Q.
腰部神経根症の原因と症状について教えてください。
腰部神経根症は、腰椎から下肢へ伸びている末梢神経の束である神経根が何らかの原因で圧迫されることによって発症する疾患です。この神経根の圧迫により、下肢に痛みやしびれ、筋力低下などの症状が現れます。
腰部神経根症の主な原因として、腰椎椎間板ヘルニアと腰部脊柱管狭窄症が挙げられます。
腰椎椎間板ヘルニアは、腰椎の間にあるクッションの役割を果たす椎間板が何らかの原因で飛び出し、神経根を圧迫する状態です。この疾患は、20代から40代の比較的若い世代に多く見られ、日常的に中腰姿勢が多い人や姿勢が悪い人、ハイヒールを頻繁に履く女性などがなりやすい傾向があります。
一方、腰部脊柱管狭窄症は、脊椎の中を通る神経の通り道である脊柱管が狭くなることで、神経根が圧迫される状態です。この疾患は、加齢による脊椎骨の変化が主な原因で、高齢者に多く見られます。また、腰に負担のかかる職業に就いている人や、筋力低下や肥満の人もなりやすいとされています。
腰部神経根症の症状は、圧迫された神経根の支配領域に現れます。具体的には、下肢の痛みやしびれ、感覚の異常などが特徴的な症状です。多くの場合、片側の下肢に症状が現れますが、両側に出現することもあります。
腰椎椎間板ヘルニアの場合、急激に激しい腰痛や下肢の痛み、しびれが起こることが多いです。一方、腰部脊柱管狭窄症では、長時間の立位や歩行で下肢の痛みやしびれが出現し、休憩をとると症状が改善するという間欠性跛行と呼ばれる特徴的な症状が見られます。
いずれの疾患も、症状が進行すると下肢の筋力低下を引き起こし、歩行障害につながる可能性があります。また、重症化すると排尿障害や排便障害を伴うこともあるため、早期の診断と適切な治療が重要です。
腰部神経根症は、日常生活の中で腰に負担をかけるような動作や姿勢が関与していることが多いため、これらの改善が症状の軽減につながります。また、早期の診断と治療により、重症化を防ぐことができるため、腰痛や下肢の痛み、しびれなどの症状が出現した場合は、早めに医療機関を受診することが大切です。