Q.
脳卒中後のリハビリはどのようなものがありますか?
脳卒中は、後遺症により身体機能や認知機能に様々な影響を及ぼす疾患です。リハビリは、これらの後遺症を最小限に抑え、可能な限り機能を回復させるために欠かせない取り組みです。脳卒中後のリハビリには、身体機能、認知機能、言語機能、社会生活機能など、様々な側面に対するアプローチがあります。
理学療法(PT)は、身体機能の回復を目的としたリハビリテーションです。脳卒中後は、片麻痺や運動失調などの運動機能障害が生じることが多いため、理学療法が重要な役割を果たします。理学療法士は、関節可動域訓練、筋力増強訓練、バランス訓練、歩行訓練などを通して、患者さんの運動機能の回復を支援します。
作業療法(OT)は、日常生活動作(ADL)の自立を目指したリハビリテーションです。脳卒中後は、片麻痺などの影響で、食事、更衣、トイレなどのADLが困難になることがあります。作業療法士は、これらのADLの練習や、自助具の使用訓練、住宅改修の提案などを通して、患者さんの日常生活の自立を支援します。
言語聴覚療法(ST)は、言語機能や嚥下機能の回復を目的としたリハビリテーションです。脳卒中後は、失語症や構音障害、嚥下障害などが生じることがあります。言語聴覚士は、発話練習、言語理解の訓練、嚥下訓練などを通して、患者さんのコミュニケーション能力や食事の安全性の向上を支援します。
認知リハビリテーションは、記憶障害や注意障害などの認知機能の改善を目的としたリハビリテーションです。脳卒中後は、認知機能の低下が見られることがあり、日常生活や社会生活に影響を及ぼします。認知リハビリテーションでは、記憶訓練や注意訓練、問題解決練習などを通して、患者さんの認知機能の回復を支援します。
心理的サポートも、脳卒中後のリハビリテーションの重要な一部です。脳卒中は、突然の発症と後遺症により、患者さんやご家族の心理的な負担が大きい疾患です。心理療法士やソーシャルワーカーなどの専門職が、患者さんやご家族の心理的な支援を行い、リハビリテーションへの意欲を高めることが大切です。
脳卒中後のリハビリテーションは、多職種によるチームアプローチが不可欠です。医師、看護師、理学療法士、作業療法士、言語聴覚士、心理療法士、ソーシャルワーカーなどの専門職が連携し、患者さん一人ひとりに合わせた包括的なリハビリテーションを提供します。
リハビリテーションは、急性期、回復期、生活期(維持期)の各段階で、目的や方法が異なります。急性期は、合併症の予防と基本的な動作の獲得が中心となります。回復期は、積極的なリハビリテーションを行い、機能の回復を目指します。生活期(維持期)は、獲得した機能の維持と、社会参加の支援が主な目的となります。