脳梗塞に女性特有のリスクはあるの?前兆症状かもと思った時の対処法
2024.11.22
脳梗塞は脳の血管が詰まることで脳細胞が壊死してしまう病気です。脳梗塞は女性に多いと聞いたことがある方もいるかもしれません。脳梗塞の前兆のような症状が出現すると、不安になってしまいますよね。実際は脳梗塞の発症数を見ると女性よりも男性が多いです。
では、なぜ女性に多いと言われるのでしょうか。脳梗塞が女性に起こりやすいと言われる背景には、女性特有のリスクが存在します。今回は脳梗塞の女性特有のリスクについて解説します。また、脳梗塞による前兆症状の確認方法や予防法もご紹介します。
目次
脳梗塞は女性に多い?脳梗塞の原因と女性特有のリスクとは
脳梗塞は女性に多い病気なのか、女性特有の前兆症状はあるのか気になりますよね。まずは脳梗塞の原因や男女比など脳梗塞の基本知識を解説します。
脳梗塞の男女比
脳梗塞は脳卒中の中でも一番発症率が高く、脳血管障害全体の約7割を占めます。2023年の日本脳卒中データーバンクの報告書によると、脳卒中の男女比は以下の通りです。
脳卒中の種類 | 男性 | 女性 |
脳梗塞 | 57.9% | 42.1% |
脳出血 | 54.5% | 45.5% |
くも膜下出血 | 30% | 70% |
脳梗塞の男女比は全体的にみると、男性が少し多いのですが、60歳以降の発症率は女性の方が高くなる傾向があります。
参考:日本脳卒中データバンク「脳卒中レジストリを用いた我が国の脳卒中診療実態の把握」
脳梗塞の原因
脳梗塞は脳の血管が詰まることで脳の一部が壊死してしまう病気です。脳梗塞は突然発症し、数時間で急速に症状が進んでしまいます。
脳梗塞を引き起こす大きな要因は動脈硬化です。動脈硬化とは、血管が硬くなり弾力が失われた状態のことです。血管内の壁にコレステロールやプラークがたまり、血管が狭くなることで、血液の流れが悪くなったり、血栓が生じて血管が詰まりやすくなったりします。
動脈硬化は加齢や喫煙、飲酒、生活習慣病などの危険因子が重なることで発症しやすくなります。
女性特有のリスク
脳梗塞の最大の危険因子は高血圧です。50歳くらいまでは男性の方が女性よりも高血圧の平均値が高い傾向がありますが、それ以降の年代だと差はほとんどなくなります。
50歳以上になると女性が高血圧になりやすい原因として閉経が考えられます。女性ホルモンであるエストロゲンは動脈硬化の原因である悪玉コレステロールを低下させる作用があります。閉経により、エストロゲンが減少することで急激に高血圧のリスクが高まるのです。
先程の男女比でのくも膜下出血の発症率が女性が高い理由も、このエストロゲンの減少が関係していると言われています。
【脳梗塞】女性だけでなく男性も確認!前兆症状の見極め方
脳梗塞かもと疑う症状は女性だけでなく男性も同じです。脳梗塞は突然発症するものですが、前兆症状が全くないわけではありません。前兆症状かどうかを見極めて早めに対処することが重要です。
脳梗塞の前兆症状
脳梗塞の前兆症状は以下の通りです。
<脳梗塞の前兆症状>
- 片方の手や足に力が入らなくなる
- 片方の手足がしびれる、もしくは感覚がない
- 歩き方がふらふらする
- ろれつが回らない、発音が上手にできない
- 顔や唇がしびれる
- 相手の言うことが理解できない
- 話したいことが離せない
- 片方の目が見えにくい
- 視野の一部が欠ける
- 物が二重に見える
- めまいや頭痛
脳梗塞は1分1秒を争う病気です。前兆症状を疑うような症状があれば、直ちに救急車を呼びましょう。
サインを見逃さない「FAST」
脳梗塞の前兆症状にはさまざまなものがありますが、いざ確認しようと思ってもすべてを思い出すのは困難でしょう。そこで脳梗塞の前兆症状をチェックする「FAST」というものがあります。
FASTは脳梗塞を疑う症状があるときに確認するべきことの頭文字4つから成り立っています。
- 「F」…Face(顔)。片方の口角は下がっていないか、左右で顔のゆがみはないか
- 「A」…Arm(腕)。両腕を胸の前まで水平に上げたときに片方だけ落ちてこないか
- 「S」…Speech(話す)。ろれつに問題はないか、思った言葉がすぐ出てくるか
- 「T」…Time(時間)。発生時刻からの時間はどれくらいか
上記のチェック項目に該当したら直ちに病院へ行きましょう。脳梗塞は発症からの経過時間によって処置が変わります。早ければ早いほど治療できる幅も広がってきます。少しでも気になる症状があれば、病院を受診しましょう。
【脳梗塞予防】不安のある女性は生活習慣の見直しを!
