Q.
自宅でできる片麻痺のリハビリには、どんなものがありますか?
片麻痺のリハビリは、医療機関や施設での専門的なアプローチだけでなく、ご自宅での取り組みも非常に大切です。日常生活の中で体を動かすことで、リハビリの効果がより高まるからです。
具体的な自主トレーニングとしては、まず、関節の可動域を維持・拡大するための運動があります。麻痺のある側の肩、肘、手首、股関節、膝、足首などを他動的に動かすのです。他動運動といって、自分の力だけでは動かせない関節を、健側の手や家族の手を借りて動かすことで、関節の拘縮を予防し、可動域を広げることができます。
また、筋力を維持・向上させるための運動も重要です。麻痺のある側の手足に力を入れる練習や、ゴムバンドなどを使った抵抗運動を行うことで、筋力アップを図れます。片麻痺の回復には、麻痺側の筋力だけでなく、健側の筋力も大切。体のバランスを保つために、両側の筋力を高めていくことが求められます。
さらに、日常生活動作(ADL)の練習も欠かせません。ADLとは、食事、排泄、入浴、歩行など、生活を営む上で必要な基本的な動作のこと。片麻痺があると、これらの動作が難しくなることが少なくありません。
たとえば、着替えの練習。麻痺のある側の服の袖を通すのが大変だったり、ボタンをかけるのに時間がかかったりするかもしれません。でも、毎日の生活の中で練習を重ねることで、徐々にスムーズにできるようになっていきます。
ほかにも、食事の練習なら、麻痺側の手でスプーンを持つ練習。歩行の練習なら、歩行器を使って少しずつ歩く距離を伸ばす練習など、生活の中のあらゆる場面がリハビリの機会と言えます。
ご自宅でのリハビリは、施設でのリハビリとは異なり、ご本人や家族が主体的に取り組む必要があります。途中で挫折しそうになることもあるかもしれません。 でも、リハビリの専門家に相談しながら、無理のない範囲で継続することが大切。日常生活そのものがリハビリだと考えれば、毎日が回復へのチャンスだと前向きに捉えられるはずです。