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寝たきりの状態が長く続くと、どんな問題が起きるの?
寝たきりの生活が長期化すると、単に動けなくなるだけでなく、様々な健康上の問題が生じる可能性があります。その中でも特に深刻なのが、筋力低下と肺炎のリスクです。
まず、筋力低下について説明しましょう。私たちの筋肉は、使わないでいると驚くほど早いスピードで衰えていきます。なんと、わずか10日間の寝たきりで、筋力は20〜30%も低下してしまうのです。筋肉量が減ると、体のエネルギー効率が悪化し、心拍数の増加や低血圧などの問題も招きかねません。
さらに、筋力低下は日常生活動作(ADL)の大幅な低下につながります。立ち上がる、歩く、着替えるなど、当たり前にできていたことが徐々に難しくなっていくのです。寝たきりの状態が続けば、自立した生活を送ることはますます困難になっていくでしょう。
次に、肺炎のリスクについて見ていきましょう。寝たきりの状態では、飲み込む力も徐々に衰えていきます。すると、誤嚥性肺炎を起こしやすくなるのです。誤嚥とは、食べ物や唾液などを誤って気管に入れてしまうこと。これにより、肺に炎症が起こり、重篤な肺炎を引き起こすことがあります。
また、寝たきりでは、臓器が横隔膜を圧迫し、肺の下部が十分に機能しなくなります。こうした状態が続くと、肺に菌が溜まりやすくなり、やはり肺炎のリスクが高まるのです。高齢者の場合、肺炎は命に関わる危険な病気。寝たきりによって肺炎を引き起こさないよう、細心の注意が必要です。
筋力低下と肺炎、どちらも寝たきりの状態が長引くほど、リスクは高まります。しかし、だからこそリハビリが重要なのです。適切なリハビリを行うことで、筋力を維持し、肺炎のリスクを減らすことができます。
たとえ寝たきりの状態でも、できる範囲で体を動かし続けることが大切。関節の動きを維持し、最低限の筋力を保つことで、健康状態の悪化を防ぐことができるのです。
寝たきりの生活は、様々な健康リスクと隣り合わせ。だからこそ、リハビリを通して、できる限り良い状態を保つことが重要なのです。寝たきりだからと諦めるのではなく、今日からできることを始めてみませんか。小さな一歩の積み重ねが、きっと健康への道を拓いてくれるはずです。