Q.
封入体筋炎の嚥下障害に対するリハビリでは、どのような訓練が行われますか?また、食事の工夫として何が推奨されますか?
封入体筋炎の進行に伴い、多くの患者さんに嚥下障害が見られます。嚥下障害への適切な対応は、誤嚥性肺炎や窒息の予防において重要な役割を果たします。ここでは、嚥下障害に対するリハビリで行われる訓練と、食事の工夫についてご説明します。
嚥下障害に対するリハビリでは、口腔や舌、喉の筋力を維持・強化するための訓練が行われます。具体的には、以下のような訓練が挙げられます。
- 舌の運動訓練:舌を前後左右に動かしたり、上顎に押し付けたりする運動を行います。これにより、舌の筋力と可動性を維持・改善することができます。
- 頬の筋力訓練:頬を膨らませたり、吸い込んだりする運動を行います。これにより、頬の筋力を維持・強化し、食べ物を口の中で操作する能力を改善することができます。
- 喉の筋力訓練:声を出す訓練や、のどを意識的に上下に動かす訓練を行います。これにより、喉頭の筋力を維持・強化し、誤嚥のリスクを減らすことができます。
- 嚥下訓練:少量の水やとろみをつけた食品を用いて、意識的に嚥下する訓練を行います。これにより、安全に飲み込む技術を身につけることができます。
これらの訓練は、言語聴覚士を中心に行われます。定期的な評価を行いながら、患者さんの状態に合わせた訓練プログラムを作成し、継続的に実施することが重要です。
また、嚥下障害がある場合、食事の工夫も必要です。以下のような点に留意することが推奨されます。
- 食事の形態:固いものや口の中で散らばりやすいものは避け、柔らかく、まとまりやすい食事を選びます。必要に応じて、ペースト状やゼリー状の食事を取り入れることも効果的です。
- 食事の量:一口量を小さくし、ゆっくりと食べることを心がけます。また、食事の途中で何度も飲み込むことで、食べ物が喉に残らないようにします。
- 姿勢:食事の際は、できるだけ垂直に近い姿勢を保つことが重要です。これにより、食べ物が気管に入りにくくなります。
- 食事環境:食事に集中できる環境を作ることが大切です。テレビを消すなど、雑音を最小限に抑えることで、食事に集中しやすくなります。
これらの工夫は、患者さんだけでなく、ご家族の方も一緒に取り組むことが効果的です。食事の準備や介助など、日常的なサポートが患者さんの安全な食事につながります。
嚥下障害は、患者さんのQOLに大きな影響を与えます。適切なリハビリと食事の工夫を継続的に行うことで、嚥下機能の維持・改善を図り、安全で楽しい食事を続けることができます。ご家族の方も、患者さんの状態を理解し、サポートすることが何より重要です。