NEXTSTEPS リハビリお役立ちコラム 企図振戦とリハビリの進め方について…主な原因や似通った病状を解説

企図振戦とリハビリの進め方について…主な原因や似通った病状を解説

企図振戦とリハビリの進め方について…主な原因や似通った病状を解説

企図振戦(きとしんせん)の対処方法が分からない方に向けて、原因となる病気やリハビリを含めた治療方法についてお伝えします。企図振戦の症状があると動作がしにくくなり、生活上困る場面が多いですよね。

症状が進行する場合が多いからこそ、リハビリによる身体の機能維持が重要です。

病気について理解し適切なリハビリを取り入れることで、患者さんや周囲の方は生活がしやすくなるでしょう。

企図振戦とは?そもそもリハビリが必要な症状なのか…

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企図振戦の特徴や原因となる病気、リハビリの必要性についてお伝えします。病気や症状について知れば、対処がしやすくなりますよ。

企図振戦(きとしんせん)について…

企図振戦とは目標物に向かう動きが引き金で起こる振戦(ふるえ)です。手や顔、足など全身に起こる可能性があります。目標物に手が届きそうになると振戦が強くなりやすいです。めがねを取ろうとした時や、コップで水を飲もうとして口に届きそうになった時の手の震えが、企図振戦の症状です。

小脳の機能が損傷されると起こりやすく、小脳振戦と呼ぶ場合もあります。

振戦は起こるタイミングによって、安静時振戦と動作時振戦に分類されます。

安静時振戦は筋肉が安静なときに起こる振戦で、パーキンソン病で起こりやすいです。

動作時振戦は身体の一部を意図的に動かした時に起こる振戦です。企図振戦、運動時振戦、姿勢時振戦に分類されます。

参考:MSDマニュアルプロフェッショナル版「振戦」

脊髄小脳変性症などさまざまな病気が疑われる?

企図振戦が起こる主な原因として、脊髄小脳変性症(SCD)や多発性硬化症(MS)が考えられます。

他に企図振戦を起こす原因は次のとおりです。

・脳腫瘍

・脳卒中

・アルコール依存症

・鎮痛剤や抗てんかん薬の使用など

脊髄小脳変性症は、スムーズな運動を調整する小脳が障害される病気です。企図振戦や歩行時のふらつきなどの運動失調症状以外にも多くの症状があります。他にも、ろれつが回らない、しびれや感覚の鈍さ、知的障害を併発する可能性があります。

企図振戦はリハビリが必要なのか?

企図振戦の原因となる病気(脊髄小脳変性症や多発性硬化症)は薬物での治療に限界があります。症状は少しずつ進行することが多いため、リハビリと併行した治療が重要です。

身体を動かさないと手足の筋肉は衰え、関節は固くなり、体力は落ちていきます。リハビリは根本治療ではないですが、症状を和らげ、身体の機能低下予防につながります。自立した社会生活が続けやすくなるため、リハビリに取り組むとよいでしょう。

参考:SCD・MSAネット「自宅でのリハビリテーションと目標」

企図振戦とリハビリ|徴候が見られた時からリハビリまでの流れ

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企図振戦の兆候、検査や治療、リハビリについて説明します。振戦の症状が出ると不安になるでしょうが、対応を知って早期発見と治療につなげましょう。

徴候が見られたら医師へ相談…放っておくと危険?

企図振戦と思われる症状が出たら、まずは受診しましょう。脳の病気や薬など、振戦の原因を確かめる必要があるためです。

警戒すべき振戦の徴候は次のとおりです。

・突然始まる振戦

・50歳未満、本態性振戦(遺伝性の振戦)のある近親者がいない

・その他の症状(精神の興奮、筋力低下や歩行時のふらつき、言葉が出にくい)

・頻脈

どんな検査や対処が行われるのか

企図振戦で受診すると、医師が身体診察や脳画像診断(MRIやCT)を行って、原因となる病気を考えます。血液検査や筋電図検査をする場合もあります。

身体診察は神経学的な症状に重点をおいて、症状や病歴を確認します。振戦の部位やふるえが起こるタイミング、症状が増減する要因(飲酒、ストレス、不安など)を医師が聴取。企図振戦は、指と鼻をくっつける動きや踵とすねをくっつける動きで分かります。

脳画像診断は脳疾患が疑われる場合に行います。

企図・振戦のリハビリや治療方法

企図振戦の治療は難しいです。ただし、原因となる病気を治療することで改善の可能性があります。リハビリで運動失調の症状を和らげ、身体機能を維持することが重要です。

企図振戦のリハビリとして、手足に重りをつけての運動があります。患者さんにとっては身体への負担が強いため、理学療法士の指導を受けながら個別の状態に合わせて行うとよいでしょう。腕は200~400g程度、腰は1kg前後の重りをつけて身体を動かすと、手足の感覚がつかみやすくスムーズに動かせる場合があります。

また、伸縮性のある包帯を腕や肘、太ももなどに巻きつけて、身体を動きやすくするリハビリがあります。手足の過剰なふるえを抑えるためです。

他にも企図振戦以外の運動失調症状に対して、歩行訓練、手の細かな動作の訓練、言語訓練が行われます。

参考:安東範明「小脳性運動失調のリハビリテーション医療|上肢・下肢について」JpnJRehabilMed2019;56:101-104

リハビリは家族や周囲のサポートが重要!正しい理解と意識のサポートを

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ご家族や周囲の方が企図振戦の症状や病気を理解する重要性についてお伝えします。周囲の方が病気を理解して共に歩むことで、患者さんは暮らしやすくなります。

リハビリは患者本人だけのものではない!

いつまで続くか分からない介護に関わっている方は、精神的・肉体的な不安を感じているでしょう。リハビリによって患者さんの身体機能を維持すると、ご家族の介護負担軽減につながります。患者さんができる範囲で自立した生活をおくることで、ご家族の時間が確保できるためです。

特に、訪問リハビリは専門家が定期的にやってきて生活空間や介護方法のアドバイスを受けられる安心感があります。患者さんの状態に応じた手すりや福祉用具の設置、利用できるサービスの相談にものってもらえます。

周囲は症状を理解し暮らしやすい工夫を…

患者さんの周囲にいる方は、企図振戦の症状や病気の特徴を知りましょう。例えば、手のふるえで患者さんがコップの水をこぼしたとしても、不注意や意図してやったのではなく、病気のためだと理解できます。ご家族は、主治医に病気の特徴、合併症のリスクや対処法を質問するとよいですよ。

患者さん本人が困っていることを聞いてみましょう。ものをつかみにくい、はしが上手く使えない、動作がゆっくり、など苦手な動きがあるでしょう。周囲が焦らず見守ると、患者さんは暮らしやすくなります。

症状に配慮しつつ今までと変わらない態度で接します。リハビリで身体の機能を維持し、患者さんができることは取り組んでもらいましょう。

まとめ

今回は、企図振戦の原因となる病気や診断と治療、リハビリの必要性についてお伝えしました。

企図振戦とは目標物に向かう動きが引き金で起こる振戦(ふるえ)です。企図振戦が起こる主な原因として、脊髄小脳変性症(SCD)や多発性硬化症(MS)など、小脳を障害する病気が考えられます。

企図振戦の原因となる病気は薬物での治療に限界があります。症状は少しずつ進行していくことが多いため、リハビリと併行した治療が重要です。

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