NEXTSTEPS リハビリお役立ちコラム 運動失調もリハビリで改善!4つの種類と自宅でできる訓練方法

運動失調もリハビリで改善!4つの種類と自宅でできる訓練方法

運動失調もリハビリで改善!4つの種類と自宅でできる訓練方法

運動失調は、主に小脳や脊髄の障害によって起こる病態です。麻痺がないのにも関わらず、姿勢保持やスムーズな動作がしずらくなることで、家事や仕事ができなくなるなど日常生活に支障をきたします。

運動失調には、障害が起こった部位によって症状が異なる特徴があり、リハビリがうまく進まない場合は、症状に合ったリハビリを見直す必要があるかもしれません。

今回は、運動失調にリハビリが必要な理由やリハビリのポイントをご紹介します。

運動失調症にリハビリって必要?運動失調の特徴や原因を紹介

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運動失調が発症するのはさまざまな原因がありますが、リハビリを行うことで症状を軽減することができます。運動失調の原因やリハビリの必要性について見ていきましょう。

筋力があるのに運動ができない|運動失調症

運動失調症とは、脳や脊髄などの機能障害によって引き起こされる「秩序なし」というギリシャ語が由来のリハビリが有効な症状です。

運動失調症になると、体を動かすための調節機能に障害が起こるため、運動麻痺がなく筋肉があるのに関わらず、筋が協調的に動かせず、スムーズに姿勢保持や動作ができなくなります。

動きがぎこちなくなったり、今までできていた当たり前の動作が上手くできなくなったりして日常生活に支障をきたしてしまう人も多いので、日常生活に戻すためのリハビリが重要です。

脳の損傷やビタミン欠乏なども|運動失調の原因

運動失調症は、脳卒中や脳腫瘍、感染症などによる脳の損傷によって引き起こされる場合もあるリハビリが効果的な神経症状です。

原因はさまざまで、代謝性運動失調症は、エタノール(アルコール)やフェニトインなど特定の薬物などの物質が原因となり、また、放射線中毒や甲状腺機能低下症、ビタミンEおよびB欠乏症も運動失調の原因となる場合があります。

参考:J-STAGE「運動失調に対するアプローチ」

運動失調症の種類|脳の障害部位によって異なる4種類の症状

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運動失調症は、小脳や脊髄など障害が起こった部位によって症状に違いがあります。主に運動失調が起こる部位についてご紹介します。

手足をスムーズに動かせない|小脳性失調

脳のなかでも、「小脳」は、スムーズな動作に関係する部位です。

小脳の障害される領域によって症状が異なりますが、上肢と下肢に症状が出る部位を障害される小脳性失調にもリハビリが重要です。物に触ろうとしたら勢いよく手を伸ばしすぎてしまったり、大きく振るうような動きになってしまったりなど手足がスムーズに動かしづらくなる症状があります。

また、体幹に症状が出る部分を障害されると、体幹が動揺することにより酔っぱらいのようなフラフラした歩き方になったり、大股で歩く「ワイドベース歩行」を呈します。眼球が揺れる眼振が見られる場合もあります。

主に下肢症状|脊髄性失調

動作や運動をしたときに、自分の体がどのように動いているのかを感じる感覚を「固有覚」といいますが、この固有覚が脊髄後索の障害によりうまく働かなくなると、円滑な運動制御が行えななくなる脊髄性の失調が起こります。

下肢に症状が出ることが多く、足を高く上げて床にバタバタと叩きつけるように歩く「鶏足」などの失調が出て、リハビリが必要になります。

原因となる疾患には、脊髄腫瘍や頸椎の加齢変化を原因とする変形性頚椎症などがあります。

歩行時の平衡障害|前庭迷路性失調

内耳にある平衡をつかさどる器官を「前庭」といいますが、この前庭が、前庭神経障害や中枢神経障害により失調を起こすことでリハビリが重要になります。

小脳性や脊髄性失調と異なり、上肢や下肢単独での障害は見られませんが、頭の位置が変わる動作(寝ている状態から起き上がるときなど)において体のバランスを保つことが難しくなります。

また、目を閉じた状態での足踏みで足跡が星型を描く「星型歩行」や、左右の足が交差しながら歩く「千鳥足」などの症状が見られることもあります。

小脳性に似ている|大脳性失調

脳のなかでも前頭葉・側頭葉・頭頂葉に障害が起こることで失調を呈するものです。症状は、小脳性とよく似ていて、体幹のふらつきが強かったり、歩幅もバラバラでまっすぐ歩けないといったものがあります。

異なる特徴としては、脳の障害部位と反対側の体に症状が出る失調でリハビリが有効です。

運動失調症のリハビリって何をするの?体幹の安定が最優先

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運動失調の症状がある場合には、身体機能を維持するために早期のリハビリが重要です。座ってできる運動や、寝た状態でできる腹式呼吸の運動から始めましょう。

体幹安定化の基本|ドローイン

小脳性運動失調では、体幹の筋肉の出力が低下するケースが多いので、姿勢を安定させるために体幹安定化のリハビリが重要です。手足のみでバランスを取るのではなく、意識的に体幹でバランスを保てるようにするための基本のリハビリをご紹介します。

【ドローイン(腹部引き込み)】

膝を立てた状態で仰向けに寝て、何度か腹式呼吸をしてお腹をへこませていきます(左右のお腹に手を当てるとお腹の動きがよくわかります。

②息を吐ききってこれ以上お腹がへこまないというところまできたら、その状態を10秒〜30秒程度キープしながら浅い呼吸を繰り返し、元に戻します。

③以上の動きを5回繰り返すのを1セットとし、1日に3セットを目標にしましょう。

両足に障害があってもできる|座ってできる運動

両足に障害があるなど立位での運動に不安がある場合は、座ってできる運動失調のリハビリから行いましょう。

【座位での左右への重心運動】

バスタオルを丸めてタオルロール状にしたものをお尻に下に入れて座ります。

②座った姿勢で左右への重心運動を、体は横に曲げないようにまっすぐのまま行います。この運動を左右5回ずつ計10回行います。

体感を鍛える|四つ這いで手足上げ運動

四つ這いで手足を上げる運動は、「バード&ドッグ」とも呼ばれる体幹のインナーマッスル(深層筋)を鍛える運動失調のリハビリにも効果的な運動です。

【四つ這い手足上げ運動】

①顔は前を向いた状態で四つ這いになり、肩関節と股関節が90°になる姿勢で手を肩幅より少し広げます。

②片方の手(手のひらを天井に向けて前に真っ直ぐ伸ばす)と反対側の足を上げ、バランスを取りながらお腹・背中・お尻に力を入れた状態で5秒キープします。

③左右の手足を変えて同様に行います。同様の運動を左右で1回とし、それを3回×1日3セット行いましょう。

まとめ

運動失調の特徴や、障害が起こる部位と部位別の症状についてご紹介しました。

運動失調は、小脳や脊髄などバランス感覚や体幹をつかさどる部位に失調をきたすのでリハビリが難しいように思うかもしれません。

しかし、リハビリ自体も進化してきているので、症状や失調の原因について理解することで、最短で日常生活に戻ることができるでしょう。

まずはリハビリの目標を立て、腹式呼吸や座ってできるリハビリから取り組んで日常生活を取り戻してみませんか。

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