
脊柱管狭窄症における重症度の評価方法とは?リハビリの実践ポイントも解説
2025.02.26

脊柱管狭窄症と診断され、保存療法でなかなか症状が改善しない場合、手術の必要性を考える人は多いでしょう。
脊柱管狭窄症は、患者の重症度を正しく評価することで治療方針が決定されます。定期的な評価を受け、重症度に応じて適切な治療を受けることが大切です。
今回は、脊柱管狭窄症の重症度の評価方法と手術適応の見極め方、術後の注意点について解説します。
重症度の評価基準を知ることで適切な治療の選択が可能となり、生活の満足度向上につながります。
目次
【症状と原因】脊柱管狭窄症の重症度の評価方法を知る前に!

脊柱管狭窄症の重症度の評価方法について気になるところですが、まずは脊柱管狭窄症の症状と症状が進行した場合のリスクについて解説します。
腰部脊柱管狭窄症の基本症状とは?
腰痛、足の痛みやしびれ、麻痺などが症状としてあらわれます。
歩くと痛みが生じ、休むと楽になる、という歩行状態を繰り返す間欠跛行は、腰部脊柱管狭窄症の特徴的な症状です。
腰部脊柱管狭窄症の原因と悪化進行のリスク
腰部脊柱管狭窄症の原因は、加齢による以下の変化で発症します。
- 脊柱管にある靭帯が分厚くなる
- 椎間板が突出してヘルニアになる
- 骨そのものが変形する
これらの変化で脊柱管が狭くなり、神経を圧迫することで痛みやしびれなどの症状があらわれます。
立ったり歩いたりなどの日常生活を送ることで症状は悪化し、痛みやしびれの増強のほか、麻痺の出現や排尿障害・排便障害を起こす場合があります。
悪化を防ぐために必要な対応
痛みやしびれの症状はあるけど気になるほどでもないと放置すると、脊柱管の狭窄は進行し、症状は悪化します。
重症になると日常生活に支障をきたすほか、治療や手術を受けても効果が出にくくなります。
たとえ軽い症状であっても、早めに受診し治療を始めることが大切です。早期の診断と治療は、より高い治療効果につながります。
脊柱管狭窄症に対する重症度の評価|重症度を分類するためのポイント

脊柱管狭窄症は、重症度の評価に応じて治療が選択されます。重症度はどのように評価し分類されるのかを確認します。
診断の主なプロセスについて
まずは問診・診察により、痛みやしびれの有無と部位、筋力低下の有無、知覚障害の有無を確認します。
レントゲンやMRIで骨の状態や神経の圧迫の有無を評価し、さらに詳しい診断や術前評価が必要な場合はCTによる診断を行います。
主に初診時や治療方針の決定時、症状や画像診断結果から総合的に重症度を判断しますが、患者の症状や状態に応じ、適宜評価するのが一般的です。
重症度によっては保存療法の選択肢もあるのか
痛みやしびれが軽度で日常生活に大きな困難がなく、休憩や前かがみの姿勢で症状が和らぐ場合は、保存療法が選択されます。
薬物療法、ストレッチや筋トレなどの運動療法、ブロック注射など、症状に応じて必要な治療を行います。
麻痺や強いしびれ、排尿障害などがない場合、保存療法で改善が期待できるのです。
手術が必要となる重症度をどう見極めているの?
保存療法で効果を認めない場合や、痛み・しびれの増強、麻痺の出現、筋力低下や排尿障害・排便障害を認める場合、手術が必要です。
特に、歩行ができない、頻尿、便秘、失禁など日常生活に支障をきたす症状は、手術適応の判断に大きく関わります。
症状が進行すると改善は難しくなるため、注意深く経過をみながら判断する必要があります。
術後リハビリについて…脊柱管狭窄症の予後とリハビリの重要性

脊柱菅狭窄症の重症度の評価により、手術適応となれば回復は見込めるのでしょうか?脊柱管狭窄症の手術は症状改善には有効ですが、完全な回復は保証されません。正しいリハビリと個々の状態に応じた継続的なケアが必要です。
歩行機能回復を目指してリハビリを行おう
手術後のリハビリは、筋力・可動域の回復や身体バランスの改善、歩行訓練を中心に行い、日常生活への適応を目指します。
手術前、長い期間の麻痺や重度の麻痺があった場合、回復に時間がかかったり、麻痺が残る可能性があります。
リハビリを継続し、筋肉のこわばりを和らげたり、日常生活動作を安定させることで、生活の質は向上するでしょう。
生活の質を高めるために必要な工夫と注意点
手術直後は、できるだけ腰に負担をかけないようにしましょう。腰を後ろに反らしたりひねったりする動作は、神経を圧迫してしまうため注意が必要です。
退院し自宅に帰ると無理をしてしまいがちです。歩行時は杖や歩行器を使用し、こまめな休憩を心がけましょう。
ストレッチは、筋肉の緊張を和らげる、神経の圧迫を軽減するなどの効果があり、症状の再発リスクを軽減できます。
しかし、正しい方法で行わなければ腰に負担がかかり、痛みを増強させるおそれがあります。必ず、リハビリの専門家の指導のもと実施しましょう。より個別の症状に応じたリハビリを希望される場合、自費リハビリを検討するとよいでしょう。
まとめ|脊柱管狭窄症における重症度の評価方法

脊柱管狭窄症とは、背骨の中を通る“脊柱管”という神経の通り道が狭くなってしまい、神経が圧迫される病気です。この病気になると、腰や足に痛みやしびれが出たり、長い時間歩くことが難しくなったりします。こういった症状が進むと、日常生活に支障をきたす症状(たとえば歩く、座る、立ち上がるなどの動作がつらくなること)となり、生活の質が下がってしまいます。
このとき大切なのが、重症度の評価をしっかり行うことです。たとえば、「どれくらい長く歩けるか」「足の力や感覚はどうか」といったポイントを専門家が確認して、治療の進め方を考えます。症状が軽い場合は、薬や運動、ストレッチなどを中心に行う保存療法が選ばれることが多いです。しかし、症状の変化を見ながらそのつど状態を評価し、必要に応じて治療の方法を変えていくことが大切になります。
もし治療や手術をしないまま放置すると、症状が少しずつ進行し、最終的には強い痛みやしびれ、さらには麻痺と呼ばれる、思うように体を動かせない状態が起こる可能性もあります。いったんまひが起こると、手術後も神経の回復に時間がかかり、リハビリを続けても思うように改善しない場合があります。
だからこそ、脊柱管狭窄症の症状がある方は、早い段階で医師の診察を受け、重症度の評価や治療方針を確認することがとても重要です。評価基準を理解しておくと、手術のタイミングやリハビリの進め方などについて、自分で納得しながら決めやすくなり、今後の回復(予後)にも大きく関わってきます。
さらに、たとえ手術を受けて麻痺などの症状が残ったとしても、リハビリの継続によって筋力の回復をうながしたり、再発を防いだりすることができます。専門家のアドバイスのもと、自分の症状に合った運動やストレッチを根気よく続けることが大切です。
ぜひ、専門家による指導を受けながら、症状に合ったリハビリをコツコツと続けて、よりよい生活をめざしていきましょう。