【腰椎すべり症リハビリ】高齢者に多い腰椎すべり症・背骨の圧迫骨折|80代女性が経験した治療
2022.08.30
高齢者に多いといわれる腰椎滑り症や背骨の圧迫骨折は、どのような原因で起こり、どのようなリハビリや治療が行われるのでしょうか。
腰椎滑り症は、主に女性に多い病気といわれていて、閉経の頃(50歳〜60歳前後)によく発症します。このことから、女性ホルモンの影響による骨粗鬆症の進行によってそれまで支えていた骨が支えられなくなり、腰椎が滑る減少が起こるのではないかといわれています。
腰椎すべり症が起こる原因や治療方法について80代女性の経験談も交えて紹介します。
中年女性に多い!腰椎滑り症で考えられる原因と2つの治療方法
腰椎滑り症とは、腰椎がすべるようにしてずれ、バランスを崩してしまう症状を指します。これにより脊柱管が狭くなり、神経が圧迫されてしまうことで、足の痺れなどさまざまな症状を引き起こしてしまいます。
家の中の歩行や軽いウォーキングなら問題なくても、長い距離を歩くとお尻からふくらはぎにかけて痺れや痛みを感じるようになります。座って休めばまた歩けるようになるので、そこまで気にかけずに過ごす方も少なくありません。
腰椎滑り症の治療方法には2種類あり、「保存療法」と「手術」があります。基本的にはコルセットで腰を支えることで腰痛や神経の負担を軽減させ、痛みが強い場合には、消炎鎮痛剤を投与したり、ブロック注射を行います。
ストレッチや筋力トレーニングなどリハビリも、特に腰回りや腹筋・背筋は意識的に鍛える必要があります。
保存療法が効かない場合に手術を行います。手術内容としては、まず骨を削って神経の通り道を拡張し、ずれてしまっている骨を金属やボルトで固定するものです。
骨粗鬆症も原因?圧迫骨折とは|骨セメント治療についても紹介
脊椎圧迫骨折は、上下方向からの力が加わって起こる背骨の骨折です。
正常な背骨なら高所からの転落など大きな力が加わらなければ生じない骨折ですが、骨粗鬆症などで骨が弱くなっていると、尻もちをつくなどの軽微な衝撃でつぶれる場合や、知らない間に徐々に体の重みで椎体がつぶれてしまう場合があります。
圧迫骨折の治療方法で昔からあるのは、コルセットやギプスを数か月着用する方法や、痛み止めを飲んで安静にしている方法です。安全で副作用がない方法ですが、コルセットの場合3〜4か月は付けておく必要があります。
最近では骨セメントを注入する治療方法もあり、大きく分けると二つのやり方があります。
一つは、針を刺して医療用の骨セメントを注入する方法で、もう一つは針を指した後、セメントを入れる前に風船やステント(体内の管状の部分を内側から広げる金属のチューブのようなもの)で背骨に隙間を作ってからセメントを入れる方法です。
寝返りもできないくらい痛い場合や、少し時間がたっても寝起きや体動時に痛みが続く場合には、骨セメント治療により痛みを軽減することができます。
腰椎滑り症を患った80代女性がリハビリを決意したきっかけ
80代女性のAさんは、踏み台に乗って高い所にあるものを取ろうとしたときに、少し油断してしまって足を滑らせ腰椎滑り症と圧迫骨折を患ってしまいました。
「ものすごく痛いけど病院に行って旦那に知られるのは嫌だったんです。だから痛みを我慢してベッドで寝ていました。この痛みができたのも私のせいだから仕方ない、でも歩いて買い物に出かけたい…」
主治医の先生には「もう歩けなくなるよ」とまで言われてしまい、手術やリハビリに耐える自信がないAさんは一歩を踏み出せずもやもやと悩んでいました。
そんな矢先、友達も怪我をしてしまい、このままではいられない、怪我をなんとかしなければ…と重い腰を上げたのです。
ベッドで寝てばかりだったAさんは手術、リハビリを通して少しずつできることも増えてきました。まだ目指す動きはできていませんが、今も頑張って生きていこうと今もリハビリに打ち込んでいます。
まとめ
腰椎滑り症の患者さんのうち、3割の人は悪化して手術になりますが、それ以外の3割は投薬だけの人、残りの3割の人は、1回の治療で症状が改善する人です。
そのため、痛くなったらすぐ手術と決めつけないでしばらく経過をみて最終的な結論をするのが良いでしょう。
治療を多く行っている病院では、医師だけでなく看護師など手術室のスタッフも習熟しているので、手術について心配したり悩んだりした時は、症例数の多い病院のセカンドオピニオンを受けるなど、納得したうえで手術を受けることも大切です。