脳梗塞は日々の生活習慣を見直すことで、予防ができます。女性の場合はホルモンバランスの乱れやストレスも危険因子となるため予測して対処することが大切です。
閉経後のホルモン管理
上記でもお伝えしたように、閉経後の女性ホルモンであるエストロゲンの減少が脳梗塞の発症を促す恐れがあります。
エストロゲンと似た働きをする大豆イソフラボンを接種したり、適度な運動を行ったりするなどエストロゲンを補えるように生活の中で工夫しましょう。
ホルモン補充療法(HRT)という、薬でエストロゲンを補う方法もあります。閉経前、もしくは閉経後早期からHRTを始めることで脳梗塞の原因である動脈硬化の予防が可能です。
また、30歳前後の女性は男性よりも高血圧の影響が強くなる傾向があります。女性は若いうちから高血圧に気を付けておきましょう。
規則正しい生活習慣
脳梗塞の危険因子として生活習慣も大きく関係しています。喫煙や飲酒の習慣や、糖尿病や肥満など生活習慣病を患っていると脳梗塞のリスクは高まります。
脳梗塞予防には以下のような規則正しい生活を心がけましょう。
<規則正しい生活習慣>
- 早寝早起き
- バランスのよい食事
- 適度な運動
- 質のいい睡眠
食事は1日3回、魚や野菜が中心の食事がおすすめです。また、1日30分程度のウォーキングやジョギングを取り入れると良いでしょう。
ストレスも原因の1つ
ストレスは脳梗塞の原因の1つです。女性は男性よりもストレスの影響を受けやすい傾向があります。ストレスを発散させる方法は以下の通りです。
<ストレス解消法の一例>
- 睡眠をしっかりとる
- こまめにストレッチをする
- 趣味に没頭する
- 親しい友人と話す
- 湯船につかる
- 映画鑑賞や読書で涙を流す
- 適度な運動をする
ストレスは脳梗塞だけでなく、さまざまな病気にかかる可能性があります。自分に合ったストレス解消法を身につけておくことが大切です。
まとめ|脳梗塞における女性特有のリスクと前兆症状
脳梗塞には、女性特有のリスクが存在します。その1つが閉経後に起こる女性ホルモン(エストロゲン)の減少です。エストロゲンは血管を守る働きがあるため、閉経後にその量が減少すると、血管がダメージを受けやすくなり、脳梗塞のリスクが高まります。これを防ぐために、閉経前に前兆となる症状を感じたら、ホルモン補充療法などの対策を検討することが重要です。医師に相談しながら自分に合った方法を見つけましょう。
しかし、脳梗塞のリスクは女性ホルモンの減少だけではありません。高血圧や生活習慣病も大きな危険因子です。これらの病気があると血管がさらに弱くなり、血流が滞りやすくなります。そのため、普段から規則正しい生活を送ることがとても大切です。例えば、バランスの良い食事を心がけたり、適度な運動を取り入れたりすることが効果的です。また、十分な睡眠をとることで体全体の調子を整え、高血圧や生活習慣病を予防することができます。
脳梗塞が起きる前には、いくつかの前兆症状が現れることがあります。例えば、片側の顔が突然垂れ下がったり、腕や足に力が入らなくなったり、話しにくくなったりすることがあります。このような症状が現れたときには、「FAST」という方法で確認してみてください。
- F(Face): 顔が片方だけ垂れ下がっていないか?
- A(Arms): 両腕を上げたときに片方だけ下がってしまわないか?
- S(Speech): 話し方がスムーズでない、または言葉が出にくくなっていないか?
- T(Time): これらの症状が見られたら、すぐに救急車を呼ぶ。
脳梗塞は突然発症することが多く、時間が経つほどに症状が悪化します。男性も女性も関係なく、命にかかわることがあるため、前兆を見逃さないことがとても重要です。「少し様子を見よう」と考えず、迷わず早めに行動しましょう。
普段から健康的な生活を心がけるとともに、体の異変に気づいたらすぐに対応することで、脳梗塞のリスクを大きく減らすことができます。家族や周りの人と一緒に、健康を守るための知識を共有することも大切です。