もう歩けない?脊柱管狭窄症の痛み・痺れを克服する早期発見とリハビリ
2022.12.13
脊椎管狭窄症(せきちゅうかんきょうさくしょう)は、特定疾患として難病指定されている一筋縄ではいかない病気です。
理由として、下肢の痛みや痺れのほか、便秘や尿漏れなどの不調で悩まされる方が多く、似た症状の病気が複数存在しているからです。
脊椎管狭窄症と診断された方の治療法には、根本治療がなく保存療法や手術の提案をされる場合もありますが、できることなら手術は避けたいですよね。
そこで今回は、脊椎管狭窄症の早期発見法とリハビリについて解説します。脊椎管狭窄症は、早期発見とリハビリが鍵を握りますので、ポイントを理解して長く続く痛みからの解放を目指しましょう。
目次
脊柱管狭窄症とは?リハビリ治療が有効なのは早期発見が重要な理由
まずは、脊柱管狭窄症はどんな病気なのかを見ていきましょう。また、リハビリ治療が有効といわれる早期に病気を発見できるように、ポイントも紹介しますよ。
脊柱管狭窄症(せきちゅうかんきょうさくしょう)とは?
まず、脊柱管狭窄症の「脊柱管」とは、背骨の中心部を通る1本の管を指します。背骨は、椎骨という小さな骨と骨の間のクッションのような役割をしている椎間板が、長く積み重なって形成されています。
椎骨という小さな骨には、中心部に穴が開いており、この穴の中を通っているのが脊柱管です。
また、脊椎管狭窄症は、脊柱管の中にある脳と体を繋ぐ神経の通り道が狭くなることで、神経が強く圧迫されることにより、痛みや痺れが現れる病気です。中高年に多く発症し、長く連なった椎骨の発症部位により、症状が現れる部位が異なる特徴があります。
症状で特に多い部位は、首や腰で「頚部脊椎管狭窄症」「腰部脊椎管狭窄症」と呼ばれることもある病気です。
症状で判断!早期発見のポイント
脊柱管内を通る神経は、運動や感覚を司る神経です。そのため、手足の痛みや痺れを感じるのが、主な症状だと言えます。
次にあげる項目は、症状の代表例です。このような症状を感じた場合には、脊椎管狭窄症の可能性があるかもしれません。
・しばらく歩くと下肢に痺れを感じる
・後ろに反る姿勢がつらい
・立っていると下肢の痺れが強くなる
・ふくらはぎや太ももの痺れやこむら返り
・頻尿、尿漏れ、便秘などがある
リハビリ治療が重要な理由
脊椎管狭窄症は、自然治癒が見込めず、時間の経過と共に進行してしまいます。そのため、保存療法として、薬物療法や装具療法と併用して有効といわれるのがリハビリなんです。
その理由は、薬物療法や装具療法では、脊柱管自体が狭くなってしまっている脊椎管狭窄症の根本的改善には至らないからです。
改善には、脊柱管の血行を良くして、背骨に負担のかからない姿勢の改善や姿勢を維持できる筋力を養う必要があります。そのため、リハビリで正しい姿勢や筋力向上を目指していくことが重要です。
脊柱管狭窄症の症状と似た間違いやすいその他の病気とリハビリ治療法
下肢や腰に現れる手足の痛みや痺れの症状は、他の病気の症状とよく似ていて判断に迷ってしまう場合も。そこで、脊椎管狭窄症と同じような症状でも違う病気を3つご紹介します。
脊椎管狭窄症と合併してしまう場合も考えられる病気ですので、判断に悩む場合には専門医を受診するようにしましょう。
脊柱管狭窄症と似たその他の病気
・椎間板ヘルニア
脊椎管狭窄症と、ほぼ同じ症状が現れます。主に、神経の圧迫方法が違うことにより病名が違うだけで、腰部の神経を圧迫して狭くしていることに変わりはありません。
・末梢動脈疾患
末梢動脈疾患は以前、「閉塞性動脈硬化症」や「下肢慢性動脈閉鎖症」と呼ばれていた病気です。脊椎管狭窄症と似た症状として、しばらく歩くとお尻や太もも、ふくらはぎの痛みを感じます。下肢の痺れや冷間を伴う場合は、脊椎管狭窄症の可能性が高いと考えられます。
・糖尿病性神経障害
糖尿病性神経障害は、複数の神経に同時に機能不全が起きる「多発性神経障害」と、1本の神経のみに損傷が起きる「単神経障害」があります。脊椎管狭窄症と似た症状として、感覚障害や自律神経障害の症状が現れ、足の裏がジンジンしたり、砂利を踏んでいるような感覚や、便秘や下痢、頻尿や尿漏れがあげられます。
脊柱管狭窄症のリハビリ治療法
脊柱管狭窄症のリハビリには、背骨に負担をかけないように有酸素運動が効果的とされています。特に、ウォーキングは、正しい姿勢で行うことで効果を得やすく、積極的にリハビリとして取り入れるべきでしょう。
また、仰向けになり膝を抱えて背中を丸める動作は、背中側の筋肉のストレッチになります。さらに、症状緩和を促すリハビリとして、仰向けになりクッション等を置いた上に足を乗せ、膝と股関節を曲げた状態を保ったまま、高い位置を保持すると脊柱部分にゆとりができ、神経を休めることができるのでおすすめですよ。
脊柱管狭窄症でリハビリをするならどこがいい?おすすめをご紹介
リハビリ治療ができる場所
脊椎管狭窄症のリハビリ治療ができる代表的な場所として、次の3つをご紹介します。リハビリ治療を検討されている方は、通いやすい方法を選ぶと良いでしょう。
・整形外科
脊椎管狭窄症を患っている方の「歩行」状態を確認し、最適なリハビリ方法を提案してくれます。症状がひどい場合には、手術療法が必要になるケースがありますが、軽度であれば運動療法で症状の緩和や改善を図ります。
・リハビリセンター
症状に合わせたリハビリの提案で、歩行中の痛みや痺れには腹筋運動を、寝た状態でも痛みを感じる場合には、ベッド上での安静が基本ですが無理のない範囲でのリハビリとして、インナーマッスルを鍛える腹式呼吸などに取り組みます。
・訪問リハビリ
脊椎管狭窄症は、介護保険が適用される「特定疾病」の一つです。
介護保険を利用する訪問リハビリは、介護認定の区分により使用できる単位が異なり、制限されてしまいますが、医師の指示を受けた専門のスタッフが直接、自宅に訪問しリハビリに取り組みます。
リハビリ治療でおすすめの場所は?
また自費訪問リハビリという手段もあります。また、訪問リハビリでは、他の介護保険サービスと併用されている方が多く、使用できる単位数の制限により、満足なリハビリがおこなえなかったり、スタッフが話し相手になってしまう場合もあるようです。
しかし、自費訪問リハビリでは、上記にあげた問題も感じることなく、リハビリに励むことができます。その理由は、「自費」による本気のリハビリだからです。
リハビリに取り組む姿勢のレクチャーから症状改善や回復までの目標設定など、スタッフと二人三脚で共有することで生まれる意味のあるリハビリで、効果を実感することができるでしょう。
まとめ
脊椎管狭窄症は、神経の圧迫される部位により現れる症状に違いが生じ、痛みや痺れを伴う似た病気も存在するため、判断に迷われてしまう場合も…。
また、難病指定を受けている根本治療が見つかっていない病気です。適切な治療を受けずに重症化すると、手術を余儀なくされ症状の改善や回復は長期戦になることも考えられます。 そのため、リハビリによる運動療法を基本に、姿勢の改善や腰部の筋力向上を目指していきましょう。