パーキンソン症候群とリハビリの奥深い関係|症状別治療の秘訣
2023.12.08
パーキンソン病とは国の難病に指定されている進行性の病気です。パーキンソン症候群はパーキンソン病と似た症状が出現しますが、別の原因がある疾患をパーキンソン症候群と呼んでいます。
原因が違うのでパーキンソン病とパーキンソン症候群は治療が異なります。最初の診断を間違うと充分な治療効果が得られないので専門医による正しい診察を受けなければなりません。
パーキンソン症候群の原因がなんであれ、リハビリは必要です。パーキンソン病症候群の症状や原因を知ると共に、リハビリなど治療方法についてもご紹介します。
目次
パーキンソン病症候群とは?リハビリは必要なの?症例を知ろう
パーキンソン病とパーキンソン症候群は同じものとして認識されることもありますが、原因が全く違います。
まずはパーキンソン病と症候群の違いを理解し、それぞれの症例にどのようなものがあるか認識しましょう。
パーキンソン病とパーキンソン症候群について
パーキンソン病は中脳の黒質にある神経細胞が減り、ドパミンが減ることによって発症します。手足の震えなどの運動症状の他に、便秘症など非運動症状が出現します。
パーキンソン症候群は、パーキンソン病と似たような症状が出現しますが、別の原因がある疾患をまとめた総称です。パーキンソン症候群の疾患にも種類があり、それぞれで原因や治療方法が異なるので、識別が非常に重要です。
運動症状・非運動症状を抑えよう
パーキンソン病では4大症状と呼ばれる運動症状とその他の非運動症状があります。
・パーキンソン病の4大症状
1、安静時振戦(手足が震える)
自分の意思とは関係なく手足が小刻みに震える。片方の手や足から始まることが多い。
2、無動(動きが鈍くなる)
足の踏み出しが遅い、声量が小さくなる
3、筋強剛(手足の筋肉が固くなる)
歩きづらく歩行が困難。肩、手足の指などが動かしにくい。
4、姿勢反射障害(倒れやすい)
バランスがとれず、転びやすくなる
また、運動症状の他に、抑うつ・認知症・幻覚・便秘・頻尿などさまざまな非運動症状が見られます。
パーキンソン病とパーキンソン症候群の見分け方
パーキンソン病はドパミンの不足が原因の疾患なので、投薬治療でドパミンの補充をすれば劇的に症状が改善しますが、パーキンソン症候群の場合は十分な効果が発揮できません。
症状の表れ方にも違いがあり、パーキンソン病は徐々に発症していくのに対し、パーキンソン症候群は比較的急激に発症する傾向があります。
また、パーキンソン病は初期症状の振戦の特徴として左右差が目立ちますが、パーキンソン症候群の疾患には左右差が目立たないものや手足の震えが少ないものもあります。
パーキンソン病と異なる症候群の疾患とリハビリの必要性
パーキンソン症候群はパーキンソン病とは別の原因がある疾患をまとめて呼んでいます。つまりパーキンソン症候群の疾患によっても原因や治療法が異なるのです。
パーキンソン症候群の疾患の種類や検査、リハビリの必要性についてお伝えします。
パーキンソン症候群で見られる疾患
パーキンソン症候群で見られる疾患に以下のものがあります。
・パーキンソン病(広義の意味)
・多発性ラクナ梗塞
・慢性硬膜下血腫
・正常圧水頭症
・パーキンソン病類縁疾患
・進行性核上性麻痺、多系統委縮症、大脳皮質基底核変性症など
・薬剤性パーキンソン症候群他
薬剤性パーキンソン症候群は原因になった薬を中断し変更したり、正常圧水頭症は手術で改善が期待できます。それ以外の病気はまだ根治的治療がない場合が多く、薬による治療が中心です。
パーキンソン病症候群の検査はどのように行うの?
パーキンソン病、パーキンソン症候群も基本的な検査は同様です。
診察 | 症状や過去の病歴、服薬歴を確認 |
MRI検査 | 脳の形質診断 |
核医学検査 | 脳波・脳血流の検査 |
ビデオ画像 | 歩行状態の解析 |
進行性核上性麻痺や多系統萎縮症は症状からパーキンソン病との見分けが付きにくい疾患ですが、MRIなど画像診断で特徴が見つかれば診断が可能です。
パーキンソン病症候群はなぜ治療やリハビリが必要なの?
パーキンソン病やパーキンソン症候群の治療は基本的には薬物療法ですが、早い段階で並行してリハビリを行うことも大切です。リハビリを早くから行うことで、発症から年月が経っても移動や食事、入浴など日常生活での介助を減らすことができます。
リハビリを始める時は、障害箇所を主治医に確認してもらい、理学療法士など専門家にメニューや実技についてしっかりと説明してもらいましょう。
もし身近な人がパーキンソン病症候群の診断がなされたら…
パーキンソン病やパーキンソン症候群は長く付き合っていかなければならない病気なので一人で抱え込むことは困難です。家族や周囲の助けが必要になるので、病気の正しい知識を持ち、サポートしていきましょう。
パーキンソン症候群は精神症状を伴うケースも
パーキンソン症候群の症状の中には、抑うつ、認知症、幻覚など精神症状が現れることもあります。また、病気の影響や将来への不安から気分が落ち込みやすくなることも。
からだを動かさなくなると症状の悪化の恐れがあります。精神症状の治療は個々のアプローチが必要になり、薬物調整やリハビリに加えて、家族のサポートと継続的なケアが不可欠です。
身近な人のサポートが重要
薬を正しく服用しているか、規則正しい生活を行っているかなど家族や身近な人の見守りはとても大切です。リハビリや運動も生活の質を保つために続ける必要があります。体を動かす習慣を継続するためにも、積極的な声掛けをしていきましょう。
また介助や介護が必要になった場合は、家族だけで悩まずに公的なサービスを受ける事も視野にいれましょう。
まとめ
パーキンソン病とパーキンソン症候群は原因が全く違います。パーキンソン症候群の中でも様々な原因があるので、まずは正しい診断をうけることが大事です。
どんな原因でもリハビリを行うことは病状を遅らせ日常生活の質を向上させるために必要です。リハビリや運動を積極的に取り入れ、規則正しい生活習慣を身につけていきましょう。
また、長く付き合わなければならない病気なので、家族や身近な人のサポートが必要になります。パーキンソン病やパーキンソン症候群の正しい知識を身に着け、公的サービスを利用しながらサポートしていきましょう。