
四つ這い運動のリハビリ効果は?身体機能を高める具体的なメニューを解説
2025.07.16

臨床やスポーツ現場では、四つ這い運動をリハビリに取り入れる場面が多く見られます。子供から高齢者まで行える簡単な運動で、バリエーションも豊富なのが特徴です。
しかし、「四つ這い運動にどんな効果があるのか?」「どんな目的があるのか?」など疑問に思う方もいるでしょう。四つ這い運動は上半身から体幹の筋力強化に効果的で、姿勢改善やバランス能力改善、スポーツパフォーマンス向上が期待できます。
簡単にできるのが魅力の四つ這いによるリハビリですが、いくつかのポイントをおさえておくことが大切です。四つ這い運動が効果的に行えるように、目的や運動フォームの理解を深めましょう。
目次
【誰でも簡単に!】四つ這いで行うリハビリの効果とメリットは?

四つ這いで行うリハビリは誰でも簡単に行えるため、幅広い年代の方におすすめです。難易度を調整すれば高齢者も安全に実施でき、特別な道具も必要ありません。ここでは、四つ這い運動の効果とメリットを解説します。
安全にバランス練習が行える
四つ這い運動のメリットは、転倒による怪我のリスクが低い点です。立位で行うバランス練習も効果的ですが、怪我のリスクが高いことがデメリットとして挙げられます。
しかし、四つ這い運動なら重心が低いため、バランスを崩しても怪我の心配がありません。「自主トレーニングは怪我が心配」という方は四つ這い運動がおすすめです。
高齢者もできる体幹トレーニング
四つ這いで行うリハビリは高齢者にもおすすめです。年を重ねると背骨が曲がり「猫背」になる方は少なくありません。猫背が強くなると、腰痛を発症したり転倒の危険が高くなったりするため、早めに体幹トレーニングを始めることが大切です。
「最近腰や背中が曲がってきた…」と感じる方は、四つ這いで体幹を鍛えるリハビリを行い、姿勢改善を目指しましょう。
道具と場所を選ばない運動
四つ這い運動のメリットとして、道具を必要とせず狭い場所で行える点が挙げられます。リハビリとなればチューブやダンベルを購入したり、ジムや治療院に出かけたりする必要がありますが、四つ這い運動は今日から自宅で行えるのが魅力です。
「運動やリハビリにお金をかけたくない」という方は、四つ這い運動から始めるとよいでしょう。
四つ這いのリハビリが適応となる疾患は?さまざまな症状に効果的

「四つ這いのリハビリはどんな人が適応となるの?」このような疑問を抱える方もいるでしょう。四つ這い運動は、脳血管疾患や腰痛と肩こりに悩む方、スポーツ選手の機能訓練までさまざまな方が適応となります。具体的にどのような運動効果があるのか解説します。
脳血管疾患のバランス練習
脳血管疾患を発症すると、後遺症によってバランス能力が低下し、生活のあらゆる場面に支障をきたします。特に「パーキンソン病」「小脳梗塞」と言った疾患は、バランス能力による転倒の危険が高いため、四つ這い運動がおすすめです。
立位や座位でのバランス練習に加えて、四つ這いによるバランス練習を組み合わせるとリハビリ効果が高くなるでしょう。
腰痛や肩こりに悩む人も対象
姿勢が悪くなり腰痛や肩こりに悩んでいる方は、四つ這い運動による姿勢改善が必要です。体幹の筋力が低下すると猫背が強くなるため、首回りの筋肉や腰回りの筋肉に負担がかかり、痛みを感じるようになります。
腰痛や肩こりに悩む方は、マッサージを受けるだけでは根本の解決にならないため、四つ這い運動による姿勢改善を目指しましょう。
参考:第一三共ヘルスケア「肩こりの症状・原因|くすりと健康の情報局」
スポーツ選手の機能訓練
高いパフォーマンスを発揮するには正しい姿勢と強い体幹が必要となるため、四つ這いによるリハビリを取り入れているスポーツ選手も多くいます。
スポーツ選手が四つ這い運動を行う時は、バランスディスクを使用したり、チューブで負荷をかけたりして難易度を高めると効果が高まります。正しいフォームを掴んだら徐々に難易度を上げてパフォーマンス向上を目指しましょう。
四つ這いで行うリハビリの具体的方法と注意点!高齢者もおすすめ

四つ這い運動は、体幹機能を向上させる運動と柔軟性を促進する運動に分かれます。四つ這いのリハビリ効果を最大限発揮するためにも、注意点を理解してくことが大切です。ここでは、四つ這い運動のバリエーションと具体的な方法を解説します。
四つ這いバランス練習(バードドッグ)
四つ這いで行う体幹トレーニングとバランス練習は「バード・ドッグ」と呼ばれる方法があります。対側の手足を伸ばしてバランスを取ることで、腹筋や背筋の強化とバランス能力を高める効果があるのが特徴です。
<バード・ドックの注意点>
- 手足は体幹と一直線上になるように伸ばす
- 背骨の反りすぎ、曲がりすぎに注意する
- 30秒~60秒姿勢を保ち、3セット程度行う
高齢者や脳梗塞後の方で手足同時に伸ばすのが難しい方は、足だけ伸ばす、手だけ伸ばすなど、難易度を調整しながら行いましょう。
四つ這い柔軟体操(キャット・ドッグ)
脊柱全体の柔軟性を高める方法で「キャット・ドッグ」と呼ばれる体操があります。姿勢不良が長く続くと、脊柱周りの筋肉が硬くなってしまうため、キャット・ドッグで可動性を高めると姿勢改善につながりやすくなります。
<キャット・ドッグの注意点>
- お腹を覗き込むように背骨全体を丸める
- お尻を突き出しながら背骨全体を逸らせる
- 腰の反りすぎは腰痛を起こすので注意する
- 呼吸を止めないようにリラックスして行う
運動効果を高めるためには、前述した「バード・ドッグ」の前に行うのがおすすめです。
体調管理と運動姿勢に注意
四つ這い運動は、立位で行う運動よりも負荷量が少ないですが、体調管理には十分注意しましょう。また、間違ったフォームで行うと期待する運動効果が得られないため注意が必要です。運動姿勢が重要になるからこそ、専門家の指示を仰ぎながら適切な方法で行うことをおすすめします。
まとめ:四つ這いのリハビリを行って姿勢改善とバランス強化を!

四つ這い運動は、床の上に手とひざをついて行う運動で、高齢の方でも安心してできるリハビリ方法です。立ったまま体を動かすよりも転びにくく安全で、特別な道具も広い場所も必要ないため、家でも気軽に続けやすい運動です。
この運動では、腕や肩、背中、そして体の中心となる「体幹」が自然に鍛えられます。体幹が強くなると、体のバランスをとりやすくなり、姿勢が安定したり、歩くときにふらつきにくくなったりします。
そのため、脳卒中などの病気のあとに手足がうまく動かせなくなった人や、運動能力をもっと高めたいスポーツ選手にも効果があるといわれています。バランス力が良くなると、転びにくくなることでケガの予防にもつながり、スポーツではパフォーマンスの向上にも役立ちます。
ただし、正しくないやり方で続けてしまうと、体に負担がかかったり効果が出にくかったりすることがあります。四つ這い運動をより安全で効果的に行うためには、専門家にフォームを見てもらいながら行うことが大切です。もし近くに相談できる人がいない場合でも、最初は動画や本などで正しい姿勢を確認してから始めるのがおすすめです。