パーキンソン病の症状改善に効果的なリハビリ!症状・状態別の方法を紹介
2022.11.15
パーキンソン病と診断された方の中で、下記のようなお悩みをお持ちではありませんか?
・今後どういった症状が現れるの?
・パーキンソン病に効く治療法は?
・リハビリは自宅でもできる?
このようなお悩みを抱えている方に、今回はパーキンソン病の症状や状態別のリハビリ方法をご紹介します。
病気の進行は個人差がありますが、初期の方が進行が速いため適切な治療とリハビリを積極的に行い、症状の軽減や進行の抑制に努めましょう。
目次
パーキンソン病の代表的な4つの症状とリハビリの必要性
パーキンソン病は、手足のふるえなどの代表的な症状に加え、「抑うつ」や「幻覚」「認知症」などの合併症を引き起こす可能性もあります。しかし、早い段階で治療を行うことで進行を抑制することができます。
そこでまず、パーキンソン病における神経症状や身体に現れる症状を確認してみましょう。
パーキンソン病で抱える不安
パーキンソン病において不安も症状の一つです。長期間に及ぶ治療や身体に現れるさまざまな症状は、情緒を不安定にさせ生活の質を下げる原因になってしまいます。
パーキンソン病のそもそもの原因であるドパミンは、セロトニンやアドレナリン、ヒスタミンなどと共に、前向きな意欲や喜び、快楽、学習などにかかわる伝達物質です。パーキンソン病はドパミンが不足することにあるため、前向きな感情の欠損につながりやすいと考えられます。
代表的な4つの症状とは
パーキンソン病の代表的な症状を下記にて4つご紹介します。
1.振戦(しんせん):手足のふるえ
→安静時や静止している状態の時に、自分の意思とは関係なく手足に細かな振るえが生じる症状です。
2.動作緩慢(かんまん):身体の動きが遅くなる/少ない/小さい
→「無動」や「寡動」になることによって、動きがゆっくりになってしまうため、細かな動作が難しくなります。
また、歩行時に「すくみ」が起こることにより、はじめの一歩が踏み出しにくく、歩く速度や歩幅に影響を及ぼします。
3.筋固縮:腕や足・体幹などの筋肉が硬くなりこわばってしまう状態
→筋固縮はパーキンソン病の初期症状として現れます。
筋肉が固まることで身体を動かしにくくなり、関節の曲げ伸ばしの際にカクカクと抵抗を感じる動きになってしまいます。
4.姿勢反射障害:バランスが取れずに転倒しやすくなる
→重心が傾いてしまうと、姿勢を戻すことが難しくなってしまう状態です。
他の運動障害よりも症状が現れるのは遅く、進行期に現れる症状といわれています。
参考:難病情報センター「パーキンソン病(指定難病6)」
パーキンソン病でリハビリが必要な理由
パーキンソン病に対する治療には、薬物療法とリハビリが有効です。
薬物療法で脳に不足しているドパミンを補い、リハビリで症状の軽減を図ります。
リハビリを行うことによって、体力の低下を防ぎ、筋肉や関節をスムーズに動かせるように可動域が広がります。さらに、ストレッチでリラックスすると、不安解消や筋固縮の症状の軽減に効果を発揮します。
パーキンソン病は、難病指定されている疾患で完治は難しくても、症状の進行状況の把握と正しい治療とリハビリで、症状の改善を図ることが出来るのです。
パーキンソン病のリハビリは状態別でメニューを決めよう
パーキンソン病のリハビリを行ううえで重要なポイントは、症状に合った適切なリハビリを、身体の状態に合わせて組み合わせて行うことです。
パーキンソン病の症状の進行度を示す指標として「ホーン・ヤールの重症度分類」と「生活機能障害度分類」について紹介します。
パーキンソン病の重症度分類
まずは、「ホーン・ヤールの重症度分類」です。Ⅰ度〜V度までの5段階に分けられています。
【Ⅰ度】身体の片側のみ手足のふるえや筋肉のこわばりがあり、身体の障害はないか、あっても軽い
【Ⅱ度】両手足のふるえ、筋肉のこわばりがあり、日常生活に不便さを感じる
