Q.
家庭でできる脳卒中リハビリテーションのポイントを教えてください。
脳卒中のリハビリテーションは、病院や施設で行うだけでなく、家庭での取り組みも非常に重要です。退院後の生活の中で、継続的にリハビリテーションを行うことが、機能回復や日常生活の自立につながります。
家庭でのリハビリテーションを行う上で最も大切なのは、専門職との連携です。医師、理学療法士など、リハビリテーションに関わる専門職種と密に連絡を取り、家庭でのリハビリテーションの方針を決めることが重要です。専門職種の指導に基づいて、適切な運動メニューや、注意点などを理解した上で、リハビリテーションに取り組むことが求められます。
家庭でのリハビリテーションで重要なのは、日常生活の中に運動を取り入れることです。例えば、食事の準備や片付け、洗濯物を干す、ゴミ出しなど、日常のあらゆる場面が、リハビリテーションの機会となります。これらの活動を通じて、麻痺した手足の使用を促し、体力の維持・向上を図ることができます。リハビリテーションを特別なことと捉えるのではなく、生活の一部として自然に取り入れることが大切です。
また、家族の理解と協力も欠かせません。家族には、リハビリテーションの重要性を理解してもらい、患者さんの自立をサポートする役割を担ってもらうことが求められます。ただし、過度な介助は患者さんの自立を妨げる可能性もあります。患者さんができることは自分でしてもらい、必要な部分だけを手助けするという姿勢が大切です。家族で話し合い、適切な役割分担を決めておくことが重要でしょう。
家庭でのリハビリテーションでは、安全面への配慮も欠かせません。脳卒中の後遺症として、バランス機能の低下や、感覚障害などが起こることがあります。これらの症状は、転倒のリスクを高める要因となります。家庭内の環境を整え、手すりの設置や、段差の解消など、バリアフリー化を進めることが大切です。また、リハビリテーションを行う際は、必ず家族の見守りのもとで行い、無理のない範囲で運動を行うことが重要です。
リハビリテーションを継続するためには、患者さん自身のモチベーションを維持することも大切なポイントです。機能回復には時間がかかるため、途中で挫折しそうになることもあるかもしれません。そんな時は、少しずつでも改善している部分に目を向け、自分を褒めることが大切です。また、家族や友人、医療専門職など、周囲の人々からの励ましや支援も、モチベーションを維持する上で大きな力となります。
脳卒中は、後遺症との長い闘いが求められる疾患です。しかし、適切なリハビリテーションを継続することで、多くの患者さんが日常生活の自立を取り戻しています。家庭でのリハビリテーションは、その回復の過程で欠かせない要素。医療専門職との連携、日常生活の中でのリハビリテーション、家族の理解と協力、安全面への配慮、モチベーションの維持など、これらのポイントを押さえながら、一歩ずつ前に進みましょう。