片麻痺が治った人はいますか?脳卒中による片麻痺の原因と改善について
2024.06.21
脳卒中などで親族や自分自身が片麻痺になった場合、気になるのは「片麻痺が治った人はいますか?」という1つの疑問です。
リハビリを続けていくにあたってもモチベーションを左右するもので、どこまで片麻痺が残るのか、何をすれば改善されるのか気になるでしょう。
今回は、脳梗塞や脳出血などの脳卒中によって生じる片麻痺について解説します。また、片麻痺が治った人はいますか?という疑問の解決と、リハビリとの向き合い方を整理していきます。
目次
片麻痺とは?何が原因?脳梗塞から片麻痺になるメカニズムを解説
片麻痺を改善するために定期的にリハビリを行うとともに、自宅でも手指などの自主トレを行うことはとても有効です。しかし、自己流で始めるのは危険です。まずはリハビリまでの流れを確認しましょう。
片麻痺の概要と片麻痺によって手指に出る症状
片麻痺は体の片側に運動麻痺が起こっている状態です。片麻痺は脳の障害があった部分と反対側の体に症状がでるという特徴があります。
後遺症などで片麻痺になると手指に「痙縮(けいしゅく)」という症状があらわれます。痙縮は筋肉が緊張して、動かしにくかったり勝手に動いたりしてしまう状態のことです。
手指を握ったままで開きにくくなったり、肘が曲がってしまう症状が出ますが、放っておくと関節が固まって動かなくなる「拘縮(こうしゅく)」という症状につながります。
片麻痺のリハビリをはじめるタイミングは?
脳卒中を発症した後のリハビリはなるべく早く行うことが推奨されています。発症直後の急性期リハビリでは、関節の可動域の維持や自分の手足を動かす練習を主に行います。
片麻痺などの後遺症が残った場合、完全に回復することが難しくなってきますが、リハビリを続けていくことで症状の改善がみられます。逆にいうとリハビリをやめてしまうと症状の回復は見込めなくなるばかりか、症状が悪化することもあります。
リハビリ前に手指の重症度を確認する
手指のリハビリを始める前にまずは重症度を確認しましょう。
<手指の重症度の確認方法>
- 親指から小指の順に指を1本ずつ曲げる
- 小指から親指の順に指を1本ずつ伸ばす
全ての動作が可能だが、多少のぎこちなさがある場合は「軽度」。全ての動作が可能だが、顕著なぎこちなさがある場合や指の曲げ伸ばしが不十分な場合は「中等度」。何本かの指は1本ずつ動かせる、全ての指の曲げ伸ばしが同時になる場合は「重度」に分けられます。
片麻痺が治った人はいますか?片麻痺のリハビリに関する疑問を整理
片麻痺の上肢リハビリの中でも細かい動きが必要な手指の自主トレ方法をご紹介します。手指の自主トレは場所を問わず行えるので、日常生活にも取り入れやすいです。
重症度毎にご紹介するので、ぜひ取り入れてみてください。
軽度の場合の手指の自主トレ
軽度の場合はゲーム感覚で指の力を使う自主トレがおすすめです。
・洗濯ばさみではさむ運動
- 洗濯ばさみで厚紙などをはさむ
- はさむものを段ボールに変えるなど厚みを増やし難易度をあげる
摘む力は日常生活でも重要なので、積極的に取り組みましょう。
・ティッシュペーパーで細かい動きの練習
- 2枚重なっているティッシュペーパーをはがす
- 1枚づつ指の腹を使いながら「こより」を作る
力の入れ具合や細かい指の使い方の練習になります。
中等度の場合の手指の自主トレ
中度の場合は握る力や指のストレッチが重要です。
・ボールを使った運動
- お手玉、ゴルフボール、テニスボールなど握りやすい大きさで固さや大きさの異なるボールを準備する
- 柔らかいもの、小さいものから握って離す動作を行う
- できたら難易度を挙げながら他のボールに挑戦する
上記の場合はお手玉→ゴルフボール→テニスボールの順で行います。
・指の内外転運動
- 手のひらを下にしてテーブルにのせる
- 指を横に開いたり閉じたりする
痛みが出ない程度に可能な範囲で行いましょう。
重度の場合の手指の自主トレ
重度の場合は負荷の少ないストレッチを中心に行います。
・指のストレッチ
- 麻痺のない側の手で麻痺側の指のストレッチを行う
- 指が曲がりやすい方は伸ばす方向に、伸びやすい方は曲げる方向にストレッチをする
指全体、1本ずつなど様々な工夫をしてみましょう。
・ゴムバンドを使った運動
- ゴムバンドを握って手首を上にむける
- 反対側の手で手首を下に引っ張り固定する
- ゴムバンドを握ったまま手首をあげる
無理せずできる範囲で行いましょう。
片麻痺によるリハビリ…手指の自主トレに限らず目標設定を大切に
脳卒中の後遺症などで片麻痺が残ってしまった場合、症状の改善や悪化防止のためにも長期的なリハビリが必要になります。
長期的なリハビリを行うためには目標設定や家族のサポートがとても重要です。
なぜハビリに目標設定は大切なのか
目標設定をしないままリハビリを続けていくことは、ゴールが分からず歩き続けるようなもので何が正解かわからなくなってしまいます。
ただなんとなくリハビリを受けているだけでは効果も感じられない状況になってしまう恐れもあります。目標を設定し、達成することで達成感につながりリハビリへのモチベーション維持にも繋がるでしょう。
片麻痺のリハビリ…手指は特に自主トレが大切
片麻痺のリハビリの中でも手指に関してはリハビリがとても大切です。麻痺側の指は常に曲がった状態になるなど動かす時間がとても少なくなってしまいがちです。
手や指を動かさない時間が長くなるほど、固まってしまい機能の改善が難しくなってしまいます。日常生活の中でも意識的に自主トレを行うことが機能改善や悪化防止のためにも重要です。
家族や周囲のサポートもリハビリの1つ
家族や周囲のサポートがリハビリの成果に大いに影響するといわれています。リハビリを続けて行く過程で思うように結果だせず辛い思いをしたり、リハビリ自体が嫌になってしまう時もあります。
患者さん1人でリハビリに向き合い続けることはとても大変です。家族が病気の症状を理解し、精神的に支えてあげることが何よりも力になります。また、家族だけで無理せず、医師や専門家にも協力してもらい、みんなでリハビリに取り組みましょう。
まとめ|片麻痺が治った人はいますか?
片麻痺のリハビリの中でも手指の自主トレについてご紹介しました。片麻痺の後遺症が残ると長期的なリハビリが必要になりますが、同時に手指などの自主トレを積極的に行うことで、症状の改善や悪化防止の効果を高めてくれます。
片麻痺のリハビリや手指の自主トレは無理をし過ぎると痛みがでたり、症状が悪化する恐れもあります。医師や専門家に相談しながら、適切なリハビリや自主トレを行いましょう。
片麻痺のリハビリを続けることはとても労力がいります。1人でリハビリを行うのではなく、家族や周囲にサポートしてもらいながら取り組んでいきましょう。