
悪いケアマネージャーとは|事例からわかるあなたが知るべき解決法
2025.10.17

介護を受けるうえで信頼できるケアマネージャーは心強い存在ですが、残念ながら悪いケアマネージャーにあたってしまうケースもあります。担当のケアマネージャーが全然話を聞いてくれなかったり、訪問に来ないことが多くて不安になったりなどの悩みを抱えている方もいるでしょう。
では、悪いケアマネージャーとはどのような特徴があるのでしょうか。この記事では、実際にあった事例とともに、不満を感じたときの具体的な対処法を解説します。
今のケアマネージャーは信頼できるのかを自分で判断できるようになり、万一のときにも冷静に対応できる自信がつくはずです。
目次
悪いケアマネージャーとは?利用者の信頼を損なう典型的な特徴

「今のケアマネージャーに不満はあるけれど、我慢するしかないのかな」と思い込んでしまう方は少なくありません。しかし、典型的な特徴を知っておくことで、これはおかしいと気づき、早めに対応できるようになるでしょう。
悪いケアマネージャーとはどのような人か、代表的な行動パターンを解説します。
一方的にプランを押し付ける
利用者や家族の希望を十分に聞かず、ケアマネージャー自身の判断だけでケアプランを決めてしまうケースがあります。本来、介護保険法第1条では利用者の意思を尊重することが基本方針として定められているのです。
しかし、一方的にプランを押し付けられると、『必要なサービスが受けられない』『本人の生活スタイルが崩れてしまう』などの不満やトラブルにつながる可能性があります。
良いケアマネージャーは、「提案」ではなく「相談」を重ねる姿勢を大切にしている人であるといえるでしょう。
参考:厚生労働省「介護保険法(平成9年12月17日法律第127号)」
訪問(モニタリング)に来ない
ケアマネージャーは、原則として毎月1回は利用者宅を訪問し、サービスの利用状況や体調変化の確認が義務付けられています。しかし、なかには忙しさや怠慢から訪問を怠るケアマネージャーも存在します。
訪問がないと、小さな体調の変化や生活上の困りごとが見逃され、結果として大きなトラブルにつながりかねません。また、定期的なモニタリングを続けることで、利用者とケアマネージャーとの間に信頼関係が築かれていきます。
訪問を怠ることは、利用者の安全や生活の質を守る責任を果たしていないといえるでしょう。
連絡が遅い
介護サービスは日常生活に直結するため、トラブルや変更があった際には迅速な対応が求められます。しかし、電話をしてもなかなか折り返しがなかったり、サービスの手続きが遅くて利用開始が遅れたりなどの不満を持っている方は少なくありません。
連絡の遅さは、利用者や家族の安心を大きく損なう要因です。迅速かつ誠実な対応ができる人は、信頼できるケアマネージャーといえるでしょう。
悪いケアマネージャーの事例とは|困った経験から学ぶこと