【Ⅲ度】すくみ足がみられ小刻みに歩く。方向転換時に転びやすい。日常生活に支障はあるが介助なしで過ごせる。
【Ⅳ度】立ち上がりや歩行が難しくなり、日常生活で介助が必要になる。
【Ⅴ度】車いすが必要になる。ベッドで寝ていることが多くなる。
次に、「生活機能障害度分類」です。Ⅰ度〜Ⅲ度までの3段階に分けられています。
【Ⅰ度】日常生活、通院にほとんど介助がいらない
【Ⅱ度】日常生活、通院に部分的な介助が必要になる
【Ⅲ度】日常生活に全面的な介助が必要になる
状態別のリハビリメニュー例
上記の重症度分類をもとに、状態別で行うべきリハビリをご紹介します。
【Ⅰ度】日常生活、通院にほとんど介助がいらない
・ストレッチや柔軟
・歩行訓練
・筋力向上のトレーニング
・生活動作トレーニング
*出来る限り大股で大きく腕を振って行いましょう。歩行訓練は、速く歩いたり遅く歩いたりと交互に行うようにすると効果的です。
【Ⅱ度】日常生活、通院に部分的な介助が必要になる
・ストレッチや柔軟
・生活動作トレーニング
・筋力向上のトレーニング
*生活動作トレーニングで、立ち上がりや起き上がりの練習を行いましょう。ストレッチや柔軟はリラクゼーションにもつながります。
【Ⅲ度】日常生活に全面的な介助が必要になる
・ストレッチや柔軟
・生活動作トレーニング
*ベッド上でもできる生活動作トレーニングを行いましょう。
パーキンソン病に特化したリハビリプログラムのLSVTとは
パーキンソン病のリハビリには、病気の症状や状態で取り組むべきリハビリがあり、早い段階での薬物治療との併用で、進行を抑制する効果が望めます。
パーキンソン病に特化したリハビリとは?
では最後に、パーキンソン病の症状のうち2.動作緩慢(かんまん)に有効とされるリハビリを紹介します。
このリハビリは、アメリカで考案されたパーキンソン病に特化したリハビリテーションプログラムで、LSVTBIG&LSVTLOUDといいます。
LSVTBIG&LSVTLOUDとは?
LSVTBIG&LSVTLOUDとは、以下の2つのリハビリをいいます。
・LSVTBIGとは、運動障害に対する治療法(動きを大きくする訓練)
・LSVTLOUDとは、発話障害に対する治療法(声を大きくする訓練)
上記のリハビリで、症状を緩和し機能の改善を目指していきます。
期待するリハビリの効果
【LSVTBIGの効果】
LSVTBIGでは、身体の動きの大きさに焦点を当てたトレーニングで、身体を大きく動かすことを意識して取り組むリハビリです。
パーキンソン病の方の多くは、身体の動きが小さくなる傾向にあるため、身体を大きく使った動きを集中して行い、日常生活動作の改善を図ります。
【LSVTLOUDの効果】
LSVTLOUDでは、声の大きさに焦点を当てたトレーニングで、大きな声を出すことを意識して取り組むリハビリです。
パーキンソン病の方の多くは、声が小さくなる傾向にあるため、声を大きく出す訓練を行い、日常会話の音声と発話の改善を図ります。
LSVTBIG&LSVTLOUDは、有資格者による指導のもとで入院治療が基本となりますが、自宅でも継続的なリハビリを行うと、日常生活動作がよりスムーズに行えるように維持することができます。
まとめ
パーキンソン病は、脳の神経の異常により身体にさまざまな症状が現れる進行性の病気です。代表的な症状は、振戦や動作緩慢などで中枢神経や自律神経のダメージも加わると、抑うつや認知症の合併症を引き起こす場合もあります。
進行や症状の改善には、早い段階での薬物治療とリハビリが重要で、症状や状態別で取り組むべきリハビリが異なります。またパーキンソン病には、パーキンソン病に特化したLSVTBIG&LSVTLOUDのリハビリテーションプログラムもあります。
どちらのリハビリも継続的に行うことが必要で、自宅で自主的に取り組む事が大切になるでしょう。