鬆症などによって発症してしまうこともあります。

そんな側弯症には、シュロス法や日本人の側弯症患者専用の「側弯トレーニング」という特化リハビリテーションがあります。これらの治療方法は側弯症に対してどのように有効なのでしょうか?

今回は、側弯症患者のための運動療法「側弯トレーニング」をはじめとしたリハビリ治療について解説します。また、装具療法や手術での治療についてもご紹介します。

側弯症のメカニズム…発症したら絶対にリハビリ治療が必要?

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まずは側弯症がなぜ発症してしまうのか、発症したらリハビリ治療が必要になるのかどうかを解説します。

側弯症とは「背骨が左右に曲がっている」状態

側弯症とは、前後から見て背骨が左右に曲がっている状態のことをいいます。元々、背骨は横から見るとS字にカーブを描いていますが、前後から見た場合はまっすぐに見えるはずです。

側弯症を発症している場合、左右どちらかに湾曲しており、姿勢もおかしくなります。そのため、見た目でもわかりやすい病気です。

側弯症にも分類があります。主に何らかの病気・ケガが原因で起きる側弯症を「機能性側弯」、生まれつき脊柱が曲がっていたり、神経・筋肉の病気が原因で起きる側弯症が「構築性側弯」です。

子供が発症する場合が多い

側弯症は大人でも発症する病気です。しかし、比較的子供に発症することが多く、その8割が原因のわからない特発性側弯症です。

子供の場合、3歳以前に発症する「乳幼児期側弯症」、4歳~9歳で発症する「学童期側弯症」、10歳以降の児童に発症する「思春期側弯症」の3段階に分けて診断されます。

特に子供は成長期の発達がみられる時期のため、軽度~中等度の側弯症が見つかった場合は装具療法で矯正するのが一般的です。

側弯症の診断方法

側弯症の正確な診断にはX線検査が必要です。しかし、子供の場合は2016年度より行われている「運動器学校検診」で判断することも可能です。

ただし運動器学校検診はまず家庭での評価が必要になります。判断方法は以下のとおりです。

  • 前屈して背中の左右の高さを比べる
  • まっすぐに立って左右の肩甲骨の高さを比べる
  • 服を着た時に両肩・背中が合うかどうか

側弯症は成長期の子供においていつでも発症する可能性があります。これらの判断は運動器学校検診を行っていない時でも定期的に行いましょう。

参考:日本側弯症学会「大人の側弯症とは?」

側弯症の治療法は「装具」「手術」「リハビリ」の3つ

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では、ここからは側弯症の「装具」「手術」「リハビリ」3つの治療法についてそれぞれ解説します。

①装具療法

装具療法がとられるのは、背骨が25度から40度に側湾している軽度・中度の側弯症です。側弯の矯正だけでなく、症状の進行阻止のために行われます。

ただし、装具療法では背骨をまっすぐに戻すことはできないとされています。子供の場合は添え木のように装具を装着し、矯正しながら成長させることで現状以上のカーブを描かないようにするのが目的です。

また、手術待機の期間に装具療法が取られる場合があります。手術待機中に側湾が進行しないようにするためです。

②手術

重度の側湾がみられる場合は、手術でしか矯正できないといわれています。基本的には曲がった脊柱を矯正・固定をする手術です。

脊柱に対して処置を行うため、神経麻痺や呼吸器合併症などの症状を引き起こす可能性が少なからずあり、リスクを考えてから手術となるのが一般的です。

また、現在では技術が発達しているため、より安全に脊柱矯正手術が行われるようになっています。

③リハビリ・経過観察

側湾のカーブが大きくなく、比較的軽度の側弯症の場合は経過観察やリハビリでの治療が一般的です。

経過観察となった場合は、少なくとも半年に1回は医師の診察を受けることになります。定期的に診察することで、側弯が進行していないかを判断するためです。

リハビリは、脊柱の柔軟性を維持する目的で行われます。脊柱周辺の筋肉や抗重力筋を強化することで、側弯症を発症していても良い姿勢を意識して維持することも可能です。

側弯症専用のリハビリテーション「側弯トレーニング」とは

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側弯症に対するリハビリ治療の中には、日本人向けに考案された「側弯トレーニング」があります。ここでは、側弯トレーニングがどんなリハビリ方法なのかをご紹介します。

日本人の側弯症向けのトレーニング方法

側弯トレーニングは、日本人の体型に合わせた側弯症の運動療法です。

ドイツで発明・確立された「シュロス法」という運動療法が元になっています。シュロス法はドイツでは保険適応となる運動療法であり、世界的に行われています。

しかし、このシュロス法は欧米人の骨格に合わせたものです。そのため、日本人に合わせた側弯トレーニングが開発されました。

理学療法士が講習によって習得

側弯トレーニングは、理学療法士にしか行なえません。認定トレーナー養成講座を受講した理学療法士のみが実施できるリハビリです。

側弯トレーニングの手順は、基本的に理学療法士と患者がマンツーマンで行います。レントゲンや模型をもとに、脊柱がどういう状態になっているのかを確認します。

そこから理学療法士のサポートを受けつつ、自宅でも行える運動や姿勢の矯正を実施して側湾の矯正・維持を行います。基本的には自分で能動的に行うことが多い運動療法です。

リハビリでやってもらうことは可能?

側弯症と診断された場合、リハビリとして側弯トレーニングを行うことは可能です。また、側弯トレーニングではなくシュロス法を行ってもらうこともできます。

どちらを行うかは所属している理学療法士によります。シュロス法・側弯トレーニングどちらかの認定過程を修了している理学療法士に担当してもらうと良いでしょう。

ただし、どちらのリハビリも日常生活において意識して矯正を行うのが重要です。ここで教えてもらった運動や姿勢の矯正を日常でも実施しましょう。また、ストレッチなどはご家族のサポートも必要な場合があります。ぜひサポートしてあげましょう。

まとめ

側弯症は手術以外で完治させることが難しい病気ですが、軽度であればリハビリで矯正・維持することが可能です。

リハビリを行う場合は、ご家族もサポートできるようにしましょう。側弯症のリハビリは日々自宅でも行うのが大切です。リハビリしやすい環境作りをしたいですね。

もし症状が進行してしまった場合は、装具によって進行を軽減できます。ただし、どの治療法においても、医師の指示に従って行うようにしましょう。側弯症が疑われる場合は、運動療法を行う前に必ず整形外科で診断してもらうのが大切です。

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