思わず不信感を抱いてしまうケアマネージャーの対応は、実は誰にでも起こりえます。実際にあった事例を通じて、信頼を損なう悪いケアマネージャーとはどのような対応なのかを具体的に見ていきましょう。
事例を知ることで、自分の状況と照らし合わせ、適切に対応するための判断材料になります。
勝手にサービスが中止された事例
ある利用者の家庭で、利用者が入浴サービスを楽しみにしていたのにも関わらず、中止された事例がありました。本人も家族も、事前に何の説明もなく、ケアマネージャーが勝手に判断したように思えて強い不満を抱いたのです。
しかし実際には、訪問看護師から「酸素飽和度が70%まで低下し、痰が絡んで呼吸が苦しい状態が続いていたため入浴は危険」との報告がありました。状態が回復せず、ケアマネージャーが安全を優先して中止を決めていたのです。
判断そのものは妥当であっても、本人や家族に理由を説明せずに一方的に伝えたことで「勝手に中止された」と受け止められ、不信感につながっています。サービスを止めざるをえない場合でも、事前にしっかり説明して理解を得ることが信頼関係を守るために欠かせません。
参考:北海道国民健康保険団体連合会「第3部国保連合会の苦情相談事例」
要望を聞いてくれない事例
ある利用者は、要支援2から要介護1へ区分が変わったことをきっかけに、通所介護の利用時間が週1回2時間から週2回3時間に変更されました。ところが、追加された前後の30分は友人がいないため、利用者は居心地が悪く、むしろ負担を感じるようになっていたようです。
家族は「従来通り2時間に戻してほしい」とケアマネージャーに相談しましたが、ケアマネージャーは「変更はできません」と理由も説明せず一方的に拒否されています。
通所介護の報酬は、3時間以上4時間未満が基本ですが、体調や事情により2時間以上3時間未満での利用が認められるケースもあります。そのため、利用者や家族の要望を無視するのではなく、ケアマネはなぜ変更が難しいのか、あるいは制度上可能かを丁寧に説明する責任があります。
参考:北海道国民健康保険団体連合会「第3部国保連合会の苦情相談事例」
悪いケアマネージャーに直面したときの向き合い方と選択肢

ケアマネージャーに不信感を抱いたとき、感情的になるのではなく、冷静に対処することが大切です。適切な対応を知っておくことで、トラブルを最小限に抑え、安心して介護サービスを継続できます。
ケアマネージャーに直接伝える際のポイント
ケアマネージャーに不満や要望を伝えるときは、まず本人が直接話すのが基本です。事例にもあるように、説明不足や話し合い不足が不満・不信感につながることが多いため、しっかりと準備して伝えましょう。
- 話す内容をあらかじめ整理する
…伝えたいことを箇条書きにまとめ、要点を明確にしておくと話がぶれにくい
- 家族の意見を統一しておく
…複数の家族が関わる場合は、意見をそろえておくことで誤解や混乱を防げる
- 事実や日時を具体的に伝える
…「いつ、何が、どう困ったのか」を具体的に話すことで、ケアマネージャーが状況を正確に把握できる
このように準備して伝えることで、感情的にならず、冷静に要望を伝えられます。説明不足や話し合い不足による不満を防ぐことができれば、解決につなげやすくなるでしょう。
解決しない時は事業所に相談
直接伝えても改善が見られない場合は、ケアマネージャーが所属する事業所に相談するのも選択肢の一つです。事業所には苦情に対応する義務があります。
例えば、サービスが勝手に変更されたが改善されない場合、管理者に相談すると別のケアマネージャーに担当を替えてもらえる可能性もあるでしょう。
結論として、事業所への相談は利用者の権利を守るための正当な手段です。状況が改善しないときは、ためらわずに声を上げることも大切です。
まとめ|ケアマネージャーと良い関係を築くためにできることとは

悪いケアマネージャーとは、利用者の立場や気持ちを十分に考えず、一方的にケアプランを決めてしまったり、訪問回数が少なかったり、連絡が遅れてしまうような人のことを指します。こうした対応が続くと、利用者や家族との信頼関係が崩れてしまうことがあります。
もしケアマネージャーに対して不満や疑問を感じた場合は、感情的にならず、いつ・どんな場面で・どのような対応があったのかを具体的に整理して伝えることが大切です。たとえば、「〇月〇日に相談したが返答がなかった」「訪問予定が急に変更された」など、事実や日時を明確に伝えることで、相手も状況を正しく理解しやすくなります。
また、家族の意見を統一してから伝えることで、より説得力が増します。ケアマネージャーも「どこを改善すればよいか」が分かりやすくなり、建設的な話し合いにつなげることができます。
それでも改善が見られない場合は、ケアマネージャーが所属する事業所に相談することも一つの方法です。場合によっては担当の変更や、他の専門職との連携で対応してもらえることもあります。
大切なのは、早めに気づき、適切に行動すること。 そうすることで、あなたや家族に寄り添ってくれる信頼できるケアマネージャーと出会い、安心して介護サービスを受けられる環境を整えることができます。