Q.
歩行リハビリではどんな器具が使われるのですか?
歩行リハビリでは、その方の状態や目標に合わせ、様々な器具が使用されます。それぞれの特徴と効果を理解し、適切に活用することが、リハビリの成果を左右すると言っても過言ではありません。
まず、リハビリの初期段階で重要なのが、平行棒です。平行棒の中で立ち上がりや歩行の練習を行うことで、バランス感覚を養い、足の筋力を回復させていきます。手すりにつかまりながら体重を支える感覚を身につけ、安定した歩行への第一歩を踏み出すのです。
次に、歩行器(ウォーカー)も欠かせません。4本の脚で体を支える「固定型歩行器」は、安定性が高く、立ち上がりの練習にも適しています。一方、前輪にキャスターがついた「ロレーター型歩行器」は、歩行のスムーズさを重視。リハビリが進むにつれ、徐々に移行していくことが一般的です。
また、杖も重要な歩行補助具の一つです。ごく一般的なT字杖をはじめ、体重を分散させる4点杖、前腕で支える ロフストランド杖など、様々なタイプがあります。片麻痺の方の場合、まひした側の反対の手で杖を使うことで、バランスを取りながら歩けるようサポートします。
さらに、下肢装具も歩行リハビリには欠かせません。足首から膝下までを支える短下肢装具(AFO)や、膝から足先までをカバーする長下肢装具(KAFO)などがあります。これらの装具は、まひした足の動きを補助し、安定した歩行を可能にしてくれるのです。
加えて、トレッドミルやエアロバイクなどの運動器具も、歩行能力の向上に役立ちます。体重を支えながら、リズミカルに足を動かすことで、歩行に必要な筋力とバランス感覚を養っていくことができるのです。
ただし、これらの器具はあくまでも「補助」であることを忘れてはなりません。最終的な目標は、自分の足で、安定した歩行ができるようになること。過度に器具に頼り過ぎず、自立歩行に向けて着実にステップアップしていくことが大切です。
そのためにも、リハビリの専門家による適切な指導と、本人の強い意欲が何より重要。器具の特性を理解し、効果的に活用しながら、一歩ずつ前進していくこと。それが、歩行の回復への確かな道筋となるはずです。
歩行リハビリには、様々な器具が用意されています。それぞれの特徴を理解し、うまく活用することが、リハビリの成果を高めるカギ。器具に頼りながらも、自立歩行を目指す強い意志を持つこと。その両輪があって初めて、歩行の回復への道が開けるのです。