Q.
片麻痺のリハビリで、目標はどのように設定するのがよいでしょうか?
片麻痺のリハビリで目標を設定する際は、ご本人の希望を最大限に尊重することが大切です。リハビリの主役はあくまでご本人。「こんなことができるようになりたい」「こんな風に生活したい」という想いを丁寧にヒアリングし、それを目標として具体化していくのが理想的です。
とはいえ、脳血管障害の後遺症である片麻痺の場合、現実的に達成可能な目標を設定するのは容易ではありません。体の動きに制限があるため、「昔のようにテニスがしたい」「週に3回ゴルフに行きたい」など、障害の程度によっては叶えるのが難しい目標もあるでしょう。
そこで重要になってくるのが、大きな目標と小さな目標を組み合わせて設定することです。たとえば、「もう一度、家族旅行に行って、思い出を作りたい」という大きな目標があったとします。この目標を実現するために、いくつかの小さな目標を設けるのです。
「歩行器を使って10分間歩けるようになる」「階段を手すりを使って5段上れるようになる」「トイレや着替えを一人でできるようになる」など、大きな目標に向けた通過点となる小さな目標を定めていきます。そうすることで、日々のリハビリが目的を持った取り組みになり、達成感も味わいやすくなるというわけです。
また、これらの目標設定には、医学的な知見も欠かせません。脳梗塞や脳出血の種類、損傷の部位や程度によって、回復の可能性やスピードは大きく異なります。リハビリの専門家である理学療法士や作業療法士などが、根拠に基づいて、現実的な目標設定をサポートしてくれるはずです。
リハビリの目標は、決して他人が決めるものではありません。ご本人の想いと、理学療法士から見た可能性を融合させ、オーダーメイドの目標を設定することが肝要です。そうすることで、リハビリはご本人にとって意味のある、充実した時間になるでしょう。