脊髄梗塞後に歩けるようになった人がいる!リハビリ内容や対策方法を紹介
2024.11.06
脊髄梗塞(せきずいこうそく)を発症後、歩けるようになるか不安に思う方は多いです。歩行は日常生活において必要な動作であり、1人で歩けると自由に外出ができるようになります。そのため、歩行獲得をリハビリの目標とする患者さんがいらっしゃいます。
しかし、本当に脊髄梗塞後に歩けるのか心配になると、長期的なリハビリを継続できないでしょう。この記事では、脊髄梗塞発症後に歩けるようになった症例をご紹介するとともに、患者さんが取り組めることを解説します。
リハビリの効果や具体的な方法を知ると、モチベーションを保った状態でリハビリに取り組めるようになるでしょう。
目次
脊髄梗塞後は歩けるようになる?原因・症状・予後を解説
脊髄梗塞後に歩けるようになるのかを考えるさいには、まず原因・症状・予後を知っておくのが大切です。特に、脊髄梗塞後の回復傾向を知っておくと、現状を把握し、次への行動に移しやすくなるでしょう。生活目標を立てるために必要な基礎知識をご紹介します。
脊髄梗塞の原因や発生頻度
脊髄梗塞は、脊髄や脊髄周囲の血流が妨げられることで起こります。次のような原因で引き起こされる場合が多いです。
- 動脈硬化
- 外傷
- 血栓
また、脊髄梗塞の発生頻度は脳卒中の1/50〜1/100程度、年間10万人中3.1人です。比較的まれな疾患のため、明確な治療法が見つかっておらず、支持療法が行われます。
脊髄梗塞の症状と後遺症
脊髄梗塞の症状と後遺症は、障害を受けた部位・範囲によるため、個人差があります。次のような症状がみられるのが一般的です。
- 背中や首が突然痛む
- 脚が麻痺したり筋力が低下したりする
- 痺れや痛みを感じないなどの感覚障害が起こる
- 排尿・排便の障害が起こる
運動麻痺や感覚障害により、日常生活動作が困難になったり、介助が必要になったりする後遺症を抱える方がいらっしゃいます。
脊髄梗塞の予後
脊髄梗塞は脳梗塞に比べて、死亡率が低いです。そのため、後遺症を抱えながら生活される方が多いといえます。脊髄梗塞発症後、早期に運動機能の回復がみられる場合は、その後の回復も良好な方が多いです。
早期に回復がみられない場合や、障害部位が広範囲である場合などは、回復が遅い傾向があります。しかし、退院時に車椅子が必要でも、半年後に歩けるようになった方もいらっしゃいます。
脊髄梗塞で歩けるようになった人が行ったリハビリ内容や経過
脊髄梗塞は明確な治療法がなく、症例も少ないので、回復経過や治療方法に不安を持つ方が多いです。ここでは、脊髄梗塞後に歩けるようになった方の、リハビリ内容や経過をご紹介します。リハビリ方法の選択肢や知識が多いと、ご自分に合った治療法を見つけやすくなるでしょう。
重度の運動麻痺から歩行獲得
脊髄梗塞後、重度の運動麻痺がみられた60代女性の例を紹介します。発症後すぐは、ベッドからの起き上がりが難しい状態でしたが、6ヶ月の理学療法を行い、歩けるようになったそうです。
まずは寝た状態で、腕や脚を1本ずつ動かすリハビリから始まりました。その後、腕・脚の対角線上の動きを行い、1ヶ月後にはベッドに腰掛ける姿勢で体幹を安定させる訓練を行ったそうです。杖や歩行器などの補助具を使い、歩行訓練を実施したところ、見守りでの歩行が自立しました。
段階的かつ継続的なリハビリを行った結果、神経回路網が改善し、機能的な歩行が可能になったと考えられています。
杖なしの歩行が可能になった症例
脊髄梗塞を発症後、両足の麻痺があり、屋外の長期歩行が難しかった男性の例をご紹介します。6ヶ月のリハビリにより、歩行のしにくさが改善し、歩くスピードが向上したようです。
脊髄の障害により、体幹の筋肉が使いにくい状態となっていたため、腹筋や背筋の収縮を促す運動を取り入れたといいます。また、脛部分の筋肉が収縮しにくい状態を改善するために、股関節を安定させて、筋肉の活性化を図るリハビリが行われました。
さらに、歩行時の動きに必要な筋肉の活動を高めることで、脊髄梗塞発症後に歩けるようになったと報告されています。
参考:脊髄梗塞により重度運動麻痺を呈した症例が歩行獲得に至った背景の一考察
脊髄梗塞後に歩けるようになりたい!患者さんが取り組めること
脊髄梗塞の患者さんの例から、適切なリハビリを行うと歩けるようになることがわかりました。しかし、リハビリの時間には限りがあります。特に退院後は、リハビリ回数が減ってしまったり、終了したりして十分な時間が確保できないかもしれません。患者さん自身で取り組めることを3つご紹介します。
リハビリを続けるのが大切
脊髄梗塞発症後に歩けるようになった方の症例から、リハビリを行うと神経回路が改善されることがわかります。この例から、リハビリを継続するのが重要だといえるでしょう。
現在リハビリを受けている方は継続し、終了してしまった方は介護保険を利用してリハビリを再開すると、身体機能は回復しやすいです。もし、不安・疑問があって前向きに取り組めない方は、現状や他の方法はないかを担当スタッフと話し合ってみましょう。
補助具や環境を整えて日常動作を維持する
リハビリには、専門スタッフが行うものと生活の中で行うリハビリがあります。患者さんご自身で動くこと自体が、リハビリとなるのです。思ったように歩けなくても、できる日常動作を積極的に行ってみましょう。
自立歩行が難しい場合でも、家に手すりをつけたり、杖・歩行器を使用したりして、できる動作を増やすのも効果的です。
自費リハビリで回数を増やす
退院後にリハビリが終了になってしまった方や、保険制度の制限によりリハビリの回数・時間が少ないと感じる方は、自費リハビリという選択肢もあります。自費リハビリは、保険適用外ですが、回数や時間を自由に設定できる点がメリットです。
保険制度のリハビリとも併用が可能なので、他の治療法を試したい場合やマンツーマンで治療を行ってほしい場合に検討してみましょう。
まとめ
脊髄梗塞(せきずいこうそく)という病気を知っていますか?これは、背骨の中を通る脊髄という大切な神経が、血の流れが悪くなることでうまく働かなくなる病気です。この病気になると、「これから歩けるようになるのかな?」と心配になる人も多いでしょう。
脊髄梗塞の症状や後遺症は人それぞれですが、一般的には次のようなものがあります。
- 背中や首に突然痛みが起こる:急に強い痛みを感じることがあります。
- 足が動かしにくくなる:足が麻痺(まひ)したり、力が入らなくなったりします。
- 感覚が変になる:足や手の痺れ(しびれ)や、痛みを感じなくなることがあります。
これらの症状が出ると、日常生活がとても大変になります。
でも、脊髄梗塞になっても、リハビリを頑張ってまた歩けるようになった人もいます。その人たちがどんなリハビリをしたのか、どのように回復していったのかを知ることで、自分も励まされるでしょう。また、リハビリに取り組む気持ちも変わってくるかもしれません。
しかし、退院後のリハビリは、なかなかやる気が出ないこともあります。だからこそ、「もう一度歩けるようになりたい!」というはっきりとした目標を持つことが大切です。目標があれば、リハビリにも前向きに取り組めます。