パーキンソン病の原因と初期症状 | 発症後の治療とケアまで徹底解説
2024.04.11
最近、体が動かしづらい、転びやすくなった、などの症状はありませんか?
「もしかすると…」と思いネット検索を多くの人がするでしょう。症状からよく浮かんでくるのはパーキンソン病です。パーキンソン病とはどんな症状が出て、どんな病気なのか…。有名な病気ですが、具体的な症状や原因、発症後の対応は当事者になってみなければわからないものです。
今回は、パーキンソ病とは何か、どんな症状が身体に起こるのか整理し、治療法や進行の予防について解説します。また若年性パーキンソン病とは症状によってどのような対応が必要なのか解説します。
目次
遺伝によるもの?パーキンソン病とは…症状・原因を理解しよう
「パーキンソン病」をなんとなく聞いたことがある方も多いでしょう。指定難病にもされている病気ですが、年齢や遺伝の関係性、原因について深く知ることが重要です。
パーキンソン病とは?年齢や遺伝は関係ある?
パーキンソン病は、何らかの原因によって脳神経伝達に障害が起き、運動機能に症状が現れることが多いのが特徴です。代表的な動作における症状は大きく4つ。
- 安静時振戦(安静にしている時に感じる手足等のふるえ)
- 動作緩慢(動作が遅く・小さく、細かい動作がしにくくなる)
- 筋固縮(関節がガクガクし、スムーズな動きができなくなる)
- 姿勢反射障害(バランスがとれず、転びやすくなる)
4大症状の他にも、同時に2つの動作をする能力が低下したり、自由にリズムを作る能力の低下などもあり、パーキンソン病のほとんどがこれらの症状に当てはまります。
また近年では、意欲の低下、認知機能障害、幻視、幻覚、妄想などの症状も非運動症状として挙げられています。発症年齢は50代以上で発症することが多く、高齢になるほど発症率が増加しますが、まれに40歳以下でも発症し「若年性パーキンソン病」と呼ばれています。
初期症状と末期症状の違いについて
パーキンソン病の病状は通常、20〜30年、時には50年以上かけて、ゆっくり進行します。進行(重症度)の程度の指標は「ホーン・ヤール重症度分類」と、厚生労働省による「生活機能障害度分類」が用いられます。
<ホーン・ヤールの重症度分類>
1度:症状は片側の手足のみで軽度
2度:症状は両側の手足になり、日常生活や仕事がやや不便になる。
3度:歩行障害や姿勢反射障害があり、日常生活に支障はあるが、介助なしで過ごせる。
4度:両側の手足に強い症状があり日常生活の自立は困難
(介助が必要)
5度:1人で立つことができない(車椅子、寝たきり)
全面的な日常生活の介助が必要
※3以上で特定疾患医療補助制度が受けられます。
<生活機能障害度分類>
1度:日常生活、通院にはほとんど介助がいらない。
2度:日常生活、通院に部分的な介助が必要になる。
3度:日常生活に全面的な介助が必要で、自分だけで歩いたり、立ち上がったりできない。
※2以上で特定疾患医療補助制度が受けられます。
初期の症状の多くは歩行障害が多く、手足の震えが出ることは少ないとされます。
パーキンソン病の原因や原因の仮説
パーキンソン病は、脳内のドパミン細胞が急激に減少することで、運動機能の症状が現れます。
ドパミン細胞の減少が起こるかのメカニズムについては、ドパミン神経細胞の中のα-シヌクレインというタンパク質が凝集して蓄積することによることが報告されていますが、それが起こる原因については、一部(5%程度)の遺伝要因の他には、食や職種や地域などの環境要因との関連性は見られず、十分な解明がされていません。
パーキンソン病と診断されたら…主な治療法と進行の予防
以前は、寝たきりになると言われていた病気ですが、最近では治療により、長く通常の生活ができるようになっています。早期に症状に気づき、治療を開始していくことが大切です。
パーキンソン病とは|症状が出たら検査を
パーキンソン病の初期症状は軽度の場合、生活にあまり支障が無いことから、判断が難しいことがあります。す。
ただし、早期に気付くことで、進行を穏やかにすることができます。初期に見られる片側の手足の震えや、同時に自律神経系の症状で便秘や嗅覚の低下などが見られた場合は、神経内科や脳神経内科での検査を検討しましょう。
診断後の主な治療法や予防に関して
パーキンソン病の主な治療は3つあります。
- リハビリテーション:診断後、すぐにリハビリテーションを始めることで、症状の進行を抑えることができたり、薬の服用を最小限にできる可能性があります。
- 薬物療法:ドパミンを補充するための薬を、年齢や症状によって組み合わせて治療します。
- 手術による治療:外科的治療として、症状の改善のために、脳深部刺激療法や定位的破壊術等を医師と相談の下でおこなうことがあります。
進行の予防は家族の理解と助けが必要
早期治療によって、進行の予防ができるパーキンソン病ですが、ご家族の協力が必要です。
<進行の予防でできること>
- 気になる症状を感じたら、周りの家族にも相談してみましょう。運動機能については自分で気づきにくいことも多いです。ご家族にも相談して、動きを確認してみましょう。
- パーキンソン病は脳内のドパミンの減少が原因ですが、ドパミンは、新しい刺激や感動により分泌されます。好きなことや新しい趣味などを始めてみることも良いでしょう。
- 運動を心がけましょう。リハビリと薬は症状の進行を予防するために、欠かせません。歩ける場合はウォーキング、ストレッチなども有効です。ご家族の協力も得ながら、安全面に気をつけて出来る限り、習慣にしていきましょう。
若年性のパーキンソン病とは?症状と診断後の流れ
若くして症状がある場合には、その予後や進行が心配になるのではないでしょうか。若年性パーキンソン病について知り、理解しておくことが大切です。
40歳以下で発症する若年性パーキンソン病
若年性パーキンソン病は全体の10%程度と言われています。このタイプの一部には遺伝性のものも含まれることもわかっています。
症状は、一般のパーキンソン病と同じになります。ただし、若年性の場合、病気の進行が緩やか、薬による治療の効きが良いなどの特徴もあります。
適切な治療とリハビリが必要
若年性パーキンソン病は、40歳以下での発症のため、予後が心配されますが、早期に気付き、治療することで、長く通常の生活ができます。
一般のパーキンソン病と同じく、医師と相談の下、適切な治療を受けることが大切です。
また、リハビリテーションを受けたり、動ける範囲で運動習慣を取り入れたりすることも効果的です。
パーキンソン病とは…どんな症状?|まとめ
今回はパーキンソン病における症状や、原因と発症後の対応について解説しました。重要なことは、早期に症状に気づき、神経内科、脳神経内科等の専門医に相談、受診することが大切です。
また、パーキンソン病と診断された場合でも、近年では、薬療法で症状の進行を抑えることもでき、長く良い状態で生活できることが多い病気です。専門医と相談しながら、治療方針を決定し、リハビリテーションを取り入れながら向き合っていくことが重要です。